「140往復の高速バス路線」も更に拡充へ!? カギを握る「アウトレット行き」新系統 各地で増便も相次ぐ理由
- 乗りものニュース |

全国で「アウトレットモール行き」高速バスの拡充が相次いでいます。アウトレットそのものへの交通機関のメインとなるだけでなく、結果的に周辺の通勤・通学需要をターゲットにしたような路線も充実するという構図があるのです。
アウトレットはもはや「バスターミナル」
郊外の大規模アウトレットモールへ向かう高速バス路線の新設が相次いでいます。
神戸三田プレミアム・アウトレットに停まる神姫バス(成定竜一撮影)。
国内最大の売上高を誇る御殿場プレミアム・アウトレット(静岡県)へは、2024年に小田急ハイウェイバスが新宿発の高速バスを増便したほか、25年10月からは相鉄バスが海老名、綾瀬発の運行を再開。東京、神奈川各地から御殿場アウトレットへの直行高速バスは、合計で最大25往復に上り、続行便(2号車以降)も見られます。
また、今年6月に増床された三井アウトレットパーク木更津(千葉県)へも、東京駅、新宿からの便が増便されており、増床に合わせ成田空港線も運行を再開しました。FIT(海外からの個人観光客)が帰国前に買い物に立ち寄ることを狙ったものでしょう。
2025年10月14日に兵庫県の神姫バスが開設する新路線「三田(兵庫県)~京都線」もまた、2往復のうち1往復は京都駅とアウトレットを直行するものです。三田はすでに、神戸三宮や大阪と同社を中心とした高頻度の高速バスで結ばれており、さらに“京都進出”を果たす形となりますが、この路線からアウトレットと高速バスの関係性を紐解いてみます。
通勤客とアウトレット客で需要を相互補完
三田市からは、神戸の三宮へ約90往復、大阪へは約50往復(いずれもウッディタウン、フラワータウンなどニュータウン地区、三田駅地区の合計。平日ダイヤ)も頻発しています。新たな京都線は、新名神高速道路経由でフラワータウンから京都駅まで75分と、大阪経由となる鉄道と比べ意外と近い印象です。
もともとウッディタウン、フラワータウンから神戸、大阪へは鉄道だと乗り換えが必要で、高速バスは通勤に人気です。しかし、通勤高速バスはどこもそうですが、朝の上り、夕方の下りに乗客が集中し、昼間の需要があまりありません。所要時間が1時間半ほどなら乗務員は1日に2往復できますが、中間の1往復が「空気輸送」になりがちなのです。
しかしフラワータウンの近くには神戸三田プレミアム・アウトレットが、またウッディタウンに隣接して関西学院大学の神戸三田キャンパスがあり、その需要が「真ん中の1往復」を穴埋めしてくれます。通勤客を乗せて8時台に都心へ着いた車両に、今度は買い物客や学生が乗り込み続々と折り返します。特に大学の「2限」開始時刻に合わせ、三宮発9時50分は4台体制と壮観です。
ただ今回の京都線では、需要やダイヤ設定を考慮して「真ん中の1往復」は神戸三田プレミアム・アウトレットに焦点を絞っています。
アウトレットのアクセス強化3点セット戦略
アウトレットは、出店する各ブランドが都心の正規価格店と住み分けて低価格で販売できるよう、郊外や近郊に立地します。かといって交通が不便では集客できません。インターチェンジ至近の立地、巨大な駐車場と、非クルマ客向けの直通高速バスが3点セットと言えます。
御殿場プレミアム・アウトレット。相鉄バスの到着シーン(成定竜一撮影)。
特に、買い物好きで、自分では運転をしない主に女性のグループと、円安によりお得感を感じるFITには、高速バスの存在が重要です。
東京駅前の地下にあるバスターミナル東京八重洲からは、三井アウトレットパーク木更津へ平日7便、週末12便が、また同じく千葉県の酒々井プレミアム・アウトレットへは毎日9便の高速バスが発車します。特に開店直後に到着する9時25分発の便は両者同時発車で、いずれも日本人、外国人(FIT)らの列ができます。
興味深いのは、そのうちFITの様子が、両路線で対照的な点です。木更津へは、東京滞在中に日帰りする人が多く、みな軽装です。一方の酒々井へは、スーツケースをバスの床下トランクに積み込む人が多く、スーツケース「ふたつ持ち」も目立ちます。
酒々井は成田空港に近く空港へのバスもあるため、帰国前に立ち寄る人が多いようです。スーツケース2個というのは、片方は着替えなどが入った自分用であり、もう片方は、おそらく都内で安く調達したもので中身はカラ。アウトレットでめいっぱい買い物し、「戦果」を詰め込んで帰国するのでしょう。
そう考えると、前出した神戸三田アウトレットの立地は前者です(後者に相当するのは、関西空港至近のりんくうプレミアム・アウトレット)。三田~京都線は、京都市周辺の住民に加え、京都で連泊中のFITも大きなターゲットなのです。
10分間で「8台発車」も!?
なお、この路線を京都側のバス事業者が運行すると、三田を1往復するだけで終わってしまい、片道1600円では収支が合いません。三田を拠点として1日に2往復できる神姫バスだから実現した路線だと言えます。
バスターミナル東京八重洲からは木更津と酒々井のアウトレット行き高速バスが同時発車することも(成定竜一撮影)。
運行開始日の10月14日は、万博終了のまさに翌日。万博輸送に全力投球した同社が間髪入れず新路線という訳で、アウトレット側、バス事業者側双方の期待がうかがえます。三田から京都へ、また京都からアウトレットへ、いかに認知度を高め需要を掘り起こせるか、両者の腕の見せ所です。
さて、アウトレット行き高速バスの次なる課題は、周辺の観光地と組み合わせた観光ルート(観光回廊。コリドー)の形成です。
クルマでの旅行なら、御殿場を筆頭に、那須ガーデンアウトレット(栃木県)などもドライブ帰りに立ち寄りやすい立地です。ふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県)は、休日夕方の関越道の渋滞ピークを避けるため時間つぶしに寄る人もいます。
しかし直行高速バスの利用者は、どうしてもショッピングに目的意識の高い客層に限定されがちです。
御殿場こそ、箱根や富士五湖へのバス路線が充実して周遊も可能ですが、他の施設でも、神戸三田と有馬温泉、鳥栖プレミアム・アウトレット(佐賀県)と太宰府や日田など、日本人、FITそれぞれを対象とした観光回廊の候補はありそうです。今後は、観光のついでにアウトレットにも立ち寄る小旅行の需要を作り、周辺地域にも経済効果を広げる取り組みが求められます。
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