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昭和の都電廃止 残された「敷石」はなぜ飛ぶように売れたのか?

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東京に欠かせなかった路面電車

 路面電車の数え歌である電車唱歌。そのなかに、1905(明治38)年発表の『東京地理教育電車唱歌』があります。同歌の一番の歌詞は

「玉の宮居は丸の内 近き日比谷に集まれる 電車の道は十文字 まず上野へと遊ばんか」

で、計52番まであります。

 発表当時、東京の路面電車は

・東京電車鉄道
・東京市街鉄道
・東京電気鉄道

の三社で運営されていました。翌1906年、三社は合併して東京鉄道に。その後、1911年に東京市電、1943(昭和18)年に東京都の発足で東京都電となりました。

 このとき、路面電車はすでに東京に欠かせない交通手段となっており、それゆえ、常に混雑していました。その状況は、大正中期の流行歌『東京節』で

「東京の名物 満員電車 いつまで待っても 乗れやしねえ 乗るにゃ喧嘩(けんか)腰 いのちがけ」

と、歌われているほど。そんな路面電車も、昭和30年代になると乗客が激減。それに代わって、自動車の増加による交通渋滞が深刻になっていました。

 ターニングポイントは1959年。同年1月に「路面電車を廃止すべきでない」との見解を示していた東京都交通局は、警視庁に対して路面電車の軌道に侵入する自動車の取り締まりを強化するよう要請しています。

 ところが、警視庁は6月に軌道敷内の自動車の乗り入れを決定。都電はこれをきっかけに交通渋滞へ巻き込まれ、定時運行が困難になってしまいました。以降、「路面電車は都市に不要」という世論の高まりを受け、廃止の流れは加速していきました。

1967年12月9日撮影。銀座4丁目交差点を走る都電。銀座線はこの日で廃止に(画像:時事)

 定時運行が困難になれば、当然乗客も激減します。その結果、東京都交通局は1967年1月に財政再建団体の指定を受けることに。そして財政再建のため、同年12月から都電の撤去(廃止)が始まりました。

 こうして都電は1972年までにほとんどが廃止され、専用軌道が多かった早稲田~王子駅前~三ノ輪橋間が残るのみとなったのです(1974年に荒川線に名称決定)。

車両1068両の行方

車両1068両の行方

 ここまでの歴史を知る人は少なくないでしょう。しかし、ひとつ気になることがありませんか? それは、都電車両などの資産の行方です。

 撤去が始まった1967年時点で、都電は

・車両:1068両
・レール:延べ77万6000m
・敷石(1枚30 × 60cm):330万枚
・従業員:1万5559人

を抱えていました。従業員の再雇用先はもちろん、膨大な数の車両やレールをどう処分するか大きな課題となっていたのです。

現在の鹿児島市電(画像:写真AC)

 車両の引き取り先として手を挙げたひとつが、鹿児島市交通局でした。同局は40両を買い取りたいと東京都に打診。なぜなら、当時の鹿児島市電は現在よりも路線が多く、安く購入できるならと考えたためでした。

 ところが、都電の軌間(レール幅)が1372mmだったのに対して、鹿児島市電は1435mm。そのため、同じく廃止が進められていた大阪市交通局のほうが軌間も同じで改造の必要なし――ということになり、話はまとまりませんでした。

「せっかく売却するなら、スクラップよりも使ってほしい」

と東京都は引き取り先を探したものの、路面電車からバスへの全国的な転換のなか、容易に見つかりませんでした。

 この状況に、東京都は頭を悩ましました。製造費は当時の金額で7~800万円もかかったのに、スクラップ前提の売却額は7~8万円と捨て値だったからです。当時の交通局は取材に対して、次のようにコメントしています。

「鋼鉄製だから50年くらいはもつし、20平方メートルあるので、3.3平方メートル当たりの単価にしたら非常に安い。お買い得品ですよ」(『週刊読売』1967年12月15日号)

 同記事によれば、電車として再利用する形での売却は困難でしたが、引き取り手はそこそこあったようです。

 特に多かったのは「倉庫」「休憩所」としての購入でした。また、千葉県は団地に設置する目的で15両を購入。企業が工場の更衣室に利用する例もあったとされています。

大人気だった「銅の架線」

大人気だった「銅の架線」

 そうしたなか、現在も語り継がれているのは日野市の事例です。当時、公共図書館の充実に力をいれていた日野市では購入車両を多摩平団地に据え付けて、児童図書館として利用。老朽化した図書館が再建されるまで、地域の名物となりました。

 車両の売却が困難を極めた一方、飛ぶように売れたのが敷石でした。前述の『週刊読売』では交通局の担当者が、次のように話しています。

「上等な御影石ですもの。みがけばりっぱになりますよ。一枚たったの200円。ふつうの石屋さんで買えば、900円はかたいですなァ。え、一枚売り? そりゃいまのところは考えていません。まず百枚単位でお願いしたいと。将来、御影石の値段がうんと上がれば、都庁の前にでも積み上げて、一枚いくらでも売るかも知れないけれど……」

 さらに高く売れたのは銅の架線で、1kgあたり680円で売却されていきました。1968(昭和43)年当時は、大卒公務員の初任給が2万3300円、ラーメンが70円、週刊誌が60円。このことからも、銅の架線がかなりの高値で引き取られたのがわかります。

 しかし同じ金属でありながら、レールはほとんど値がつかず、くず鉄として引き取られていきました。

銀座の様子(画像:写真AC)

 こうして都電の資産はそのまま引き取られたり再利用されたりしたわけですが、そうしたなかで今でも容易に見つけられるのが敷石です。

 銀座の歩道に使われている敷石のなかには黒っぽい御影石がありますが、これは都電の敷石として使われていたものです。ほかにも都内のあちこちには、都電の敷石が人知れず使われている場所があります。もし街なかで敷石を見つけたら、皆さんもよく観察してみてください。

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