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埼玉県内だけで7時間! 日本唯一のテンダーSL「夜行列車」に乗った 「こんな夜中にまさか…」の連続!?

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東京から日帰りできても「あえて夜行」

 東京駅から上越新幹線「たにがわ」に乗り込めばわずか38分で着く熊谷(埼玉県熊谷市)。4―12月の土休日に熊谷を発着し、三峰口(埼玉県秩父市)を結ぶ秩父鉄道の蒸気機関車(SL)列車「SLパレオエクスプレス」は「東京から日帰りで楽しめるSL旅行」として人気を集めています。

Large figure1 gallery11夜行で運行された「第51三峰号」。特製ヘッドマークは見覚えあるデザイン(大塚圭一郎撮影)

 そんな日帰りが可能な埼玉県内だけを走る路線にもかかわらず、あえてSL列車の中で“夜を過ごす”団体臨時列車を、日本旅行メディア・アライアンス・トラベル(MAT)営業部が秩父鉄道と協力して2025年12月13―14日に走らせました。SLパレオエクスプレスと同じく川崎車両が1944年に製造したC58形363号機が12系客車4両を引っ張り、熊谷―三峰口を終夜運転で往復する列車「C58終夜運転 SL夜行急行『第51三峰号』熊谷行」です。

 石炭と水を積んだ炭水車(テンダー)をつないだSL(テンダー機関車)を使った終夜運転は日本唯一とあって、車内の275席が参加者で埋まる“ほぼ満席状態”となりました。筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)も同行したところ、折り返す三峰口では夜行列車の気分を一段と盛り上げる演出が用意されていました。

 日本旅行は2024年3月に秩父鉄道で初めて終夜運転SLを運行し、企画した日本旅行MAT営業部鉄道・バス企画デスクの山中章雄課長は「ご好評いただき、参加者から再運行の要望をいただいた」と説明します。そこで、秩父鉄道の協力を得て約1年9か月ぶりに実施しました。「第51三峰号」の列車名は前回と同じで、国鉄の臨時列車の列車番号に50番台が付けられていたことに着想を得たそうです。

 なお、C58と12系客車は、SLパレオエクスプレスの運行期間中は終夜運転に充てることはできません。今回はSLパレオエクスプレスの2025年最終運行日から約1週間後に設定されました。

ヘッドマークが「おかしい」

 22時58分、C58の副灯付き前照灯が闇夜を照らしながら熊谷を出発しました。C58に取り付けた円形ヘッドマークには「みつみね」と記していますが、2009年に廃止されたJRの寝台特急「はやぶさ」を模したデザインです。

 12系客車の4人掛けボックス座席に陣取り、C58の排気の「シュッシュッ」というブラスト(排気)音に傾けていると昭和時代の夜行列車にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。

「絶対起きててやる!」→わたしは違う楽しみ方で

 扉が開閉して下車することができる最初の停車駅、寄居(埼玉県寄居町)に着く前に車掌の「まもなく寄居に到着いたします。3番線到着、お出口は右側です」という車内放送が流れました。続いて「東武東上線はお乗り換えです。今度の発車は普通森林公園行き、0時8分です」と案内しましたが、もしも下車してそのまま乗り換えたらどうなるのでしょうか。

Large figure2 gallery12C58の機関室(大塚圭一郎撮影)

 日本旅行は「途中駅で離団すると前途放棄になり、乗車票は無効となります」とし、「旅行代金の返金はなく、再度合流はできません」と説明しました。よって、乗り換え案内はあくまでも旅情を高めるための演出です。

 約12分間停車した寄居を23時50分に出発後、日をまたごうとしているタイミングで天井のスピーカーから「夜も更けて参りました。これより間もなく、車内の照明を暗くさせていただきます」との声が流れました。天井の照明がやや暗くなった車内は、夜汽車らしい風情を醸し出しました。

 ツアー中に徹夜することを決め込んで目をしっかりと見開き、列車内を歩き回って一部始終を観察しようとする参加者もいます。もちろん、SL夜行の貴重な機会を貪欲に楽しもうとする姿勢はよく理解できます。

 一方で、C58が発する汽笛やブラスト音が聞こえる中で、決して寝心地が良いとは言えないボックス席の背もたれにもたれかかるのも大きな醍醐味ではないでしょうか。「徹夜するのか、それとも直立した背もたれに身をゆだねて眠るのか、それが問題だ」と言えるでしょう。

 筆者は後者で、照明がやや暗くなったのを良いことに目を閉じているとうたた寝をしていました。起床したのは長瀞(埼玉県長瀞町)を通り過ぎ、12月14日1時5分に秩父(埼玉県秩父市)へ滑り込む前でした。

夜中の3時に食えるとは…!

