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三浦知良選手、53歳の最年長出場は手放しで喜べない? 若手の機会損失など批判も

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最年長出場記録をつくった試合で相手をかわす三浦知良選手(2020年9月、時事)
最年長出場記録をつくった試合で相手をかわす三浦知良選手(2020年9月、時事)

 サッカーJ1・横浜FCの三浦知良選手(53)が9月23日、川崎フロンターレ戦に先発出場し、J1の最年長出場記録を大幅に更新しました。ゴールこそならなかったものの、53歳でトップリーグのフィールドを走る姿に、SNS上では「53歳で現役ってすごい」「感動しました!」「懸命な努力を続けた結果だと思う」といった称賛の声が集まりました。

 かつて、若手に出場機会を与える意味で「もうお辞めなさい」とテレビで発言した野球解説者の張本勲氏も今回の偉業を「立派と言うしかない」と絶賛。ただ一方で、横浜FCについて「逆に言えば、若手が伸びてない」と苦言。ネット上でも、「53歳で通用する日本サッカーってどうなんだろう」「客寄せじゃないのか?」といった批判的な声が一部にあります。

 三浦選手の快挙を巡る賛否の声について、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事で尚美学園大学の江頭満正准教授に聞きました。

観客は何にお金を払うのか

Q.53歳の三浦選手が現役を続け、試合に出ることについて、どのように思われますか。

江頭さん「Jリーグはプロサッカーリーグです。ワールドカップや高校サッカーのように、競技力で優劣をつけることだけが目的ではなく、サッカーというスポーツを観客に見せる商行為です。ですから、横浜FCも株式会社で、営利企業です。『プロ』は営利目的の興行であるという前提を認識することが重要です。『勝利が全て』ではありません。

この前提に立つと、三浦選手が公式戦に出場し、ピッチでその勇姿を見せてくれることは、顧客である観客が求めていることだと思います。事実、三浦選手が公式戦に出場した際、スタジアムの観客は『よかった』『ラッキー!』などの感想を多く持ったようです。9月23日の試合で横浜FCは敗戦しましたが、観客の満足度は高かったのではないでしょうか。

また、三浦選手の出場について考える際には『プロスポーツを見に行く観客は何に対してお金を払っているか?』ということを考えると分かりやすいと思います」

Q.何に対してお金を払っているのでしょうか。

江頭さん「私は大学でスポーツビジネスを教える際、スポーツビジネスの大前提として『プロスポーツを見に行く観客は何に対してお金を払っているか?』という質問を授業で最初に行います。これから、勉強をスタートさせる大学1年生は『チケット』『勝利』『感動』などと回答します。チケットは引換券であって、購入する『モノ』とは異なるので不正解です。

勝利を商品の一部として販売しているとしたら、50%近くの試合は“不良品”ということになり、購入者から返金要求をされてもおかしくありません。よって、これも不正解です。感動は定義が難しく個人差もあります。感動を商品の主要要素とすると、ワンサイドで大敗した場合には、そのゲームは“不良品”になります。

私は講義で次のように説明します。観客によって異なりますが、お金を払う目的は分類すると5つです。

(1)チームの勝利(『推し』のチームが勝利する過程をスタジアムで楽しむ観客)
(2)選手のファン(『推し』の選手が活躍する場面を見ることが大重要、勝敗は二の次)
(3)応援を楽しむ(ラッパを吹いたり、太鼓をたたいたり、応援ファッションに身を包んだり、応援すること自体を満喫している観客)
(4)プロの競技力を見る(プロの素晴らしいパフォーマンスや戦術をスタジアムで見て楽しむ観客)
(5)そのほか(スタジアムの雰囲気を味わう、一緒に行く人と楽しい時間を過ごす、おいしいお酒をのむため、など)

ですから、『チームが弱くなると観客が減る』とよく言われますが正解ではありません。阪神タイガースがBクラスで低迷していた時代も観客数の大幅な減少はありませんでした。三浦選手の出場は希少性からいえば、横浜FCの勝利より高く、(2)の『選手のファン層』にとっては見る価値のある試合になったと思われます」

