「戦える空中給油機」爆誕!? ドローン放って振り払え! 狙われる「空の守り神」たち
- 乗りものニュース |

米軍が空中給油機に「自衛用ドローン」の搭載を検討していると報じられています。空中給油機や早期警戒管制機といった「空の守り神」的な軍用機は、同時に脆弱性も抱えています。その防護策が、各国で課題となっているようです。
空中給油機に自衛用ドローン「100機搭載」!?
2025年7月4日付の「Cerro e motos」など複数の海外サイトは、アメリカ空軍がKC-135空中給油機に、自衛用小型ドローン(無人航空機)の射出システムの搭載を検討していると報じました。
アメリカ空軍のKC-135空中給油機(画像:アメリカ空軍)。
空中給油機から自衛用小型ドローンを射出するというアイデアは、KC-135をはじめとする空中給油機と、C-17などの輸送機を運用する航空機動軍団から生まれたもので、アメリカ空軍は2023年から2024年にかけて、「KC-135ドローンデリバリーシステム」という名称の機器類をKC-135に搭載して、テストを行っていたようです。
KC-135ドローンデリバリーシステムは、長さ1.2m、直径152mmのチューブ状のドローン射出装置などを収容するコンテナと、最大100機のドローンを搭載できるラック、ドローンの制御用ステーションと通信システムなどから構成されているようです。敵対勢力のドローンなどがKC-135に接近してきた場合、KC-135の側面ドアからチューブ状射出装置を使用してドローンを射出し、接近する脅威に対してドローンを体当たりさせることで無力化します。
射出を想定しているドローンの機種は明らかにされていませんが、このニュースを報じた複数の海外メディアによると、RTXの「コヨーテ」か、アンドゥリルの「ALTIUS-600」なのではないかと推測されています。KC-135デリバリーシステムには射出したドローンの回収機能はありませんので、使い捨てが可能な上記の機体が使用される可能性は高いと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
なお、アメリカ空軍の航空機動軍団において2024年まで司令官を務めていたマイク・ミニハン退役大将は、このシステムで射出されるドローンは偵察や着陸前の自機の損傷確認などにも使えると述べています。
空中給油機や早期警戒管制機(AEW&C)などは、その支援によって戦闘機戦力を有効に活用できる効果を持つことから、「フォース・マルチプライヤー」と呼ばれます。戦略上、重要なこれらの機体は、同時に脆弱性も抱えています。
狙われるフォース・マルチプライヤー
現在運用中または開発中のフォース・マルチプライヤーは、戦闘機ほど運動性の高くない旅客機や貨物機をベースとしており、反撃用の機銃なども搭載していません。このため現代の空対空戦闘では、まず運動性が低く、反撃能力の無いフォース・マルチプライヤーを優先的な攻撃目標とする傾向が強くなっています。
ロシアと戦争中のウクライナが、ロシア航空宇宙軍の投入したA-50早期警戒管制機を付け狙い、2024年に2機を撃墜。また2025年に行われた自爆突入型ドローンによるロシア航空宇宙軍基地への攻撃でも、A-50は優先攻撃目標となっています。このためフォース・マルチプライヤーの側も生存性を高めるための手段の獲得が求められています。KC-135ドローンデリバリーシステムも、その考え方に基づいて考案されたものでしょう。
アメリカ空軍は、KC-135ドローンデリバリーシステムの開発完了に必要な費用を2026会計年度予算において要求しているため、実用化されるかは今のところ不透明です。一方で、フォース・マルチプライヤーの生存性を高める手段の研究開発は、アメリカ以外の国でも行われています。
各国で急ぐ「フォース・マルチプライヤー防衛策」とは
オーストラリアはボーイングと共同で、多用途UAS(無人航空機システム)MQ-28「ゴーストバット」の開発を進めています。戦闘機と協働して偵察や戦闘を行うCCA(協働交戦航空機)の開発は各国で進められており、同機もオーストラリア空軍のF-35A戦闘機などと協働するCCAの側面を持っています。
E-7Aと共に飛行するMQ-28のイメージイラスト(画像:ボーイング)。
しかし、同空軍とボーイングはMQ-28をE-7A AEW&Cといったフォース・マルチプライヤーの護衛機として活用する方針も示しており、2025年6月16日には、E-7AからMQ-28を遠隔操作する試験を成功させています。
この試験ではMQ-28の実機2機と、MQ-28を忠実に再現したデジタルデータ機1機をE-7Aから制御し、最終的にはE-7Aに搭乗する1人のオペレーターが、3機のMQ-28を制御しています。
いずれ無人化されていく? フォース・マルチプライヤーの未来
スウェーデン空軍とフランス航空宇宙軍が採用を決定したサーブのAEW&C機「グローバルアイ」もビジネスジェットをベースとする非武装機ですが、搭載されている電子戦システム「AREXIS」は、敵性航空機のレーダーを無力化するほか、電子的に自機や味方航空機の幻影を作り出す能力を持つと言われており、従来の早期警戒(管制)機に比べて生存性が大幅に向上しています。
アメリカ空軍はE-3早期警戒管制機機(AWACS)の後継機としてE-7Aの導入を内定していましたが、ピート・ヘグセス国防長官は2025年5月に、E-7Aでは現代の戦場において生存が困難なため、人工衛星などを活用する宇宙ベースの空中移動目標の認識能力(AMTI)を拡充することで対応すると発表しています。
そして、その能力が充実するまでは航空自衛隊も運用しているE-2D早期警戒機でカバーしていくべきだと述べており、アメリカ空軍は一旦内定したE-7Aの導入をキャンセルするようです。
筆者は将来的に、AEW&Cの役割は情報収集衛星やUASが、空中給油機の役割もアメリカ空軍が研究を進めている、高いステルス性能を持つ「NGAS」のような生存性の高い有人機とUASが担うことになると思っていますが、こうした「ゲームチェンジャー」が実用化されるまでの間は、ドローンデリバリーシステムのようなフォース・マルチプライヤーの生存性を向上させるための取り組みは活発化していくものと思われます。
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