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「大垣夜行」を知っているか?「ムーンライトながら」前身 直角シート 駅で長時間待ち

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青春18きっぷ愛好者におなじみの夜行快速「ムーンライトながら」。その前身は「大垣夜行」と呼ばれた全車自由席の普通列車でした。165系、373系、185系と使用車両が変わるなか、筆者の「大垣夜行」初乗車から35年間を振り返ります。

青春18きっぷを最大限に利用すべく、カギとなった戸塚駅

 今年も「青春18きっぷ」の冬シーズンがやってきました。青春18きっぷといえば「ムーンライトながら」。東京駅と大垣駅(岐阜県大垣市)を結ぶ夜行快速列車です。青春18きっぷ利用者にとって、遠方に行く時の定番といえます。また、近年はコミックマーケットなどのイベントに行く人の節約旅行手段としても注目されています。

 年配の鉄道ファンは「ムーンライトながらって、昔は大垣夜行だったよね」「グリーン車に乗りたかったな」「自由席だから東京駅へ早く行って並んだよね」などと言います。「大垣夜行」とは、どんな列車だったでしょうか。筆者(杉山淳一:鉄道ライター)の思い出ともに振り返ります。

Large 191204 moon 01「ムーンライトながら」に使われた373系電車(2003年10月、杉山淳一撮影)。

 東京から大阪へ、あるいはその先へ向かう普通列車は、東海道新幹線開業前まではたくさんあったそうです。大垣夜行は東海道本線の夜行普通列車の生き残りです。この列車が注目されはじめたきっかけは、1982(昭和57)年に発売された「青春18のびのびきっぷ」でした。現在の青春18きっぷの原型です。このとき、「日付が変わる戸塚までのきっぷを買って大垣夜行に乗れば、1日分のきっぷを0時過ぎから使い始めておトク」というワザが、鉄道趣味誌などで紹介されました。

 当時、青春18きっぷは冊子タイプで1日有効券4枚と2日有効1枚の5枚綴りでした。1日券は0時から終電まで有効、2日券は0時から翌日の終電まで有効でした。東京駅から大垣駅まで乗る場合は日付をまたぐので、1日有効券2枚または2日有効券1枚必要です。しかし、大垣夜行は東京23時25分発で、日付が変わる駅は0時5分発の戸塚(横浜市戸塚区)でしたから、東京駅から戸塚駅まで490円(当時)のきっぷを買って、青春18きっぷは戸塚駅から使えば、最大限の時間で利用できるわけです。

発車4時間半前に東京駅集合

 筆者にとって青春18きっぷと大垣夜行の初体験は1984(昭和59)年4月1日の夜でした。高校2年生です。鉄道好きの同級生と2人で乗りました。目的は京阪神の国鉄乗りつぶし。京阪神地区は特急や急行を使わないため、青春18きっぷのほうが安上がりでした。

 車両は165系急行形電車です。急行形と行っても座席は4人ボックス席です。1人1ボックス、せめて2人で1ボックスを使いたいところです。しかし普通列車の自由席ですから、帰宅する通勤通学の人々で混雑しています。狭い1ボックスに4人で相席です。でも、座れたらラッキーでした。大垣夜行は人気があって、この列車に乗るための列が長い。座れなかったらツライので早めに並びます。待ち合わせは19時。およそ4時間半も前でした。

Large 191204 moon 02165系急行形電車。「ムーンライトながら」にも使われた(1989年1月、恵 知仁撮影)。

 もっとも、東京から離れ0時に近づくにつれ通勤通学客は降りていきます。横浜でどっと降りて、平塚あたりで2人1ボックス、小田原を過ぎる頃には1人1ボックスになりました。そして、夜明けの豊橋、岡崎あたりから名古屋へ通勤通学する人々が乗って、また混みはじめるという感じです。

 大垣駅到着は6時59分、ここで7時15分発の西明石行きに乗り継ぎ、京阪神の国鉄路線を巡りました。当時は大垣駅の乗り継ぎ時間に余裕があり、後述のような「大垣ダッシュ」はありません。

 高校卒業までは長期休みになるたび、大垣夜行に乗りました。青春18きっぷと大垣夜行の組み合わせは一般にも広く知られるようになったようで、鉄道ファン以外の人も増えていました。

 165系電車の大垣夜行にはグリーン車も連結されました。しかし、当時は青春18きっぷでグリーン車に乗れませんでした。乗るためには全区間の普通乗車券も必要。そうなると高校生には高嶺の花。いつかはグリーン車に乗ってやるぞ、と憧れたものです。

リクライニングシートの373系が導入

 1990年代の大垣夜行は青春18きっぷ利用者の増加に呼応するように混雑したようです。臨時大垣夜行も設定され、東京駅の混雑を避けて品川駅(東京都港区)発となり、乗車待機列がコンコースに設置されていたという話も聞きました。伝聞として書いた理由は、この時期の筆者が鉄道趣味から離れ、大垣夜行とも疎遠になってしまったからです。長野県松本市の大学に進むと、あちらは鉄道よりクルマ社会でした。中古車を買って遊んでいました。社会人として東京に戻ると、仕事が楽しく忙しく、鉄道旅どころではありませんでした。

Large 191204 moon 03373系電車。名古屋駅では、名古屋止まりの編成が切り離された(2003年10月、杉山淳一撮影)。

 1996(平成8)年3月に大垣夜行はムーンライトながらと名前を変え、全車指定席となりました。車両はJR東海の特急用新型車両373系電車です。静岡と東京を結ぶ在来線特急「東海」にも使われた電車です。古い急行形電車から新型特急車両へ大出世。ボックスシートからリクライニングシートになりました。ちなみに筆者の乗り鉄復帰も1996年、フリーランスとなってからです。

