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戦車砲の先端にある「コブ」何のため? 巨砲には必須、でも最新戦車から消滅した理由とは

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「マズルブレーキ」日本語でいうと?

 第二次世界大戦最強の戦車と謳われたドイツの「ケーニクスティーガー(キングタイガー)」の8.8cm砲、同じく当時の連合軍戦車で最強のハードパンチャーとの呼び名も高い「シャーマン・ファイアフライ」の17ポンド砲、ソ連が誇る重戦車IS-2「スターリン」の122mm砲、そして戦後に日本が初めて開発した61式戦車の90mm砲。いずれの砲の先端部にも、籠型やT字型の“膨らんだもの”が取り付けられています。

Large figure1 gallery12ドイツのケーニクスティーガー(キングタイガー)の砲塔アップ。赤い矢印で指し示したものが「マズルブレーキ」(柘植優介撮影)。

 これは「マズルブレーキ」、日本語では「砲口制退器」と呼ばれるものですが、これがあるとどんなメリットがあるのでしょうか。あるのと無いので、どんな違いがあるのでしょうか。

 戦車砲に限らず、ほぼすべての銃砲とも、砲弾(銃弾)を砲身(銃身)から撃ち出します(臼砲などの外装砲を除く)。このとき、砲弾(銃弾)という重さのあるものを、発射薬の急燃焼のエネルギーによって砲口から前に送り出す(作用)のですが、撃ち出す質量(弾の重さ)に見合った反動(反作用)が生じます。

 砲の前から発射薬を注ぎ込み、続いてボーリング玉のような丸い砲弾を装填する、大昔の大砲を思い浮かべていただければわかりやすいですが、このような砲が砲弾を発射すると、台車に載せられている重たい砲自体が、反動を受けて勢いよく後ろに下がります。

 しかし技術の進歩により、油圧や気圧を利用した駐退復座機が開発されたことで、今日では砲身にかかる反作用を受け止めて、反動を軽減することができるようになりました。

 加えて、さらに反動を軽減する方法が考えられました。

 実は、砲弾が砲身から飛び出した直後、前方に向かって勢いよく噴出する発射薬の燃焼ガスも、反動の一因です。

 この燃焼ガスは、砲身の先端の砲口を中心に、膨張しながら前方に噴き出します。そこで、燃焼ガスを砲口の真横や斜め後ろに方向転換させて噴出させれば、砲身の後退量を抑えて反動を軽減させられることが判明。これを受けて誕生したのがマズルブレーキです。

自走砲では今も現役

 なお、ひと口にマズルブレーキといっても形状はさまざまで、形の違いで呼び方も異なります。

Large figure2 gallery13陸上自衛隊の99式自走155mmりゅう弾砲。砲身の先端部分に複数のスリットを備えたマズルブレーキが設けられている(柘植優介撮影)。

 たとえば、全体的には籠型ですが、燃焼ガスを左右に噴出させる開口部が1段だけのものはシングルバッフル式、これが2段になっているとダブルバッフル式と呼ばれます。一方、石炭ストーブの煙突の先端のように筒が左右へと分かれているものはT字型と呼ばれます。他にも、円筒状の本体の左右に、サメの鰓のように数本ずつのスリットが刻まれている形状のマズルブレーキもあります。

 しかし、マズルブレーキは勢いよく噴出する燃焼ガスの方向を転換させるため、砲口と地面が近いと大量の土煙を巻き上げてしまい、次発の照準が困難になる事態が生じるデメリットも内包していました。

 特に車高が低い現代の戦車ではこの事態が起こりやすいため、駐退復座機の機能を向上させることにより、マズルブレーキを装備していないケースも多々見られます。

 その一方で、牽引式の野砲や自走砲などは、今でもその多くがマズルブレーキを装着して反動を軽減させています。

 これは戦車砲弾よりも重い大口径の砲弾を遠距離まで飛ばす必要があることから、反動も戦車砲よりずっと強力であること、そして戦車砲とは異なり、砲弾を遠距離へと飛ばすために、砲身を高く上げる(高仰角)ため、地面から相当の距離が開き、土煙を上げることがほぼない。こうした理由からだといえるでしょう。

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