「鼻血が出るほど興奮する希少車両」が奇跡的に残ったワケ レア車両揃うバス営業所の“二大看板”に乗る方法を聞いた
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大都市圏で見られなくなった“ベテラン”の路線バス車両が活躍を続け、愛好家らが熱視線を送る地方バス会社があります。特に人気があるレトロバスをじっくり楽しめる“裏ワザ”を役員が指南してくれました。
レトロバスの“レジェンド”が君臨
大都市圏で見られなくなった路線バス車両が走り続け、東京からのアクセスも良いため人気なのが、山梨県の国中地域を中心に路線バスを運行する山梨交通(甲府市)です。1990年代製のいすゞ自動車の中型バス「ジャーニーK」を20台程度抱えており、昔乗った車両と“再会”するために訪れるバス愛好家もいます。
山梨交通のモノコックバス「K-CCM410」(大塚圭一郎撮影)
中でも“レジェンド”として君臨するのが2台の動態保存車両です。筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は山梨交通の路線バス事業部長、池田雄次常務取締役執行役員に敷島営業所(甲斐市)を案内してもらい、愛好家がレトロバスに乗車できる“裏ワザ”を聞きました。
1台目は1966年式と同社の最古参車両、いすゞの四輪駆動(4WD)のボンネットバス「TSD40」です。車体は長さ7.5m、幅2.45mで、定員は33人。客席は、背もたれを倒せるリクライニングシートを備えています。
このTSD40は、山梨交通が1962年から2014年まで傘下に入っていた国際興業グループの”渡り鳥”の顔を持ちます。同グループだった岩手県交通が小岩井農場(岩手県雫石町)への輸送用などに使った後、国際興業へ移籍。「さわらび号」と名付け、1997―2002年に現在の埼玉県飯能市にある日帰り入浴施設「さわらびの湯」への訪問者らを運びました。
ところが、首都圏1都3県で2003年10月に施行されたディーゼル車の排気規制厳格化に対応できないため02年で運行を終え、山梨交通が引き取りました。
国際興業の路線バスの車体色をまとっていましたが、山梨交通は太平洋戦争後から1958年までの路線バスのカラーリングに塗り替えました。現在は運行する機会はほぼないものの、イベントなどで展示されると「じっくりと観察するファンが多い」(乗務員)とか。
それでも、ボンネットバスと比べても「引けを取らないほどすごい反響がある」と池田常務が舌を巻くのが、もう1台の動態保存車両です。
“ちょいレトロバス?” 廃車に待ったをかけたのは…
それは、いすゞがシャーシ、川重車体工業(現・ジェイ・バス)が車体を製造した1980年式の中型モノコックバス「K-CCM410」です。
山梨交通の路線バス事業部長、池田雄次常務取締役執行役員(大塚圭一郎撮影)
モノコックバスは航空機の設計技術を生かして開発され、フレームの替わりに鉄板などの外板だけで強度を得られるように設計しているのが特色です。強度を持たせるために丸みを帯びた車体にしており、鉄板の張力を高めるためにピン状の「リベット」を多く打ち込んでいます。現在主流の角ばったスケルトン構造(細いフレームで骨格をつくりボディを貼っていく方法)の前によく見られた形です。
K-CCM410は前面に大きな2枚窓を設けており、運転席からの視界が優れているのが長所です。床には木の板が敷かれており、筆者は幼少期に乗った車両を思い出しました。
山梨交通の池田常務は「この車は、現在の雨宮(正英)社長の考えで残すことが決まったのです」と打ち明けました。
動態保存されている車番「C486」(「C」は乗合バスを指す)の車両は、山梨交通が新車として購入して伊勢町営業所(甲府市)に配置したものです。小回りが利きやすい中型バスのため、道路幅が比較的狭い住宅街と甲府駅バスターミナルを結ぶ路線などに運用しました。その後、子会社だった山梨交通観光バス(現・山梨交通)に移籍して“余生”を過ごしていました。
山梨交通は同じタイプのいすゞ「CCM」シリーズを1970年代後半から80年代初頭にかけて大量導入しましたが、池田常務は「どんどん廃車にしてつぶしてしまっていた」と指摘します。「C486」も解体の瀬戸際に立たされていたところ、待ったをかけたのが雨宮氏でした。
雨宮氏は「カラーリングを塗り直し、後世のために保存するように」と指示し、山梨交通が1958―87年に採用していた旧塗装へのリバイバルが決まりました。晴れて山梨交通設立60年の節目となる2005年に“復活”し、今も山梨交通の動態保存車における二枚看板の一角を担っています。
なお、動態保存している2台はともにナンバープレートが「805」(TSD40が「山梨230 あ 805」、K-CCM410が「山梨230 う 805」)で、これは社名の略称「山交」の語呂合わせで選んだ「希望ナンバー」だそうです。
愛好家にお薦めの“裏ワザ”とは
今や「鼻血が出るほど興奮する希少車両」(バス愛好家)とされる山梨交通のK-CCM410ですが、通常の路線バスで運用することはありません。乗車できる方法を池田常務に尋ねると、2つの方法を提案しました。
一つは山梨交通などが実施するツアーでの運用時に参加することです。2025年6月1日には山梨交通80周年を記念してK-CCM410と、同じく1980年式のモノコックバスである国際興業のいすゞ「BU04」を乗り比べられるツアーが開催されて満員御礼となりました。
そしてもう一つ、池田常務が提案した“裏ワザ”はK-CCM410の「貸切運行」です。実際、「ファンの方々などからの依頼で、年に数回ほどの貸切運行がある」と明かしました。
路線バス事業部の野口友大副部長は、2024年度の貸切運行として「甲府市内および周辺市・町のバス終点地や、当社の営業所をルートとする事例があった」と説明します。ただし、登場から約45年が経過した車両だけに「走行範囲などで希望に添えない場合もあります」とくぎを刺しました。
貸切料金は運行時間や行程によって決まるものの「1日の貸切で10万―15万円程度となり、半日であれば半額程度だと想定される」そうです。
パワーステアリングがよく効く新しいバスに比べると、ハンドル操作が重い「重ステ」なのが乗務員泣かせです。ただ、野口副部長は「全体としてバス乗務員は車両に興味があるため、運転することは楽しみになっている」と解説しました。
貸切運行の問い合わせは山梨交通観光バス事業部まで。ツアーに参加するのか、それとも愛好家らで貸切運行をするのかは判断に迷うかもしれませんが、全国的に見ても貴重なK-CCM410に愛好家が乗るべきなのは迷う余地はありません。
【動画】ボンネット&モノコックバス「動かしてもらいました!」
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