世界レベル列車「氷河急行」に乗る 日本の観光列車の影響も? エクセレンスクラスの旅
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スイスの大自然を楽しめ、その路線自体が世界遺産にもなっている観光列車「氷河急行」。コース料理も提供される新登場の「エクセレンスクラス」でその旅を体験したところ、「日本」を感じる場面もしばしばありました。
「氷河急行」2019年新登場の最上級「エクセレンスクラス」とは?
ヨーロッパ31カ国で使える鉄道の乗り放題パス「Eurail Pass(ユーレイルパス)」。これを用いたヨーロッパの鉄道&世界遺産を満喫する旅へ、2019年8月から9月に出かけました(2か月のうち任意の10日を選んで使える1等車用「ユーレイル グローバルパス」を使用。大人用〈28歳以上〉605米ドル〈約6万6000円〉、シニア用〈60歳以上〉546米ドル〈約5万9600円〉。列車によっては予約料金が別途必要なことなどあり)。
サンモリッツ駅で発車を待つ「氷河急行」(2019年8月、恵 知仁撮影)。
イタリアからドイツへ、寝台列車「Nightjet(ナイトジェット)」で移動。そののちローカル列車を乗り継いで、スイスの国際的な観光・保養地であるサンモリッツへやって来ました。
ここからは、今回の旅における目玉のひとつ、スイスの絶景を楽しめる観光列車「Glacier Express(グレッシャー エクスプレス〈「氷河急行」。「氷河特急」とも〉)」へ乗ります。
レットカーペットが敷かれ、専属のコンシェルジュが乗務する「エクセレンスクラス」(2019年8月、恵 知仁撮影)。
山々に囲まれた湖のほとり、陽光まぶしい朝9時のレーティッシュ鉄道サンモリッツ駅。スイスらしい赤と白の小柄な車両が、そのホームで待っていました。
9時15分発、マッターホルンの麓にある街ツェルマット行き「氷河急行」。乗る車両は、2019年3月に新登場したばかりの最上級席「エクセレンスクラス」です。乗車には1等のチケットに加え、420スイスフラン(約5万円)の追加料金が必要。終点までおよそ300km、8時間、どんな旅が始まるのでしょうか。
「氷河急行」の明るい「エクセレンスクラス」車内(2019年8月、恵 知仁撮影)。
ホームに敷かれたレッドカーペットを歩き、車内へ入ると、開放感が印象的でした。さすが、そびえる山々が競演するスイスの観光列車です。上部にも窓があり、デザインや色調も「木」を取り入れた明るいもの。その雰囲気に、発車前から胸が高鳴ってきます。
座席配置は片側1列のゆったりしたもので、定員は20名。専用のバーカウンターまであり、ワインやカクテルのほか、日本酒の「真澄」(長野県)も用意されていました(ここでの注文は別料金)。
「日本」を感じる「氷河急行」
サンモリッツを9時15分に発車してほどなく、コンシェルジュのスーザンさんがウエルカムドリンクの注文をとりに来ました。あわせて「いまマッシュルームがシーズンで、ブルーベリーやクランベリーもこのあたりで採れるのよ」と教えてくれます。
氷河急行「エクセレンスクラス」の冊子と、各座席に用意されているタブレット端末(2019年8月、恵 知仁撮影)。
そして、「氷河急行」に関する冊子もプレゼントされました。言語は日本語で、スーザンさんのサイン入りです。
「氷河急行」は、各所に「日本」がありました。この冊子、「エクセレンスクラス」各座席に備えられた列車の位置や情報が分かるタブレット端末、車内の案内看板にも日本語の表示が見られます(イヤホンで聞ける日本語の案内もある)。
どことなく「日本」も感じる氷河急行「エクセレンスクラス」車内(2019年8月、恵 知仁撮影)。
そして「氷河急行」が走る、スイスのレーティッシュ鉄道とマッターホルン・ゴッタルド鉄道は、それぞれ日本の箱根登山鉄道、富士急行と姉妹鉄道です。
木を使った格子のようなデザインなど、「エクセレンスクラス」車内は日本の観光列車も参考にしているとのこと。先述の通り、日本酒も用意されています。日本人は注文しないそうですけども(やはりスイスのお酒を頼むのだとか)。
「氷河急行」の車内を散策に行くと「Wait!」
「エクセレンスクラス」を出て、6両編成(機関車含まず)の「氷河急行」車内の散策に出かけたところ、途中で「Wait!」と、お土産を扱う車内販売のおじさんに声をかけられました。
橋を渡ることを教えてくれた「氷河急行」車内販売のおじさん(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「もうすぐ橋だよ!」とのことで、窓の外に注目していると、なんともスイスらしい石積みのアーチ橋がカーブの先に現れ、乗っている「氷河急行」がそこを通過していきます。
この「氷河急行」も走るレーティッシュ鉄道のサンモリッツ~トゥジス間などは、「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」として世界遺産に登録されており、「ラントヴァッサー橋」をはじめとする石積みの鉄道アーチ橋などが特に有名です。
「氷河急行」の「エクセレンスクラス」で料理を配膳するコンシェルジュ(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「エクセレンスクラス」では、ローカルフードにこだわっているというコース料理が、スイスのワインなどと共に提供されます。
「氷河急行」の最上級席では、どんな料理を味わえるのでしょうか。列車が終点に向かって進むとともに順次、7つのメニューが登場しました。
「氷河急行」の「エクセレンスクラス」全メニューを写真で
「氷河急行」の「エクセレンスクラス」で提供されたメニューを、順番に記します。写真は2名分のものもあります。
