つい「失敗談」を話してしまうのは自信のなさ? 心理カウンセラーが説く自虐に隠れた“意外な本音”
- オトナンサー |

それほど親しくない相手に失敗談を話す要因は?(画像はイメージ)
まだそれほど親しくない相手に、つい自分の過去の失敗談を話してしまうことはありませんか。この場合、心理的にどのような要因があるのでしょうか。失敗談を語るメリットやデメリット、失敗談に頼らなくてもできる、コミュニケーション術について、心理カウンセラーのうるかすさんに聞きました。
見捨てられる痛みを先回りして引き受けようとしている
Q.それほど打ち解けていない相手に対して自分の過去の失敗談を語る人がいますが、どのような心理的要因が考えられますか。
うるかすさん「『失敗談を自分から話す』行為には、『自己開示』の心理が働いていると考えられます。相手との距離を縮めるために、失敗という自分の弱みを見せることで相手に安心感を与え、打ち解けやすくするのですね。
そのほかにも、相手に『私も同じようなことを経験した』と思ってもらうことで、自分を理解してほしいという『承認欲求』や、たまった感情を吐き出してストレスを軽減したい『カタルシス』があると思われます」
Q.自分の過去の失敗談を語るのが癖になっている場合、どのようなメリット、デメリットが想定されるのでしょうか。
うるかすさん「相手との関係を深める材料になる点がメリットです。例えば、会社でリーダーが失敗談を共有すると、部下も話しやすくなるのは、『自己開示の返報性』が働くためです。成功話やお説教のように『上から目線』になりませんし、失敗談を聞いた側も安心して弱みを見せられる環境ができます。
自分の弱みを見せることで人間味が増して、相手から好意的に受け取られやすくなる効果もありますね。また、失敗を語ることは『自分の体験』を話しているだけなので、聞き手の『自分のことは自分で決めたい』という欲求を阻むものでもなく、話していて反発が起きにくくなります。
一方、デメリットは、非常に深刻で笑えない失敗談や、自分が消化し切れていない失敗談をしてしまった場合、相手を驚かせてしまうことです。聞き手はどう対応したらよいか、と悩んでしまうでしょう。プライベート過ぎる失敗談を打ち明けると、警戒されてしまう可能性もあります。
このように過剰に自分の失敗談を語ってしまう人の背景には、時に強い見捨てられ不安と罪悪感・自己罰の心理が重なって存在していることがあります。心の奥には『本当の自分を知ったら相手は離れていく』という思いがあり、拒絶される前にあえて重い話をすることで、見捨てられる痛みを先回りして引き受けようとします。
さらに過去の失敗に対する罪悪感から、『自分は責められて当然だ』という感覚が強く、失敗談を語る行為が無意識の自己罰やざんげになっている場合もあります。こうした行動は、自分を傷つけるためではなく、傷つき方を自分でコントロールし、心の安定を保つための防衛的な反応として起こっている可能性も考えられます。
また、失敗談を語った相手が他人の粗探しが好きだったり、人をバカにするのが常だったりする人であった場合、話したことで自分が傷ついてしまうかもしれません。自然体で付き合えない人に語るのは禁物といえます」
Q.失敗談に頼らずに、人とうまくコミュニケーションを取るためには、心理的にどのような方法が有効なのでしょうか。
うるかすさん「相手との信頼関係を築く『ラポール形成』の活用が有効です。『ラポール』はフランス語で『架け橋』を意味し、心理学では『親密な関係』『信頼関係』を表す言葉です。
自分は聞き手となり、話を遮らずに最後まで聞いて受容の姿勢を表し、感情に共感する言葉を掛けてみましょう。相手の話から趣味や興味を引き出せたら質問をして、その話題を盛り上げるのもよいですね。会話が弾むことで相手は会話を心地よく感じて、気を許してくれます。
会話の場面では、相手の話し方やテンポ、声のトーンを合わせてみてください。人は、自分と似たところがある相手に安心感や好感を抱きやすいため、無意識レベルで親近感と信頼感を高める効果があります。
ただし、盛り上げようとするあまり会話が不自然になったり、無理に同調したりするのは禁物です。あくまでも、相手に対する誠実さ、尊重の意を心掛けましょう。
また強い見捨てられ不安や罪悪感、自罰感がある場合、まず「重い話をしなくても関係は壊れない」という体験を少しずつ積むことが有効です。いきなり深い自己開示を目指すのではなく、感情や評価を伴わない事実レベルの会話や、安心感を得やすい日常的なやり取りを重ねていきます。こうした小さな安全確認の積み重ねが、失敗談に頼らない対人関係の基盤を育てていきます」
* * *
自分の失敗談を語る行動の裏には、「人との距離を縮めたい」という心の働きがあったのですね。心理の面から、効果的なコミュニケーション術も知ることができました。より豊かなコミュニケーションが取れると良いですね。
オトナンサー編集部
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