電気も電波もいらない最強の通信手段! 護衛艦が掲げるカラフルな「信号旗」の知られざる意味 “Z旗”の真実とは
- 乗りものニュース |

電気も電池もいらない! 海の上の最強バックアップ通信
2月11日の建国記念の日、2月23日の天皇誕生日、11月1日の自衛隊記念日などには、全国各地の基地にいる自衛艦が、カラフルな旗を掲揚します。これは「満艦飾(まんかんしょく)」と呼ばれる飾り付けで、祝意を表すためのものです。
満艦飾で彩られた護衛艦のマスト(画像:海上自衛隊)
このとき用いられているのが、各艦に備え付けられている自衛艦旗と信号旗です。前者はマスト最上部に掲揚し、艦首からマストを経由して艦尾まで連ねるのは後者ですが、この信号旗のデザインは世界共通で、いまでも現役で用いられています。
信号旗は電源が落ちても、電波が使いにくくても伝えられる「究極のアナログ」といえるもので、旗は全部で40枚あります。内訳は、アルファベットを表す文字旗が26枚、数字旗が10枚、同じ旗を複数使うための代用旗(代用ペナント)が3枚、そして回答旗が1枚となっています。
これらを1枚から複数枚組み合わせて掲げることで、特定のメッセージを周囲に伝えることができます。例えばアルファベットの「U」の旗1枚なら「あなたは危険に向かっている」という意味になります。このシンプルさが、海の上では今でも何よりの安心材料になるのです。
電波を出さずに伝える 軍艦が旗を掲げる戦術的理由
特に護衛艦などの軍艦が旗を多用するのには、軍事的な理由があります。
国際信号旗の軍事的な理由とは?(画像:写真AC)
それは、電波を出さずに意思疎通ができるという点です。無線などの電波は敵に傍受・分析され、自艦の位置や行動の手掛かりになるおそれがあるからです。
そのため、あえて無線を切る「無線沈黙」の状態でも、旗なら仲間と確実に連絡が取れます。また、旗は電波を出さないため敵の電波妨害(ジャミング)の影響も受けにくく、無線を控えたい場面でも使えます。
同時に、旗は船乗りたちの心を伝える役割も持っています。有名なのは「U」と「W」を組み合わせた「UW旗」で、「ご安航(安全な航海)を祈る」という意味が込められています。式典や訓練の節目に、願いを込めた信号旗が掲げられることもあります。
中でも特別なのが「Z旗」です。Z旗は国際信号旗としては本来、実務的な連絡に使う意味を持つ旗で、たとえば引き船(タグボート)など支援が必要な状況を伝える文脈で用いられます。
いっぽう日本では、日本海海戦で東郷平八郎が掲げた逸話によって広く知られており、「ここが勝負どころだ(大成功を期する)」という決意を象徴する旗じるしとして語り継がれてきました。
同じZ旗でも、国際標準の意味と、歴史や伝統に根ざした受け止め方が並行して存在している点が、信号旗の奥深さともいえるでしょう。
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