旅行時に「乗り物酔いがつらい」…どうすればいい? 医師兼プロ海釣り師が教える“有効な予防法”
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9月の3連休中に旅行に出掛ける人は多いと思いますが、旅行の際に車やバス、電車などに乗ったときに乗り物酔いに悩まされることはありませんか。SNS上では「旅行が好きだけど乗り物酔いをしてしまう」「乗り物酔いがつらい」などの声が上がっています。乗り物酔いを防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。
医師業の傍ら、約30年にわたってプロアングラー(海の船釣り師)としても活動し、乗り物酔いの対処法に詳しい、美容外科「SOグレイスクリニック」(東京都品川区)院長で美容外科医、脳神経外科専門医、医学博士の近藤惣一郎さんに聞きました。
乗り物酔いの主な原因は「感覚のズレ」
Q.乗り物酔いの原因について、教えてください。
近藤さん「乗り物酔いとは、乗り物に乗っているときに、吐き気やめまい、冷や汗などの不快な症状が起こる状態のことです。これは一種の生理的な現象であり、病気ではありません。
乗り物酔いの主な原因は、『感覚のズレ(感覚混乱説)』です。私たちの体は、内耳にあり、平衡感覚をつかさどる器官である三半規管や耳石器、目から入る視覚情報、筋肉や関節から伝わる体の位置情報など、複数の感覚器からの情報を脳に送ることで、バランスを保っています。しかし、乗り物に乗っていると、これらの情報が一致しなくなります。乗り物に乗っているときに内耳と視覚は次のように働きます」
■内耳
乗り物の揺れや加減速によって、内耳のリンパ液や耳石が動き、体が動いているという情報を脳に送ります。
■視覚
乗り物に乗っているときに本を読んだり、スマホの画面を見たりしていると、視覚情報としては「体が静止している」という情報が脳に送られます。一方、窓の外の景色が目まぐるしく変わる場合も、脳が処理し切れない情報として捉えられます。
この「体が動いている」という情報(内耳)と、「体が静止している」または「予測できない動きをしている」という情報(視覚)のズレが、脳に混乱を引き起こします。脳がこの不一致を危険な状態と判断し、自律神経を乱すことで、吐き気や嘔吐(おうと)、めまいといった不快な症状が引き起こされると考えられています。また、乗り物酔いが生じやすい原因として、次の3点が挙げられます。
【乗り物酔いが生じやすい原因】
(1)体調
睡眠不足や疲労、空腹、満腹の状態、風邪などで自律神経が乱れていると、酔いやすくなります。
(2)精神的な要因
「酔うかもしれない」という不安や恐怖感は、乗り物酔いの症状を悪化させる一因となります。
(3)年齢
平衡感覚が未発達な子どもや、自律神経が不安定になりがちな思春期の子どもに多く見られます。
Q.乗り物酔いの対策について、教えてください。
近藤さん「乗り物酔いを防ぐためには、出発前と乗車中の両方で対策をすることが重要です。次のような取り組みをお勧めします」
■乗る前の対策
(1)体調を整える
前日は十分に睡眠を取り、体調を万全にしましょう。
(2)食事に気を付ける
空腹でも満腹でも酔いやすくなります。出発前に消化の良いものを適度に取りましょう。白いパンよりも、全粒粉パンやライ麦パンの方が、消化が緩やかで血糖値の急上昇を抑えられます。おにぎりも具材に注意し、油分が少ないものを選んでください。
(3)服装
体を締め付けない、ゆったりとした服装を選びましょう。
(4)事前に酔い止め薬を飲む
酔い止め薬は症状が出てから飲むのではなく、乗り物に乗る30分前に服用する必要があります。過剰に飲んだり、酔ってから服用したりすると逆効果で、寒気、眠気、ふらつきが強まる場合があります。酔ってからは胃薬を飲むのが効果的です。
■乗車中の対策
(1)揺れが少ない場所に座る
・車
進行方向が見える助手席がお勧めです。また、後部座席の中央は揺れが少なく、窓から遠くの景色が見やすいため、効果的です。
・バス
可能な場合、前方の席に座るのが良いでしょう。
・船
船の中央や後方は揺れが少ない場所です。
・飛行機
中央付近が、揺れが少ないといわれています。
(2)遠くの景色や進行方向を見る
乗り物に乗っているときに遠くの景色や進行方向を見ることは非常に大切です。先述の内容と重なりますが、乗り物酔いの原因は、内耳にある三半規管などの平衡感覚器が感じる揺れや加速の信号と、目が捉える景色などの視覚情報が一致しないことによって、脳が混乱することです。窓側に座ることで、遠くの景色や水平線を眺めることで、視覚情報と内耳の情報が一致しやすくなります。この不一致の解消により、乗り物酔いを防ぐことができるという医学的根拠は次の通りです。
・視覚情報の活用による脳の混乱の軽減
窓から外の景色を見ることで、乗り物の揺れや動きに合わせて視覚情報を取り入れることができます。これにより、平衡感覚器が感知する揺れと、目が捉える景色の動きが一致し、脳の混乱が軽減されます。
例えば、バスがカーブを曲がる際、内耳は遠心力による傾きを感じますが、窓から外の景色を見ていると、景色も同じように動いているのが見えるため、脳は「乗り物がカーブしている」と正しく認識し、不快感を覚えにくくなります。
・遠方を見ることで焦点を合わせる
乗り物酔いをしやすい人は、近くにあるスマホや本に集中しがちです。これにより、揺れを感じているにもかかわらず、視覚情報は静止していることになり、脳の混乱がさらに悪化します。
窓から遠くの景色を見ることで視線が安定し、焦点が一定になるため、目の疲労が軽減され、乗り物酔いの症状が和らぎます。遠くの景色に焦点を合わせることは、揺れと視覚情報の不一致を解消する有効な手段です。
なお、乗車中にヘッドレストにもたれるなどして頭を固定すると、首も固定され、精神的な不安や肩こりを生じさせるため逆効果になりかねません。
(3)窓を開ける
車やバスに乗っているときに窓を開けられる場合、ぜひ開けてみてください。新鮮な空気を吸い、気分転換を図りましょう。
(4)読書やゲームは避ける
手元に視線を固定することは、感覚のズレを大きくするため避けましょう。
(5)リラックスする
音楽を聴いたり、同乗者と会話をしたりして、気分を紛らわせましょう。不安な気持ちを和らげることも大切です。
もし乗り物に乗っているときに酔ってしまった場合は、無理をせず、シートを倒して楽な姿勢になり、新鮮な空気を吸いましょう。吐き気がある場合は、無理に我慢せず吐いてしまった方が楽になることもあります。
オトナンサー編集部
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