飛行機の「巨大な皿、まな板、こぶ」もう不要!? 空飛ぶレーダーサイト、時代は「無人機」へ 日本も注目?
- 乗りものニュース |

米GA-ASIとスウェーデンのサーブが、早期警戒機型のUAS(無人航空機システム)を共同開発します。一体どの国に狙いを定めているのでしょうか。大きなレーダーシステムを搭載した有人機という早期警戒機のイメージも変わりつつあります。
早期警戒機も「UAS」で 開発合意
2025年6月16日、アメリカのUAS(無人航空機システム)のメーカーであるジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)とスウェーデンのサーブが、GA-ASIのUAS「MQ-9B」をベースとする早期警戒機を開発するための戦略的パートナーシップの締結に合意したことを明らかにしました。
早期警戒機といえば大きなレドームが特徴。写真は退役したイギリス空軍のE-3(画像:イギリス空軍)
現代の空戦に重要な早期警戒機は、大きなレーダーシステムを搭載した有人機といイメージがあるかもしれませんが、もはやその常識も変わりつつあるようです。
サーブと言えば一定年齢以上の方には、バブル期に「モテ車」として有名だった「サーブ900」などの乗用車メーカー(乗用車事業からは2000年に撤退)、それより下の世代ではJAS39「グリペン」をはじめとする戦闘機メーカーのイメージが強いのではないかと思います。
しかし2006年に大手通信機器メーカーエリクソンの子会社で、グリペンに搭載されているPS-05/Aレーダーなどを開発したエリクソン・マイクロウェーブ・システムズを買収して以降は、レーダー事業を柱の一つに据えています。航空機用レーダーでは2025年6月に同社の開発した「エリアイ-ER」レーダーを搭載する早期警戒管制機「グローバルアイ」がフランス航空宇宙軍に採用されるなど、着実に市場での存在感を大きなものにしています。
MQ-9Bをベースとする早期警戒機がどのようなUASとなるのかは明確にされていませんが、サーブが公開した写真を見る限り、E-2早期警戒機のような回転式レーダーやグローバルアイのような固定式レーダーをMQ-9の機体に搭載するのではなく、レーダーや早期警戒システムを収容したポッドを、MQ-9Bの主翼パイロンから懸吊する形になりそうです。
英空母の早期警戒機更新が背景に
まもなく来日する「プリンス・オブ・ウェールズ」をはじめとするイギリス海軍のクイーン・エリザベス級空母2隻は、2025年6月現在、早期警戒管制システム「クロウズネスト」を搭載するマーリンMk.2(AW101)ヘリコプターを、早期警戒機として搭載しています。
イギリス海軍の早期警戒機型のマーリンMk.2。右側の黒い突起がレドームの役割を担う(画像:イギリス海軍)
クロウズネストはヘリコプターに搭載する早期警戒システムとしては世界的に見てもその性能はトップレベルですし、そもそも2021年3月に就役したばかりなのですが、イギリス国防省は2025年1月に、早期警戒機型のマーリンMK.2を退役させる方針を決定しています。
就役まもない早期警戒機型のマーリンMk.2を退役させる理由として、イギリス国防省はプラットホームがヘリコプターであるが故に航続距離が短く、上昇限度が固定翼機に比べて低いため、固定翼機型の早期警戒機に比べて捜索可能な範囲が短いことなどを挙げています。マーリンMk.2では、今後クイーン・エリザベス級に求められるであろう任務の達成が困難になると見ています。
この早期警戒機型マーリンMk.2の後継機には固定翼機型UASが充てられる予定となっており、GA-ASIとサーブのMQ-9Bをベースとする早期警戒機の開発協力は、イギリスの需要を狙ってのことと考えられます。
クイーン・エリザベス級空母で運用される計画の固定翼UASは「ビクセン」と呼ばれており、まだ機種選定は行われていませんが、イギリスのマリア・イーグル国防副大臣は2025年6月、MQ-9Bがクイーン・エリザベス級空母で運用可能であることは確認されており、GA-ASIとサーブが協力して開発する早期警戒機が有力な選択肢になり得ると述べています。
日本も「艦上運用可能な早期警戒機」を検討
実のところGA-ASIとサーブが協力して開発する早期警戒型UASは、日本とも無関係なわけではありません。
海上保安庁における「シーガーディアン」の運用イメージ(画像:GA-ASI)
防衛装備庁は2025年1月15日、「艦上運用可能な早期警戒機の検討」を行う事業者の一般競争入札を実施しています。
この入札が成立したのか否かは不明ですし、防衛装備庁は落札者が検討を行う艦上運用可能な早期警戒機の詳細を発表していませんが、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦で運用可能な早期警戒機を指すものではないかと考えています。
2018年12月15日付の日刊工業新聞は、政府関係者の話として、いずも型が軽空母として運用される時は、航空自衛隊のE-767早期警戒管制機を陸上基地から発進させ、いずも型の支援にあたらせる案が防衛省で検討されていると報じています。この検討を重ねた結果、それでは不十分だという結論に達したため、艦上運用可能な早期警戒機の導入を検討することになったのではないでしょうか。
いずも型(約247m)はクイーン・エリザベス級(約277m)に比べれば飛行甲板の全長が短いため、そのままMQ-9Bが発着艦できるのかは不明ですが、GA-ASIが開発を進めているMQ-9BのSTOL(短距離離着陸)を可能にするSTOLキットや、GA-ASIの親会社であるジェネラル・アトミクスが2025年1月に開発構想を発表した、電磁カタパルトを使用するUAS射出システムを追加すれば、十分運用可能であると考えられます。
海上自衛隊は既にMQ-9Bシリーズの「シーガーディアン」の採用を決定していますので、順調に開発が進めば、早期警戒機型MQ-9Bは、「艦上運用可能な早期警戒機」の有力な選択肢になり得るのではないかと思います。
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