激しい頭痛…「脳卒中」の前兆かも 専門医が教えるすぐに受診すべき症状&異変時の対処法
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10月29日は「世界脳卒中デー」です。2006年10月に国際脳卒中学会と世界脳卒中連盟が統合し、世界脳卒中機構が結成されたことを記念して制定されました。
脳卒中はがんや心疾患とともに日本人に多い死因です。脳卒中は発症前に前兆症状があるといわれていますが、本当なのでしょうか。その場合、どのような症状が出たときに注意が必要なのでしょうか。脳卒中の前兆症状や体に異変を感じたときの対処法などについて、「SOグレイスクリニック」(東京都品川区)院長で脳神経外科専門医、医学博士の近藤惣一郎さんに聞きました。
症状が治まっても必ず受診を
Q.そもそも、「脳卒中」とは、どのような病気なのでしょうか。原因や主な症状などについて、教えてください。
近藤さん「脳卒中とは、『脳梗塞(のうこうそく)』『脳出血』『くも膜下出血』といった脳の血管の病気の総称です。
脳梗塞は脳の血管が血の塊(血栓)などで詰まり、その先の脳に血液が届かなくなることで、脳細胞が壊死してしまう状態を指します。動脈硬化や心臓の不整脈(心房細動)などでできた血栓が脳の血管に飛んで詰まることなどが主な原因です。
脳出血は脳の内部にある細い血管が破れて出血し、脳そのものを破壊したり、圧迫したりする状態です。ほとんどが高血圧によって、長年にわたり血管に負担がかかることが原因です。
くも膜下出血は脳の表面を覆っている『くも膜』の下にある太い血管が破裂して出血し、脳の表面全体に血液が広がってしまう状態です。脳動脈瘤(りゅう)という、血管にできたコブの破裂が主な原因です。高血圧や喫煙、過度の飲酒が発症のリスクを高めるとされています。つまり、脳の血管が詰まるのが脳梗塞、破れるのが脳出血とくも膜下出血です。それぞれの病気の主な症状は次の通りです。
(1)脳梗塞の主な症状
「突然、手足がまひする」「体のしびれ」「ろれつが回らない」「言葉が出てこない」「視野が欠ける」などの症状が現れます。痛みは伴わないことがほとんどです。脳卒中の中で約7割を占め、最も患者数が多い病気とされています。
(2)脳出血の主な症状
突然の手足のまひや言語障害、意識障害などが現れます。くも膜下出血のような激しい頭痛は伴わないことが多いですが、出血した場所によっては頭痛を伴うこともあります。脳梗塞と同様、まひや言語障害が主な症状ですが、出血によって症状が急激に悪化することがあります。
(3)くも膜下出血の主な症状
今まで経験したことのない、突然の激しい頭痛が典型的な症状で、「ハンマーで殴られたような」と表現されるほど強烈な痛みが特徴です。意識障害や吐き気を伴うこともあります。脳卒中の中で死亡率が最も高い病気の一つで、発症後数時間で命を落とす危険があります。
Q.脳卒中には前兆症状があるといわれていますが、本当なのでしょうか。前兆症状とみられる状態になった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
近藤さん「脳卒中は突然起きることが多いのですが、発症する前に軽度の症状が現れることがあります。これらの『前兆』は、体が発する危険なサインであり、見逃さずに迅速に対応することが命を守る上で非常に重要です。特に、脳梗塞の前兆として『一過性脳虚血発作(TIA)』がありますが、くも膜下出血にも特有の前兆があります」
(1)脳梗塞の前兆(一過性脳虚血発作:TIA)
脳梗塞で最も典型的な前兆は、一過性脳虚血発作です。これは、一時的に脳の血管が詰まりかけ、その後すぐに血流が再開することで症状が数分から数時間以内に消えてしまうものです。しかし、TIAを起こした人は、その後数日以内に本格的な脳梗塞を発症するリスクが非常に高いとされています。TIAの主な症状は、次の通りです
【一過性脳虚血発作】
・片方の手足や顔のしびれ、力が入らない。
・箸を落とす、ペットボトルのふたが開けられない、足を引きずるなど。
・言葉が出ない、ろれつが回らない。
・簡単な言葉が言えない、滑舌が悪くなる。
・片方の目が見えにくくなる、視野が欠ける。
・一時的に片方の視界が真っ暗になる、物が二重に見える。
・めまいやふらつき、一時的に真っすぐ歩けなくなる。
・酔っ払ったようにフラフラする、真っすぐ立てない。
これらの症状が一時的に現れて消えた場合でも、「治った」と自己判断せずに、すぐに医療機関を受診することが極めて重要です。
(2)くも膜下出血に特有の前兆(警告頭痛)
くも膜下出血は、脳動脈瘤が破裂して起きることがほとんどですが、完全に破裂する前に、こぶの壁からごく少量の血液が漏れ出すことがあります。この少量の出血が、「警告頭痛」と呼ばれる前兆を引き起こします。警告頭痛の主な特徴は以下の通りです。
【警告頭痛の特徴】
・いつもと違う種類の頭痛。
・普段の頭痛とは全く違う、突然の鋭い痛み。
・強烈ではないが、持続する頭痛。
・本格的な破裂時の「バットで殴られたような痛み」ほどではないが、ズキズキとした痛みが継続。
・頭痛と同時に、吐き気やめまいを感じる。
・目の痛みや視覚の異常。
・目の奥に痛みを感じたり、物が二重に見えたり、まぶたが下がったりすることがある。
この警告頭痛は、しばらくすると症状が治まってしまうことが多いため、見過ごされがちです。しかし、この前兆は「動脈瘤が今にも破裂しそうになっている」という非常に危険なサインです。警告頭痛を経験した数日後に、本格的な大量出血を起こす例が少なくありません。
「今までに経験したことのない頭痛」や「いつもと違う頭痛」を感じたら、症状が弱くても絶対に軽視せず、速やかに救急外来を受診することが、命を救うための最善の行動です。
脳卒中を予防する方法は?