エクセレンスクラス アペロプレート(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「エクセレンスクラス アペロプレート」は、タルタルのタルトレット、ミニ・チーズケーキ、フレッシュチーズとキュウリのタルトレット、スパイシー・ミックスナッツ。
スイスで燻したマス(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「スイスで燻したマス」は、ビーツのオーブン焼き、サラダ、ホースラディッシュ風味フレッシュチーズ添え。
グリーンピースとミントのスープ(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「グリーンピースとミントのスープ」は、食用ドライフラワー入り。ムースの入った器にその場でスープを注ぎます。
牛フィレ(スイス産)(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「牛フィレ(スイス産)」は、トリュフ入りマッシュドポテト、マウンテンハーブソース添え。
チーズの盛り合わせ(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「チーズの盛り合わせ」は、ビュントナー産マウンテンチーズ、ヴィアマラ産ムッチュリチーズ、ラングヴィース産オーガニック羊乳チーズ、アレッチ産スライスチーズ。
チョコレートケーキ(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「チョコレートケーキ」は、バニラソース、ローストアーモンド添え。小麦粉不使用だそうです。
アフタヌーンティー(2019年8月、恵 知仁撮影)。
「アフタヌーンティー」は、フリアンディーズ(小さな菓子類)、ビュントナー産マウンテンハーブティー。
景色が傾いて見える「氷河急行」 アプト式でオーバーアルプ峠越えへ
「氷河急行」の旅、見どころはさまざまありますが、今回は特に標高2033mのオーバーアルプ峠越えに注目します。
ディゼンティス駅でアプト式の機関車に交換(2019年8月、恵 知仁撮影)。
料理がまもなくメインディッシュになる12時40分ごろ、標高1130mのディゼンティス駅を発車。ここで鉄道会社が、これまでのレーティッシュ鉄道から、マッターホルン・ゴッタルド鉄道に変わります。そして機関車も、線路の構造も変わりました。
2本のレールのあいだにラックレールが見える(2019年8月、恵 知仁撮影)。
オーバーアルプ峠越えの急坂を克服すべく、「アプト式(ラック式)」の鉄道になったのです。車両の下に備える歯車と、2本のレールのあいだに設置された「ラックレール」をかみ合わせて走る方式で、列車はゆっくりとした速度ながら、グイグイと山を登っていきます。その急坂具合は、車内にいても分かるものです。建物が傾いて見えます(実際は自分が傾いている)。
オーバーアルプ峠付近で広がったオーベラルプ湖(2019年8月、恵 知仁撮影)。
車窓から高い木々が減っていきます。標高の上昇を視覚的に教えてくれます。
13時15分ごろ、まるでオアシスのような場所に出ました。湖が広がり、糸を垂れる釣り人。見回すと牛の姿も。ここが「氷河急行」最高地点、標高2033mのオーバーアルプ峠です。ひとつの「絵に描いたようなスイス」が、目の前に広がりました。
「みんな降りて!」とおすすめされる「氷河急行」 展望台のようなホーム
オーバーアルプ峠を過ぎたあとの下り坂はなだらかで、特に標高が下がっている感じはしません。そして13時30分ごろ、ネチェンという駅に到着しました。
「皆さん! ぜひ降りてアルプスの空気を吸ってください!」
列車の行き違いでしばらく停車するため、コンシェルジュのスーザンさんが、乗客へそのように勧めます。
スーザンさんおすすめ、アルプスの空気が吸えたネチェン駅(2019年8月、恵 知仁撮影)。
ホームへ降りると、そこはまるで展望台でした。広大な空のもと、奥行きのある山並みが展開し、爽やかな空気に包まれるなか、さまざまな人種の観光客が写真を撮っています。
山下りは、この駅を発車したのちに本格化。これも見ものでした。
眼下に見えるアンデルマット駅へ標高を下げていく「氷河急行」(2019年8月、恵 知仁撮影)。
進行方向左側、一見すると別の鉄道路線のような線路がいくつか見えます。駅も見えます。これから「氷河急行」が進む線路と、次の停車駅であるアンデルマット駅です。勾配を緩和させるため線路が曲がりくねったつづら折りになっており、約20分で600mも標高が下がります。
車窓にうつる街が、駅が、次第に大きくなってきます。
アンデルマット駅の標高は1435m。少々停車したため車外に出たところ、やや暑さを感じました。
「氷河急行」の旅 再びアプト式で終点ツェルマットへ
アンデルマット駅を出た「氷河急行」は引き続きループ線などで高度を下げていき、標高650mのフィスプという駅から、再び谷間に沿って高度を上げていきます。あと1時間ほどでマッターホルンの麓にある終点、ツェルマットです。
「氷河急行」名物の傾いた、急坂で水平になるワイングラスが「エクセレンスクラス」乗客にプレゼントされた(2019年8月、恵 知仁撮影)。
朝9時15分に始まった列車の旅も、もう16時すぎ。谷間の日暮れは早く、1日の終わり、旅の終わりを嫌でも思わせます。コンシェルジュのスーザンさんも、別れを惜しむかのごとく、乗客1人1人へ話しかけるように車窓などの案内をします。
電気自動車以外の自動車が制限されているツェルマット(2019年8月、恵 知仁撮影)。
条件が良ければ、とがったマッターホルンが車窓に顔を出すそうですが、今日は天気の機嫌がよろしくないようです。
ツェルマット駅は標高1604m。再びアプト式の区間が始まっており、「氷河急行」は終着駅に向け、急勾配をグイグイ上っていきます。
協力:ユーレイル・グループGIE
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