「金がない」 元夫が「養育費」の支払い拒否…財産、給与“差し押さえ”は可能? 弁護士に聞く必要な対処法
- オトナンサー |

子どもがいる夫婦が離婚した際、親権者にならなかった側の親は法律上、養育費を支払う義務があります。ただ、中には、元配偶者(元夫、元妻)が「お金がない」という理由で養育費の支払いを拒否し、そのまま放置するケースもあります。そのような場合、元配偶者の財産や給与を差し押さえることは可能なのでしょうか。必要な手続きについて、弁護士の永島徹さんに聞きました。
差し押さえの前に「財産開示手続」が必要に
Q.そもそも、離婚時に養育費の支払いに合意した人がその後、支払わなかった場合、罪に問われる可能性はあるのでしょうか。
永島さん「養育費の支払い拒否が刑事罰の対象になるかという観点から考えますと、養育費の支払い拒否による刑事罰というのは制定されていないんですね。
そのため、養育費の支払いを拒否しても刑事罰に問われるということはありません。ただ、養育費の支払い義務という民事上の責任が発生する形になります」
Q.元配偶者から養育費が支払われない場合、請求は可能なのでしょうか。対処法も含めて教えてください。
永島さん「請求の手続きを始めるには、まず夫婦間での協議、交渉という形ですね。内容証明を送ったり、金額や期間の条件を取り決めたりすることになります。もしもそれが難しいということになると、調停を申し立てる手続きなどを進め、養育費の支払いに関する条件を調停や審判で決めることになります。
養育費というのはやはり生活に直結するものであり、調停や審判で決めたのにもかかわらず、支払ってくれないと困るというケースも想像に難くないですよね。そのような場合は、まず裁判所から履行勧告や履行命令という形で支払いを促すように伝える制度があります。
その上で、相手方がお金がなくて養育費の支払いができないと返してきた場合、本当に支払いができない状況なのかどうかを『財産開示手続』という手続きを申し立てて調査することができます。このような手続きを進めることによって、養育費の支払いに応じてもらえるようになる可能性が高まることが考えられますね」
Q.もし元配偶者に養育費の支払いを催促しても支払われない場合はどうすればよいのでしょうか。強制執行の手続きを行い、相手の財産を差し押さえることは可能なのでしょうか。
永島さん「調停や審判によって決定される段階になると、和解調書や審判書などのいわゆる債務名義を取得することができます。この債務名義があると、公的機関のお墨付きを得られたことになり、強制執行を実施できることになるんですね。差し押さえなどの強制執行をするにあたって、まずはどのような財産があるのかというのを把握することが必要となりますが、例えば、強制執行の対象となる財産としては、不動産や預金、車などが挙げられますね。
一方で、差し押さえられるような財産がないという場合は、債権を差し押さえることもできます。例えば、給与債権が考えられますが、あらかじめ差し押さえの手続きを済ませると、債務者の勤務先は、差し押さえられた金額を給与から控除して、債務者に給与を支給することになるため、債務者は給与の一部を受け取れなくなります。その給与から控除したお金を養育費の支払いに充ててもらうという形で養育費の回収をします」
* * *
養育費の支払いを拒否すると、民事責任を問われる可能性があります。養育費のトラブルを防ぐためにも、事前に支払いに関する取り決めをしっかり行いましょう。
オトナンサー編集部
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