ネット通販で購入した「クリスマスケーキ」が指定日時過ぎても届かなかった…“賠償請求”は可能?【弁護士が解説】
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「ケーキ店まで直接取りに行く時間がない」「専門店のケーキが手軽に買える」などの理由で、ネット通販でクリスマスケーキを購入した人もいるのではないでしょうか。ただ、今年はブラックフライデーや年末商戦などにより荷物が急増した影響で、一部地域では宅配会社が指定日時通りに荷物を配達できないケースが発生しています。実際にSNS上では、「クリスマスケーキ届かない」「午前中に配達予定のクリスマスケーキが届きません」「クリスマスイブに届く予定のケーキが配送ミスで届かないことになった」などの声が上がっています。
もしネット通販で購入したクリスマスケーキが配達の指定日時を過ぎても届かず、クリスマスに間に合わなかった場合、宅配会社に損害賠償を請求することは可能なのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
損害の証明が難しい
Q.ブラックフライデーや年末商戦などにより荷物が急増した影響で、一部地域では荷物の配達に遅れが生じています。もしネット通販でクリスマスケーキを購入後、指定日時を過ぎても届かなかった場合、購入者は宅配会社に損害賠償を請求できるのでしょうか。
牧野さん「宅配会社の配達遅延があれば、運送契約の債務不履行責任として理論上、損害賠償を請求できます。ただ、ケーキの配達がクリスマスに合わなかったという事例の場合、主に配達遅延で精神的損害を被ったことによる慰謝料の請求となるため、損害の証明が非常に難しいです。
さらに運送契約には、国土交通大臣が定める『標準宅配便運送約款』が適用されますが、同約款の25条に基づき、宅配業者に故意、重過失(悪質な契約違反)がない限り、送り状に記載された荷物の価格(責任限度額)の範囲内でしか請求できません。慰謝料の請求が認められても、ケーキ代と同程度の金額ではないでしょうか」
Q.もしケーキの販売サイトで「商品が指定日時に届かない可能性がある」という内容の文章が記載されていた場合、商品の販売会社や宅配会社が法的責任を免れる可能性が高いのでしょうか。
牧野さん「『納期は目安であり商品が指定日時に届かない可能性がある』と注記されており、それが契約条件とされていれば、商品の販売元や宅配会社が債務不履行責任を免れる可能性は高いでしょう」
Q.2023年12月、大手百貨店の高島屋がネットで販売した冷凍ケーキが崩れた状態で届く事例が相次ぎ、批判が相次ぎました。もしネット通販で購入した冷凍ケーキが崩れていた場合、誰が責任を問われるのでしょうか。
牧野さん「冷凍ケーキが崩れた状態で届いた原因が『荷物の配送・管理がずさんだった』『ケーキの構造上崩れやすい』『梱包(こんぽう)が適切でなかった』ことが原因の場合には、荷物の配達を担当した宅配会社の責任となりますし、『十分に予冷したり冷凍したりせずに出荷した』ことが原因の場合は、ケーキの製造者や販売者の責任となるでしょう」
Q.もしネット通販で購入したケーキが崩れていた場合、弁償や返金を請求できる可能性はありますか。この場合、誰に弁償や返金を求めたらよいのでしょうか。
牧野さん「ケーキ売買契約の債務不履行責任として、ケーキの製造者や販売者に損害賠償請求(弁償や返金)を求めるべきでしょう。2023年12月、高島屋が販売したクリスマスケーキ約2900個のうち1100個ほどが、配送時に崩れていた事例では、高島屋は販売責任者として購入者にケーキ代金を返金しています。
運送会社のずさんな運送管理に原因があり、それを証明することができれば、運送会社に対しても、運送契約の債務不履行責任として、損害賠償請求(弁償や返金)を求めることができます。しかし、先述のように、国土交通大臣が定める運送約款では運送業者に故意、重過失(悪質な契約違反)がない限り、送り状に記載された荷物の価格(責任限度額)の範囲内でしか請求できません」
Q.ネット通販で購入したケーキが崩れており、一部を食べたとします。この場合、弁償や返金は困難なのでしょうか。理由も含めて、教えてください。
牧野さん「法的には購入者が利益を受けた限度で損害賠償金額が減額される可能性があります。ただ、ケーキの販売会社が大手の場合は、自社のブランドイメージを維持しようとする可能性が考えられるため、購入者がケーキの一部を食べたとしても、全額返金してもらえる可能性が高いでしょう」
Q.もしネット通販で購入した商品を巡り、商品の破損や配達遅延などのトラブルに巻き込まれた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
牧野さん「運送会社に直接連絡するのでなく、まずは購入者が直接契約している販売者に連絡して適切な対応を求めるべきです」
Q.ネットで販売されているケーキを巡る裁判の事例について、教えてください。
牧野さん「香川県内のケーキの販売会社が2020年冬にネットで販売したケーキを巡り、一部崩れた状態で配送されたとして、販売会社が運送会社に対し、損害賠償を求める裁判が高松地方裁判所丸亀支部に提起されました。
報道によると、2024年5月30日の判決で、裁判官は運送会社の冷凍車や冷凍倉庫に故障や不備がなかったことなどを挙げ、『ケーキ損傷の原因は、運送会社側の温度管理ではなく、販売会社側の予冷不足にあったと示唆するものである』と指摘したといいます。また、販売会社に多くの注文があり、『十分な予冷時間を取らないまま出荷に至ったことが強く疑われる』ことを理由に、販売会社側の請求を退けました」
オトナンサー編集部
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