夏は「睡眠」の質が低下 “熱帯夜”でも快眠する方法を睡眠専門医に聞いた
- オトナンサー |
全国的に気温35℃を超える「猛暑日」となった日が、徐々に増えてきています。夜になっても気温が下がらない日が続きそうです。脳と睡眠を科学する「ブレインスリープ」が睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」ユーザーの計測データから1年間の睡眠データを用いて、スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)と共同で同データの解析を行ったところ、「7月」が最も睡眠の質が低下し、睡眠時間が減少しているということです。そこで、暑い時期に快適な睡眠が取れる方法について、日本睡眠学会総合専門医医学博士で、「Dクリニック東京ウェルネス」睡眠外来・睡眠センター長の井坂奈央医師に聞きました。
冷房の冷風は“壁”に! 効率的に室温を下げられる

Q.まず、夏になるとなぜ睡眠の質が下がるのでしょうか。
井坂さん「1年間の睡眠時間の変化を調べた同調査では、7月の深い睡眠の長さは、最も長い12月と比較して、7.5分も短いことが分かりました。深い睡眠の時間減少は、睡眠の質の低下につながるため1年のうちで最も睡眠の質が下がるのは7月であるといえます。
夏の睡眠の質低下には、大きく2つの原因があります。1つ目は日照時間が短くなること、2つ目は高温多湿な環境であることです。
(1)日照時間の減少
睡眠には“睡眠圧”が関係しており、朝起きて朝日を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まって睡眠圧が抑えられます。その後13~15時間程度で再び分泌が始まり、睡眠圧が高まって自然と眠くなります。睡眠圧が高まったタイミングでベッドに入るとスムーズに眠りにつくことができます。
しかし、夏は日の出の時間が早く、早い時間にメラトニンの分泌が止まるため、早い時間に目が覚めやすくなります。伴って夜の再分泌も早まり、早い時間に睡眠圧が高まります。生活リズムは変わらず実際に眠りにつくタイミングとのズレが生じるため、寝つきが悪くなり、睡眠の質が低下してしまいます。
(2)高温多湿な日本の夏
睡眠の質に大切なのが、入眠直後にいかに深い睡眠を取るかです。入眠直後に深い睡眠が取れると、朝に向かうにつれて浅い睡眠の割合が多くなっていき、すっきり目覚められるということが質の良い睡眠につながる睡眠リズムです。
体の温度には皮膚の表面温度と、体の内側の深部体温の2種類があります。入眠直後に深い睡眠を取るには、深部体温を下げることがポイントです。日中高い状態である深部体温が夜になるにつれて下がることで、睡眠の質を決める入眠直後の90分に深く眠ることができます。
しかしながら、夏の時期は外気温や湿度の影響で深部体温が下がりにくい状況にあります。環境省による、室温と深部体温に関する調査『ヒートアイランド対策の環境影響等に関する調査業務報告書』では、同じ湿度50%でも室温が29℃と35℃では、8時間寝た後の深部体温に約0.6℃の差がありました。
また、湿度を変えた同調査では、同じ室温35℃でも湿度50%と75%で約0.2℃の差が生じました。このことから、室温、湿度が高いほど深部体温に影響を及ぼすことが分かります。2024年の月別平均気温は、7~9月は25℃を超え、月別平均湿度は2月を除き50%を超えました。
夏は気温が注目されがちですが、実は日本の夏は湿度も高いことが特徴的で、気象庁の気象データ(2024年 全国月別平均気温)では、東京都の6~8月の平均湿度は20年前(気象データ=2004年と2024年6~8月の東京都平均湿度)と比較すると約15%上昇しており、温度・湿度ともにコントロールすることが大切です」
Q.では、どのようにすれば、夏でも快眠ができるようになるのでしょうか。
井坂さん「夏の睡眠の質をあげるポイントは、(1)自分的サマータイムで生活リズムを見直すこと、(2)寝室環境を整えること、(3)適切な寝具を取り入れることの3つです。
(1)自分的サマータイムで生活リズムの見直し
前述したように、夏は日の出が早まり起床時間が早くなりやすい傾向にあります。朝早く起きる分、夜は早く寝るようにする“自分的サマータイム”を導入することで睡眠時間を確保することが有効です。また夏は暑さで疲労も溜まりやすいため、意識的に睡眠時間を確保できると良いでしょう。
(2)寝室環境を整える
睡眠の質を上げるためには、環境を整えることも非常に重要です。寝室環境の主な要素となる温度、湿度、光について説明します。
・室温
『エアコンは一晩中つけたまま』。日本の住宅は断熱性が高く、日中に上がった室温が夜になっても下がりにくい環境のため、エアコンなどを活用して室温をコントロールすることが大切です。夏の睡眠に最適な室温は25~28℃、湿度は50~60%とされており、エアコンは一晩中つけたまま、適切な室温を保つようにしましょう。エアコンの風が直接体に当たると冷えすぎにもつながるので、風向きにも注意しましょう。壁に冷風が当たるような風向きにすると、効率的に室温を下げることができます。
・寝床内温度
『夏でも適切な掛け布団を』。室温だけでなく、実は布団の中の(寝床内)温度・湿度も睡眠の質に影響を与えます。理想的な寝床内温度は33±1℃、湿度は50±5%です。夏は掛け布団を使わないという方もいらっしゃるかもしれませんが、朝方に室温が下がることで体が冷えてしまったり、汗をかいたことで体温が下がってしまうこともあるため、夏でも適切な掛け布団を使用することが大切です。
・光
『遮光で睡眠リズムを保つ』。前述したように、夏は日の出時間が早まり目覚めが早くなる傾向にあります。遮光カーテンを使用するなど、光の対策も大切です。手軽な対策として、アイマスクを活用することもおすすめです。
(3)適切な寝具を取り入れる
湿度が高い日本の夏の睡眠環境には、寝床内の温度・湿度をコントロールするために通気性や、湿気を吸収する吸湿性が高いものを選ぶといいでしょう。冷感のある寝具は、触って冷たい接触冷感の商品が多いですが、最近は朝まで冷感が持続するものもあります。また同居人がいる方は、掛け布団は1人1枚使用することをおすすめします。快適な寝床内温度には個人差があり、どちらかが布団を巻き込んでしまうなど、温度調節の妨げとなってしまいます」
オトナンサー編集部
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