金持ち国家に強請っちゃえ!「新型エアフォースワン」に渦巻くトランプ大統領の功名心 かつての「スター大統領」への嫉妬もか?
- 乗りものニュース |

アメリカのトランプ大統領が、中東カタールの王室からジャンボ機を受け取ろうとしていることが報じられました。日本円で600億円相当の「贈り物」を受け取ろうとする神経も疑われますが、その背後には彼の功名心も見え隠れします。
600億円の贈答品「ごっつぁんです」
アメリカのドナルド・トランプ大統領(共和党)が、大型旅客機ボーイング747-8型、いわゆる「ジャンボジェット」を、天然ガスを大量に産出する「金満国家」カタールの王室から受領し、大統領専用機(通称エアフォース・ワン)として導入する意向だと報じられました。
現用の米大統領専用機「VC-25A」(画像:ホワイトハウス)。
747シリーズの最終派生型となった747-8型の新造機は4億ドル(1ドル=148円で600億円弱)で、ロイター通信は「アメリカ政府が受領する最も高額な贈答品の1つとなる」と指摘しています。
合衆国憲法は、大統領などの政府職員が議会の了承を得ずに外国政府から贈与を受けることを禁じています。しかし報道によると、トランプ政権は国防総省が航空機を受け取る形ならば法的に問題はないと判断しているといいます。
とはいえ、それでも航空機を「ごっつぁんです」とばかりに受け取ろうとしていることは物議を醸しており、筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)が前任のワシントン支局駐在中に知り合った野党民主党の支持者は「アメリカ史上最悪の腐敗政権だ」と憤ります。
実際、民主党は倫理的、法的に重大な懸念があると批判しており、チャック・シューマー上院議員は短文投稿サイト「X」で「カタールから提供されるエアフォース・ワンほど(トランプ氏が掲げる)『アメリカ第一』主義の実態を示すものはない」と揶揄しました。
日本では、江戸幕府において第10代将軍だった徳川家治が老中に起用し、在任中に賄賂政治が横行した田沼意次になぞらえてトランプ氏を「現代版・田沼意次」と捉える向きもあります。ただ、江戸幕府が鎖国政策を取っていたこともあり、田沼であっても特定の国に首根っこをつかまれかねない超高額贈答品を受け取ったことはなかったでしょう。
トランプ氏の欲求の背景を探ると、あの「スター大統領」を超えようとする功名心が浮き彫りになります。
納入遅れに不満
トランプ大統領は2025年2月、747-8をベースにした次世代大統領専用機「VC-25B」の納入を巡って「ボーイングには満足していない。エアフォースワン(の製造)には長い時間がかかるが、契約はずっと前に結んでいる」と不満をぶちまけました。
アメリカのドナルド・トランプ大統領(画像:ホワイトハウス)。
VC-25B を2機発注する契約を結んだのは大統領1期目のトランプ氏で、当初は2024年に受け取ることでボーイングと合意していました。しかし、大統領専用機は特別な通信機器や大統領執務室、会議室、寝室などを備えた「空飛ぶホワイトハウス」と呼ばれる特別な仕様のため、映画『エアフォース・ワン』で描かれたテロリストによるハイジャックといった不測の事態を避けるためにも厳重な警備が要求されます。
ボーイングの製造は難航しており、完成は早くても2027年にずれ込む模様です。その場合、任期を全うしても29年1月までしか大統領の椅子に留まることができないトランプ氏にとって、使えるのは短期間に限られます。それまでは「クラシックジャンボ」と呼ばれる747-200Bベースの現行機「VC-25A」を利用し続けるほかありません。同機は2機ありますが、その導入は1990年から翌91年にかけてであり、その運用期間はすでに約35年になります。
実は、このたびのカタールからの受領計画が表面化する前から不穏な動きが見られました。トランプ氏は2025年2月に「飛行機を買うかもしれないし、飛行機を手に入れるかもしれない。別の何かがあるかもしれない」と発言し、アメリカ南部フロリダ州のパームビーチ国際空港に駐機していたカタール所有の747-8型を視察していました。
ホワイトハウスはトランプ氏が次期大統領専用機の仕様に関する理解を深めるために視察したと主張していましたが、ふたを開けてみると“超高額ギフト”の品定めだったと言えるでしょう。
しかも、トランプ氏はカタール王室から受け取る大統領専用機を受け取ったうえで、退任後には自身を記念した大統領図書館に寄贈を受けることまでもくろんでいます。これが示唆するのは、今も根強い人気を誇る第40代大統領(1981~89年)の故ロナルド・レーガン氏(共和党)を超えようとするトランプ氏の功名心です。
退任後のビックリ計画とは…
俳優出身のレーガン氏は停滞していたアメリカ経済のテコ入れを目指し、大幅減税や規制緩和などを柱とする経済政策「レーガノミクス」を推進したことで知られます。レーガン氏を顕彰した西部カリフォルニア州の「ロナルド・レーガン大統領図書館」には、彼が在任中に使用したボーイング707ベースの大統領専用機(退役済み)が展示されています。
アメリカの故ロナルド・レーガン元大統領(画像:ホワイトハウス)。
すなわち、トランプ氏は大きさで上回る747-8型を手に入れて、将来的には自身を記念した図書館に展示し、「レーガン図書館を上回る大きさの大統領専用機」と喧伝する思惑なのでしょう。少なくとも、今の動きではその魂胆が透けて見えます。
しかしながら、大統領専用機は政権が代わっても引き継ぐのが通例です。レーガン図書館の機体も1973~2001年にレーガン氏を含めた7代の大統領に仕えた後に寄贈されました。他国から航空機を受け取る行為ももちろんですが、1代だけ使って退役させるのも非常識の極みと言えます。
さらに、カタールから航空機を受け取れば「スパイ活動に利用されかねない」との声が政府関係者からも出ています。筆者はトランプ氏が受領撤回に追い込まれると可能性が大きいと予想していますが、もしも受け取った場合にはアメリカ政治史の汚点としてトランプ氏は「黒歴史」に名を刻むことになるでしょう。
在任中に日本の首相だった故中曽根康弘氏とも良い関係を築いたレーガン氏は、愛嬌のある人柄で親しまれました。大統領在任中の1981年3月に首都ワシントンで銃撃された「レーガン大統領暗殺未遂事件」では、病院で手術を受ける前に担当外科医に対して「あなたたちが共和党員だと言ってくれ」とおどけて笑わせました。
この時、主に執刀したベンジャミン・アーロン医師は「きょうは全員が共和党員ですよ」と答えてレーガン氏を喜ばせました。手術は大成功に終わってレーガン氏は約3週間で職務に復帰しましたが、アーロン医師は実は民主党員でした。
ちなみに、2021年にアメリカの計100人弱の歴史家と伝記作家が回答した優れたアメリカ大統領のランキングで、レーガン氏は9位とトップテンに入っています。これに対し、トランプ氏は当時任期を終えていた集計対象の44人のうち41位と最底辺の一角に甘んじています。こうしたランキングでのふがいない結果も、野心家として知られるトランプ氏の功名心に火を付けているのでしょうか。
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