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防衛増税1兆円は「法人税」で!? 「景気回復、賃上げに水差す」経済界・自民党が反旗...エコノミストが指摘「増税は国力低下、防衛力にもマイナス」

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  • J-CAST ニュース
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防衛増税1兆円を指示した岸田文雄首相
防衛増税1兆円を指示した岸田文雄首相

いきなり「増税」が降ってきた! 5年後に防衛費を国内総生産(GDP)の2%にまで増額するとして、岸田文雄首相は2022年12月8日、足りない分の財源を「増税」で補うと明言した。

法人税増税が浮上したからたまらない。「景気回復に水を差す」「賃上げに影響する」として経済界はもちろん、自民党にも「反旗」が広がっているようだ。

「増税」はできるのか? 日本経済に与える影響は? エコノミストの分析を読み解くと――。

西村経産相「大胆な投資を始めるタイミングの増税は慎重に」

報道をまとめると、岸田文雄首相は12月8日、政府・与党幹部政策懇談会の場で、5年後の2027年度にGDPの2%に達する予算措置を講じると発表。防衛力を安定的に維持するには毎年1兆円余りの財源が不足するとして、与党の税制調査会に増税を検討するよう指示した。

しかも、岸田首相は「年内に方向性を出すように」と急がせた。与党税制調査会は、12月15日に税制改正大綱をまとめる予定だった。自民党税調の宮沢洋一会長は「防衛費の財源問題が降ってきた」。週明けから議論を急ぐが、税調幹部の1人は「すぐに結論を出していい問題ではないし、大綱までに間に合うわけがない」とぼやいた、と伝えられている。

増税の具体的な税目について、岸田首相は「個人の所得税負担が増加する措置は行わない」と明言した。税収の3本柱は「所得税」と「消費税」と「法人税」だ。「消費税」は社会保障に目的が限定されているため、残る「法人税」を軸に、検討が進められることになる。

ただ、自民党内には、「企業に賃上げをさせようとしているのに、法人税の増税などできるはずがない」と反対する意見が、特に最大派閥安倍派を中心に根強い。早くも翌9日、安倍派出身の西村康稔経済産業相が閣議後会見で、「まさに大胆な投資のスイッチを押そうとしているときに、それに水を差すようなタイミングでの増税には慎重になるべきだ」と述べ、産業政策の担当閣僚として法人税の増税案にクギを刺した。

十倉経団連会長「防衛費負担は広く、薄く、偏らず」

一方、経済界からも反発の動きが広がっている。日本経済団体連合会(経団連)の十倉雅和会長は12月8日夜、会合で同席した岸田首相に対し、「安全保障は国民が幅広く裨益(ひえき)する。(負担は)広く、薄く、偏らずというのが基本だ」と注文した。

日本商工会議所の小林健会頭も6日の会見で、「法人税の増税となれば、国内投資を冷ましてしまう。広く国民で負担するしかない」と語っている。

産経新聞主張(社説)「防衛費財源 歳出改革の徹底こそ先だ」(12月9日付)はこう説いた。

「まずは歳出削減の徹底など、歳出構造改革に取り組むことを優先すべきなのは当然である。そのうえで必要な費用を精査して国民に新たな負担を求めるのが筋であろう。安易な国債増発や増税は許されない。
与党内では法人税に対する段階的な増税案が浮上している。法人税を増税する場合、経営が厳しい中小・零細企業に配慮するなどのきめ細かな対応も求められる。
何よりも幅広い歳出項目に対して厳しくメスを入れ、無駄な予算の削減に取り組む必要がある。それでも不足する場合に具体的な増税を検討すべきである。政府・与党がそうした歳出削減の成果を示さなければ、増税に対して国民の理解は得られまい」

「防衛にお金かけずに平和をもたらす方法を考えよう」

こうした事態をエコノミストはどう見ているのか。

日本経済新聞オンライン版(12月9日)「防衛財源『増税慎重に』 経産相、企業へ配慮求める」という記事に付くThink欄の「ひと口解説コーナー」で、日本総合研究所創発戦略センターのシニアスペシャリスト村上芽(めぐむ)さんは、西村経産相が法人税増税に反対したことに関連して、