Q.では、脳卒中を予防する方法について、教えてください。
近藤さん「脳卒中は、発症すると重篤な後遺症を残すことが多く、最悪の場合は命に関わる病気です。そのため、予防が最も重要であり、万が一発症してしまった場合には、いかに早く適切な対応をするかが被害を最小限に抑える鍵となります」
■脳卒中の予防方法
脳卒中の予防は、主に「リスクとなる生活習慣病の管理」と「健康的な生活習慣の維持」の2つに分けられます。
(1)リスクとなる生活習慣病の適切な管理
脳卒中の最大の危険因子は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、不整脈です。これらを適切に管理することが、予防の第一歩となります。
・血圧の管理
高血圧は脳出血や脳梗塞の主要な原因です。「塩分摂取を控える」「適度な運動をする」「医師の指示に従って降圧薬を服用する」などで、血圧を正常に保ちましょう。
・血糖値の管理
糖尿病は血管を傷つけ、動脈硬化を進行させます。食事療法や運動療法、薬物療法で血糖値をコントロールすることが重要です。
・脂質異常症の管理
血液中のコレステロールや中性脂肪が高いと、動脈硬化が進み、脳梗塞のリスクが高まります。
・不整脈(心房細動)の治療
心房細動があると、心臓内で血栓ができやすくなり、それが脳に飛んで脳梗塞を引き起こすことがあります。医師の指示に従って抗凝固薬を服用するなど、適切な治療を受けましょう。
(2)健康的な生活習慣の維持
・禁煙
タバコは血圧を上げ、動脈硬化を促進します。喫煙は脳卒中リスクを大幅に高めるため、禁煙が最も効果的な予防策の一つです。
・適度な飲酒
過度の飲酒は血圧を上げ、特に脳出血やくも膜下出血のリスクを高めます。適量を守り、休肝日を設けることが大切です。
・バランスの取れた食事
塩分や脂肪を控え、野菜、果物、魚などを積極的に摂取しましょう。
・適度な運動
ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を継続することで、血圧や血糖値、体重を適正に保つことができます。
・水分補給
特に脱水になりやすい夏や、冬の乾燥した環境では、小まめな水分補給が重要です。血液の粘度が高まるのを防ぎ、脳梗塞のリスクを減らします。
・ストレス管理
過度なストレスや過労は、血圧上昇や生活習慣の乱れを引き起こします。十分な睡眠と休息を取り、ストレスをためないようにしましょう。
■脳卒中が起きてしまったときの対応
脳卒中は「時間との闘い」です。発症から治療開始までの時間が短いほど、後遺症を最小限に抑えられる可能性が高まります。発症時に最も重要なのは、迅速な救急要請です。
(1)異変に気づいたら「FAST」で確認
脳卒中の症状を簡易的に判断するための合言葉「FAST」を覚えておきましょう。これらのうち一つでも当てはまれば、すぐに119番通報が必要です。
・Face(顔)
「イー」と笑顔を作ろうとしたときに、片方の口角が下がっているかどうか。下がっている場合はすぐに119番通報してください。
・Arm(腕)
両腕を同時に前に上げたときに、片方の腕が下がってしまうかどうか。下がる場合は救急車を呼びましょう。
・Speech(言葉)
「今日はいい天気ですね」など簡単な文章を言おうとしたときに、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの異常がないかどうか。もし何らかの異常がある場合は脳卒中の可能性が高いです。
・Time(時間)
最後に正常だったのはいつか、時間を記録しておきましょう。これは、病院での治療法を決定する上で非常に重要な情報となります。
(2)救急車の呼び方、救急車を待つ間の応急処置
・119番通報
脳卒中の可能性があることを伝え、発症した時間や症状を正確に伝えましょう。
・周囲の人に脳卒中の疑いがある場合は気持ちを落ち着かせる
家族や知人など、周囲の人に脳卒中とみられる症状が出て相手がパニックに陥っている場合は、声を掛けて安心させましょう。
・楽な姿勢にする
意識がある場合は、楽な姿勢で寝かせ、ネクタイ、ベルトなど体を締め付けているものを緩めます。
・嘔吐(おうと)に注意
吐き気がある場合や意識がない場合は、吐いたものが気道に詰まらないよう、顔を横向きにさせて寝かせます(回復体位)。
・飲食物を与えない
意識がない場合や、飲み込みが難しい場合は、水や食べ物を与えてはいけません。
「おかしい」と思ったら、ためらわずに救急車を呼びましょう。 症状が一時的に消えても、本格的な発作のサインである可能性が高いため、自己判断で様子を見ることは絶対に避けてください。
繰り返しにはなりますが、脳卒中を防ぐには日頃の生活習慣を見直す必要があるほか、前兆症状を見逃さないことが重要です。
(オトナンサー編集部)
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