 島式プラットホームの秩父駅1番線に到着し、2番線には1968年に登場した元都営地下鉄三田線のステンレス製電車6000形(現・5000系)が陣取っていました。昭和時代に登場した役者がそろい、10分間の停車時間中にホームでは参加者たちがさまざまなアングルから撮影していました。

Large figure3 gallery13深夜の秩父駅で5000系(もと都営三田線6000形)と対面(大塚圭一郎撮影)

 秩父を出て40分後、闇夜を切り裂くように上り勾配を駆けてきた「第51三峰号」は三峰口の駅舎に隣接した1番線に入線しました。通常ならば終点ですが、この列車は「三峰口経由熊谷行き」のためあくまでも途中停車駅の扱いです。C58の炭水車に水を補給し、折り返し運転のために転車台で方向転換するなどの作業に加え、駅構内での撮影会も用意されているため停車時間は1時間40分とたっぷりあります。

 撮影会ではホームの先にある構内踏切を締め切り、煙を立ち上らせるC58の勇姿をしっかりと撮影できるように配慮されていました。

 構内踏切を渡った3番線には、1973年の登場から半世紀余りがたつ電気機関車(EL)のデキ500形2両がつながれて停車していました。これらELの普段の任務は、沿線の武甲山などで採掘されるセメント原料の石灰石を太平洋セメント熊谷工場(熊谷市)へ運ぶことなどです。

 ただ、この日は「C58の調子が良くない緊急時に、補機として連結できるように待機している」(山中さん)そうで、野球の試合ならば控え投手のような役割でした。とはいえ、秩父鉄道のいぶし銀の魅力を持つELは鉄道愛好家の人気があるだけに「もう一つの任務」も担っていました。

 それは撮影会への登板です。C58の撮影が一服した後、いったん構内踏切が締め切られてデキ500形2両が2番線へ移動。C58とデキ500形の横並びの構図が用意されました。
この日のC58は調子が良かったため、デキ500形2両は撮影会終了後に一足早く熊谷方面へ引き上げていきました。

 さて、「関東の駅百選」に選ばれた木造平屋の三峰口駅舎の外では“粋なサービス”も。SLの運行日だけシャッターが開くことから“幻の駅そば”とも呼ばれる駅そば店「三峰口駅そば店」が営業しており、昭和時代の夜汽車の旅につきものだった「夜鳴きそば」をすすれるのです。深夜営業のため、価格は通常より50円高い600円でした。

 筆者は駅構内にある転車台でC58が方向転換する様子を眺めた後、そばを注文する算段でした。しかし、駅から徒歩約5分の場所にある転車台を去るときには、発車時刻20分前の3時15分になっていました。そば店の営業時間は3時20分までなので、時すでに遅しでした。

深夜にシュッシュッ…「住民の理解アリ」

 三峰口から熊谷へ向かう車内で、山中さんに「沿線に住宅もあるので、深夜にSLを走らせるのは大変ではなかったですか」と尋ねました。山中さんは、秩父鉄道が過去の夜行列車運行時に地元から理解を得たと説明して「実はSLのブラスト音は、(連結した)12系の発電機の音より小さいのです」と教えてくれました。

 ただ、SLパレオエクスプレスの運行時に比べて汽笛を控えめにするなどの配慮をしているそうです。

 また、夜行列車をSLで走らせるための要員は、ELの場合の約2.5倍が必要であることも明かしました。安全安定運行を徹底するため、深夜の寒空の下で数多くのスタッフが業務に当たっていることに頭が下がります。

 そうした大勢のスタッフの奮闘にも支えられ、「第51三峰号」は終点の熊谷へ定刻の5時56分に着きました。約7時間前に出たのと同じ駅の同じホームに降り立ったにもかかわらず、夜汽車に揺られて旅情を演出する仕掛けを満喫した後だけに「思えば遠くへ来たもんだ」という感慨に浸りました。

「客車と機関車の組み合わせは参加者の人気が高い」という前評判は聞いていましたが、希少性のある夜行列車、それもSLならば人気は絶大で、乗客をひきつける“牽引力”を再認識できた一夜となりました。山中さんは筆者に「秩父鉄道ではSL・ELや電車で年に2~3回夜行列車を走らせたいと思います」と話し、2026年以降の団体臨時列車の運行にも意欲を示しました。

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