「増税するなら教育費にもっと使うべき、と、文部科学大臣もクギをさすべきではなかろうかと思います。防衛費をGDPの2%にすることは自民党の2021年選挙の公約でしたが、防衛にそんなにお金かけなくてもいいようにするためにどうしたらいいか、平和は何によってもたらされるのか、今だからこそもっと考えたいです」

と強調した。

ヤフーニュースのコメント欄では、法政大学大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)が、

「国民的な議論もなく、防衛費の増額にともなう増税が既成事実化し、2%のGDP相当の防衛費を確保するために国民に対して増税を求めるという。はたしてこうしたことを国民は予想していたであろうか」

と疑問を投げかけた。つづけて、

「なるほど、国土の防衛は重要である。しかしながら、およそ民主主義国家においては、国民的合意があることについてのみ、増税が認められるはずである。前回の参院選においては、国民に対して防衛費の増額について税負担を求めることは一切言われていない。それをどう判断するか。有権者はどうリアクションするのか、今後の選挙で明らかとなる」

と、唐突な増税論は民主主義のあり方の問題に発展すると指摘した。

同欄では、ニッセイ基礎研究所研究理事の伊藤さゆりさんも、

「欧州などでは基本となっている『中期財政計画』を作成し、歳出と歳入のバランスをどう変えて行く方針かを示すことや、所得階層ごとに負担がどう変わるのかを示すことは、国民の理解を得る上では不可欠だと思う。
株、通貨、国債が同時に下落する混乱を引き起こした英国のトラス政権が打ち出したのは減税策だったが、国民は、大企業・富裕層優遇でバランスを欠くと感じ反発した。英国では首相が交代、新たな計画はバランス重視に変わった。英国は防衛費のGDP比3%目標を掲げるが、慎重に進めるスタンスだ」

と、英国の防衛費問題を引き合いに、岸田政権の拙速をいさめた。

「性急な増税で日本の国力が低下、防衛力も損ねてしまう」

一方、「性急な増税は返って日本の国力を低下させ、防衛力そのものも損ねてしまう」と警告するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

木内氏はリポート「防衛費増額は規模先にありき、恒久財源確保先送りの決着か」(12月8日付)のなかで、「現在の法人実効税率は29.74%であり、法人税収を1兆円引き上げるには、実効税率を32.5%程度まで引き上げる必要が出てくる」という試算を示した。これは、約3%のアップだから、かなりの負担増だ。

そして、来年(2023年)春の統一地方選挙への影響を意識して、実施は早くても2024年度以降になるとの政治判断もなされている。ところが、その時、経済状態がどうなっているかを考えているのか、と木内氏は疑問を呈する。

「来年に景気情勢が悪化すれば、2024年度からの増税実施も先送りされる可能性が出てくる。そもそも、防衛費増額の財源について、2027年度の時点で必要とされる4兆円分のうち、歳出改革や剰余金・税外収入などで3兆円も賄うことができるのだろうか。歳出削減で賄える部分は、実際には僅かだろう」
「仮にそれが可能であるとしても、剰余金・税外収入などは一時的な財源確保手段でしかない。他方、一度積み増された防衛費が、5年後には再び減らされるとは思えない。その場合、2027年度以降については、剰余金・税外収入などでは防衛費増額分を賄い続けることができないだろう。財源議論は、2027年度以降も視野に入れて議論をしなければならない」

そして、こう結ぶのだった。

「経済や世論などに配慮して、大型増税でそれを賄うことを政府が避けることを選択すれば、結局防衛費増額分は国債発行で賄われ、将来にわたる国民負担となってしまう。それは経済の成長力に逆風となり、国力の低下がむしろ総合的な防衛力を損ねてしまう恐れも出てくるだろう」
「『防衛力の抜本的強化のための財源は、今を生きる世代全体で分かち合っていくべき』とする『国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議』の報告書に示された提言の重みを、しっかりと受け止めるべきだ」

年内の方向性を決めるなどいう急ぎ過ぎでは、防衛力増強どころか国力全体が低下すると警鐘を鳴らした。(福田和郎)

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