 ムーンライトながらの初乗車は2003(平成15)年でした。373系電車の乗り心地に感動しました。当時は9両編成のうち、3両が名古屋まで指定席、6両が小田原まで指定席でした。小田原まで指定席の車両に乗っていると、小田原から大勢乗ってきました。指定席を取れなかった人が自由席目当てで乗り込んだようです。

 ムーンライトながらは大垣夜行と比べてダイヤも変わり、日付変更駅が横浜に移動しました。しかし消費税が導入されて運賃が上がったので、日付変更駅までのきっぷ代は大差なかった記憶があります。

臨時のムーンライトながらは189系

 2005(平成17)年5月は臨時列車の「ムーンライトながら91号」で大垣へ。大垣で開催されたeスポーツの世界大会予選を取材した時のことです。当時の筆者は日本初のeスポーツライターとして活動していました。しかし今日のようにブームになる前で仕事が少なく、お財布に優しいムーンライトながらは頼もしい列車でした。

 ムーンライトながら91号は定期列車のムーンライトながらの後に品川駅を発車します。しかし豊橋駅(愛知県豊橋市)で定期列車を追い越して、大垣駅には先に到着します。定期列車は名古屋到着が6時頃になるように時間調整していました。臨時列車はそのダイヤの隙間を巧みに使って設定されていたのです。

 臨時列車は189系電車で、373系電車より古い車両です。でも、乗り心地は悪くない。373系電車はデッキと客室の仕切り扉がないので、乗降扉の開閉音や走行音が聞こえるうえ、外気も入るので空調も影響します。それに比べると189系電車は客室がデッキと分かれていて静かです。同じ月に定期列車の373系電車で名古屋まで乗り、違いを再認識しました。

Large 191204 moon 04臨時の「ムーンライトながら91号」。189系電車が使われた(2005年5月、杉山淳一撮影)。

 2006(平成18)年、東京~大阪間で2階建てバスの「ネオプラン・メガライナー」を起用した高速バス「青春メガドリーム号」が運行開始しました。その影響でしょうか、2009(平成21)年にムーンライトながらは臨時列車になり、373系電車は撤退。筆者も夜行バスの移動が増えました。

 2011(平成23)年8月、久々に乗ったムーンライトながらは189系電車でした。満席でしたが、筆者の隣の通路側席はシートのリクライニング機構が壊れており、その席の人は予備席へ移動していきました。国鉄型車両の寿命を感じました。

 この頃のダイヤは日付変更駅が小田原になっており、日付変更駅までのきっぷ代が1490円でした。節約旅行の象徴だったムーンライトながらに割高感を覚えました。青春18きっぷ1回分の金額に近くなったので、乗車日の朝から青春18きっぷを使い、ほかの路線を乗り回したあとムーンライトながらを利用するという旅もしました。

185系時代は余裕を持って米原行きに乗り継ぎ

 ムーンライトながらに373系電車が使用されていた頃、早朝の東京発静岡行き普通列車はムーンライトながらの折り返し車両でした。特急車両を使った快適な普通列車です。これを狙って早起きして旅立ったことも何度かあります。ムーンライトながらが189系電車になったあとも、しばらく373系電車の静岡行き普通列車は残りました。夜に東京にやってきて、朝まで田町の留置線で待機していたのでしょうか。

 臨時列車となったムーンライトながらは、人気があるにもかかわらず運行日数をどんどん減らしていきました。旅立つ日の直前に指定券を買えない列車となり、座席の夜行がツライ歳になったこともあって、筆者はまたムーンライトながらから遠ざかってしまいました。当時ムーンライトながらは大垣駅到着が5時50分。これに接続する米原行きは5時53分に発車します。大垣駅では、乗り継ぎ客が走って大移動する「大垣ダッシュ」が見られました。

Large 191204 moon 05大垣駅に停車する185系電車の「ムーンライトながら」。米原行きの普通列車には余裕を持って乗り換えられる(2019年8月、杉山淳一撮影)。

 しかし今年(2019年)、友人からの誘いで8年ぶりにムーンライトながらに乗りました。車両は185系電車です。設備の古さは否めませんが、リクライニングシート、テーブル付きの椅子に駅弁を並べると、若い頃の旅を思い出し、肉体的にも若さを取り戻したような気分になりました。大垣着が5分早まったため、余裕をもって米原行きに乗り継げます。車両編成も長いので座れました。プラットホームを走る人はいましたが、往年のような「大垣ダッシュ」も過去のものとなったようです。

「踊り子」185系は順次引退、ムーンライトながらはどうなる?

 現在のムーンライトながらに使われている185系電車は、東京と伊豆を結ぶ特急「踊り子」としても使われていますが、2020年春から順次、中央本線の特急「あずさ」などに使われたE257系電車へ置き換えられていくとのことです。185系電車を使っているムーンライトながらはどうなるのか、気になります。

Large 191204 moon 06185系電車で運転される「ムーンライトながら」(2019年3月、草町義和撮影)。

 JR東海区間にE257系電車が入線可能ということですが、そうならば今後、E257系でムーンライトながらが存続してほしい。いや、できればグリーン車付きの9両編成にしていただけると、年配者にとってありがたいです。165系電車の大垣夜行で憧れたグリーン車に再挑戦したい……。

 車両が変わっても、大垣夜行からムーライトながらになっても、この列車と青春18きっぷの組み合わせは鉄道旅の入口です。臨時列車化して運行日も減り、今後の動向が心配ですが、鉄道旅行の未来を乗せたムーンライトながらには、ずっと走り続けてほしいと願います。

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