Q.横浜FCが三浦選手と契約を続け、出場させることについて、どう思われますか。

江頭さん「観客が『カズさんを見たい』と思ったり、53歳とは思えない身体能力を見て勇気をもらったり、『頑張ろう』と思えるなら、出場させるべきです。もちろん、三浦選手が出場することによって、チームのパフォーマンスが落ちてはいけません。ベテランだろうと若手だろうと、公正な評価をして公式戦への出場機会を得られるのなら、年齢にこだわる必要はありません。

もし、年齢にこだわるのであれば、スポーツの素晴らしい一面である『パフォーマンスが高ければ、肌の色や宗教、話す言語は関係ない』という公平性を欠くことにもなりかねません」

Q.横浜FCの若手選手にとって、三浦選手が出場することはプラスなのでしょうか。あまりプラスはないのでしょうか。

江頭さん「プラス面はいくつでも挙げられると思いますが、マイナス面があるとすれば、野球解説者の言った『若手の出場機会損失』でしょうか。しかし、三浦選手に出場機会を奪われた若手プレーヤーは『53歳に負けるなんて情けない』と奮起するのではないでしょうか。もし、『カズさんだから仕方ない』とレジェンドブランドに負けたと考え、責任転嫁したなら、成長の機会を失ってしまいますが…。

ベテランがベンチにいることは、チームにとってのプラス面は計り知れません。三浦選手は10代の時から、日本を代表するサッカープレーヤーで、彼の勇姿に憧れてサッカーを始めたプロ選手も少なくありません。プロ意識やストイックな練習内容など、若手プレーヤーに与える刺激は数え切れないでしょう」

「50代でもできる」…多くの人への刺激に

Q.53歳での出場について、称賛の声が圧倒的に多いことをどう受け止めればよいのでしょうか。

江頭さん「三浦選手は尋常ではない努力をした結果、53歳でJ1の公式戦に出場可能な体とパフォーマンスを維持していると思われます。『50代だって頑張ればできるんだ』『カズさんみたいになりたい』という刺激を発信できたことは、スポーツの大事な効果の一つです。

重要なのはパフォーマンスです。もし、三浦選手の体があまり動かなくなったとしたら、それなのに『レジェンドだから』という理由で公式戦に出場することは見ている人を失望させるので、絶対に避けなくてはなりません。9月23日の出場は若手と遜色ないパフォーマンスだったから、称賛を受けたのでしょう」

Q.53歳での出場が、三浦選手ではなく他の選手でも同じ反応だったと思われますか。

江頭さん「いいえ、違うでしょう。先ほど述べたように、10代の時から日本を代表するサッカープレーヤーで、日本のサッカー界をけん引してきたという実績と一目で分かる高いパフォーマンスがあるからです。三浦選手は『ヒーロー』ですから」

Q.53歳でトップリーグに出場することについて、日本サッカーのレベルの問題を指摘する声もあります。

江頭さん「2008年に、テニスのクルム伊達公子さんが37歳で現役復帰した際にも、同様のことが言われました。12年間のブランクがあっても、日本のトッププレーヤーと互角にゲームを行ったからです。しかし、それもほんの一時で『日本テニス界のレベル』などよりも、クルム伊達さんの復帰が日本テニス界に与えた功績の方が注目されるようになりました。

9月23日のゲームで三浦選手と対戦した川崎フロンターレのプレーヤーはどう感じたでしょう。真剣にサッカーをしている人の目からみたら、『カズさんが出場できるほど、日本サッカーは弱体化した』とは見えないと思います。批判は、注目度の高い三浦選手の出場に合わせて自分の主張を広く認知させたい人やメディアの詭弁(きべん)にすぎないと思います」

Q.今後の三浦選手に対して、何か思うことがあれば教えてください。

江頭さん「引退の時期を間違わないでほしいです。観客を失望させない体を少しでも長く維持していただきたいですが、それができなくなった時、ガクンと落ち込んでしまった時はキッパリと引退していただきたいと思います。『カズさん』は老若男女が認めるヒーローで、湯川秀樹やエジソンのように『偉人伝』になっても不思議はない人です。その締めくくりにふさわしい終わり方をしていただきたいです」

オトナンサー編集部

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