ロシア唯一の空母「クズネツォフ」中国初空母「遼寧」なぜ激似? 逆転した露中の立場
- 乗りものニュース |

ロシアと中国の両国が国家の威信をかけて保有する空母ですが、これらは艦体規模が同サイズで、さらにそっくりな外観を有しています。なぜなら両国の空母は、元をたどると実は同じ血統だからです。
ロシア空母と中国空母は生き別れた姉妹
2019年の師走、ふたつの空母がらみのニュースが話題になりました。まずは12月12日、ロシア海軍の空母「アドミラルクズネツォフ」が、母港ムルマンスクの造船所で修理中に出火、翌13日に鎮火したものの死者2人を出してしまいました。
そして12月17日には、中国海軍の新型空母「山東」が就役。同国南部の海南島において、習近平国家主席を招いた引き渡しセレモニーが実施されました。これにより中国は、同国初の空母「遼寧」と合わせて正規空母を複数所有する国になりました。
2019年現在、ロシア唯一の空母である「アドミラルクズネツォフ」(画像:アメリカ海軍)。
よく見ると両国の空母は似ています。それもそのはず、中国初の空母「遼寧」は、もともとロシアの「アドミラルクズネツォフ」の同型艦として生まれた経緯があり、中国の2隻目の空母である「山東」は、この「遼寧」の設計を基に建造されているからです。
ロシアの「アドミラルクズネツォフ」と、中国の「遼寧」は、どのような経緯で姉妹艦として計画され、生き別れたのか。そこには歴史の歯車と国同士の駆け引きが大きく影響しています。
ロシア空母「アドミラルクズネツォフ」と中国空母「遼寧」、先に建造されたのは前者でした。「アドミラルクズネツォフ」は1982(昭和57)年9月1日に起工し、1985年(昭和60)12月5日に進水、1990(平成2)年12月25日に就役しました。
そして、この2番艦として「ワリヤーグ」が1985(昭和60)年12月6日に起工し、1988(昭和63)年11月25日に進水します。しかし艤装工事中の1991(平成3)年12月25日にソビエト連邦は崩壊、連邦を構成していた15の共和国はそれぞれ独立国となります。
先に就役していた「アドミラルクズネツォフ」は、ロシア海軍の指揮下にあったため、ロシアが所有することに決まりましたが、2番艦「ワリヤーグ」はウクライナ共和国領内にあった黒海造船所で艤装工事を進めていたため、最終的にウクライナが所有することとなりました。
中国空母「遼寧」、元の名は「ワリヤーグ」
「ワリヤーグ」は、工事の進捗率が70から80%であり、完成まであと少しの状態でしたが、ウクライナには同艦を就役させ維持するだけの余力がなかったため艤装工事はストップ、4年ほど造船所に放置されていた同艦を、マカオの中国系企業がスクラップ(鉄くず)として購入しました。
この中国企業、「ワリヤーグ」を海上カジノに改装することを名目に、中国本土まで回航します。そして黄海に面した大連で改装工事を行うとしたのですが、これは中国本土まで移送するための建前で、大連に着くと、中国軍の手によって徹底的に調査されました。
そして約10年の月日をかけて、中国はスクラップ状態であった「ワリヤーグ」を再生、2012(平成24)年9月25日に空母「遼寧」として就役させました。
こうして、中国初の空母として運用が始まった「遼寧」でしたが、中国は同艦のことをあくまでも国産空母を開発し、空母艦載機部隊を育成するためのステップとして捉えていました。そのため、国産空母を建造するために徹底的に調査し、就役後も練習空母として、艦載機の発着艦訓練をメインに運用しました。
それでも空母が持つプレゼンス能力の大きさは十分理解していたようで、2016(平成28)年12月には駆逐艦などを引き連れて、空母機動部隊旗艦として日本近海に現れたり、南シナ海を周回したりする示威行動を行っています。
一方で、「ワリヤーグ」の技術情報を基に、2013(平成25)年11月に早速、国産空母の建造に着手します。そして2017(平成29)年4月26日に進水すると、2年半の歳月をかけて艤装と各種試験を行い、2019年12月17日に中国初の国産空母「山東」として就役させたのです。
艦体だけでなく艦載機も似たもの同士
こうして中国は、冒頭に述べたとおり、いまや「遼寧」と「山東」という正規空母2隻を有するまでになりました。ロシアがいまだ「アドミラルクズネツォフ」1隻のみなのとは対照的です。
東シナ海を航行する中国海軍の空母「遼寧」(画像:統合幕僚監部)。
ただし、ロシアも空母1隻で満足しているわけではなさそうです。現有の「アドミラルクズネツォフ」もすでに就役から29年経っています。また1隻のみだと訓練や整備などの際には交代できる艦がないため、空母機動部隊の運用に穴が開きます。
そこで現在、ロシア海軍は各種タイプの正規空母のプランを立てています。ただし、排水量は約5万トンから8万トンまでで、主機は通常動力と原子力の両方で絞りきれておらず、いまだコンセプトははっきりしていない模様です。
ロシア海軍としては、2025年から2030年の間に新型空母を1隻就役させたい意向のようですが、建造開始時期もいまだ決まっていないため、これについては不透明な状況です。
一方、中国は3隻目の空母となる「003型」を2018年に起工しており、早ければ2020年に進水、2020年代半ばに就役する予定です。
中国もロシアも、強大なアメリカの空母機動部隊への対抗はもちろん、大国としての空母のプレゼンス効果も理解しての動きであり、特に空母を複数持つようになった中国は、これまで以上に海洋進出と、周辺諸国への示威行動を強めることでしょう。
ちなみに、空母に搭載する航空機、いわゆる艦載機についても、ロシアの「アドミラルクズネツォフ」が搭載するのは、同国空軍が運用するSu-27戦闘機を基に、艦載用として主翼を折り畳めるなどの改良を加えたSu-33です。
かたや中国が艦載機として用いるのは、ロシア製のSu-27戦闘機を自国でライセンス生産し、無断コピーまで行って生産したJ-11戦闘機をベースに、前述のロシア製Su-33の技術を取り入れたJ-15戦闘機です。そのためSu-33とJ-15は外観がそっくりで、その点でも両国の空母は似通っているといえるでしょう。
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