「世界的ベストセラー軍用機」がまさかの進化! レトロ機にハイテク融合で生まれた「悪魔の兵器」とは?
- 乗りものニュース |

第二次世界大戦直後に生まれた傑作小型輸送機のアントーノフAn-2。コスパ良し・性能ヨシ・操縦しやすいの三拍子そろっていたことから、各国で多数が使われています。そんなベストセラー機をドローンに改造する動きが出ています。
世界の半分を席巻した万能小型輸送機
第二次世界大戦は「空の戦争」、つまり航空戦力が勝敗を左右する戦いとなりました。その後、戦勝国となったソビエト連邦は、民間航空産業の充実を兼ねて「どこでも飛べて、なんでも運べる万能輸送機」を必要としていました。
アントーノフAn-2(画像:パブリックドメイン)。
これに応えたのがオレグ・アントーノフ技師です。彼は「荒れた草地で簡単に離着陸でき、農薬散布から兵員輸送まで幅広くこなせる頑丈な複葉機」、そんなコンセプトを掲げて開発に着手すると、1947年にアントーノフAn-2輸送機を完成させます。
全金属構造の機体に、信頼性抜群のシュベツォフ製ASh-62空冷レシプロエンジン。一方で、パッと見、時代遅れのようにも見える複葉構造は短距離での離着陸に優れており、200mより短い距離で離陸したなんていう記録もあります。軍用モデルなら兵士12名を乗せて空挺作戦も実施できるほか、貨物は最大で1.5tも運べました。
こうした使い勝手の良さから、軍用以外にも消防機や農業用薬剤散布機、小型旅客機などにも改造されており、まさに「万能機」を絵に描いたような存在でした。
こうして、さまざまなシーンで重用されたAn-2は、東西冷戦の激化もあって、ソ連の同盟国や友好国にも多数が販売・供与され、各種用途で使われました。ベトナム戦争では森林上空を低空飛行して反米ゲリラへの補給物資投下に使用されています。
アフリカや中東の各地でも反政府勢力と政府軍の双方で使われるなんてことはザラでした。安くて操縦は簡単、タフで便利な万能機として各地で重宝されたのです。
意外な使われ方した軍用型An-2
はっきりした数こそわかりませんが、これまでに累計1万8000機以上が製造され、2025年秋の時点でも、ロシアを中心に1000機以上、全世界では2000機程度のAn-2が稼動していると推測されています。欧米でも航空マニアを中心に100機程度が自家用機として保有されている模様です。
民間仕様のAn-2(画像:パブリックドメイン)。
そんなAn-2ですが、2020年には意外な形での軍事投入で注目されました。
当時、アゼルバイジャン共和国とアルメニア共和国のあいだで、紛争が起きていました。第2次ナゴルノ・カラバフ紛争(2020年9月27日~11月10日)と呼ばれたこの戦いに、アゼルバイジャン軍は、An-2を遠隔操縦の「囮(デコイ)ドローン」に改造して投入したのです。アルメニアが配備する地対空ミサイル(SAM)やレーダーをデコイのAn-2で作動させて、その位置や作動周波数を暴露するのが狙いです。
そしてミサイルやレーダーサイトの位置を特定した後は、ウクライナ戦争で一躍有名になったバイラクタルTB-2のような武装UAVで攻撃を加え、破壊・制圧するという、二段構えの戦術を展開したのです。アルメニア軍はまんまとこの策略にはまり、アゼルバイジャン軍に防空網の突破を許してしまいました。
実際、アルメニア軍はS-300のようなロシア製の高価な対空ミサイルを使用しています。囮だとわかっているなら放置すればと思うでしょう。しかし、このAn-2ドローンは爆薬を積んでいるので、撃墜しなければ、あらかじめ設定されている重要目標への突入と破壊を許してしまうのです。
このAn-2ドローンの運用期間は戦争の序盤2週間程度に集中していました。また各種情報を総合すると、最大35機程度が投入されたようです。各国の軍事専門家やミリタリーメディアは、「旧式レシプロ機をデコイ化する発想が、コスト効率の高いSEAD/DEAD(防空網制圧)に役立てられた」と評価しています。
中国で無人輸送機へ転用中
この旧型機のドローン化と飽和、誘引の組み合わせという戦術において、現在注目されているのが中国軍の動向です。
農薬散布で畑の上を低空飛行する東ドイツ時代のAn-2(画像:ドイツ国立公文書館)。
中国は1950年代にAn-2を国産化し、Y-5輸送機の名前で量産しました。農薬散布や連絡輸送、空挺降下訓練などで長らく使っており、いまだ民間と軍で約500機が現役であると言われています。
また、現在ではY-5を無人化した大型貨物UAVであるFB-98や、その軍用バージョンのY-5Uが開発されています。どちらも公には「大型無人物流機としての実証段階」あるいは「限定運用の検証機」と説明されています。
台湾有事に際しては、アゼルバイジャンの成功例を踏襲するのは難しいでしょう。しかし上陸部隊や空挺部隊の橋頭保に対する低コスト、低リスクの補給機といった使われ方が考えられますし、An-2以外の旧型戦闘機や攻撃機も加えた多機種のドローン・フリートで台湾の防空網を麻痺させる戦術も視野に入るでしょう。
アントーノフAn-2は、大空へのロマンと郷愁をかき立てるレトロな大型複葉機です。しかし、そのコストの低さと、安定性の高い飛行特性、世界中どこでも手に入る普及率の高さ、技術的には枯れた飛行機という点から、現代において軍用機として用いられた場合、最新鋭機とは別の意味で「恐ろしい存在になりかねない」そんな一面も持ち合わせているのです。
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