歯周病になると糖尿病リスク増!? 両者の“知られざる関係性”とは【糖尿病専門医が解説】
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糖尿病と歯周病はともに日本人に多い病気といわれています。ネット上では「歯周病になると糖尿病になりやすい」「糖尿病の人は歯周病になりやすい」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。糖尿病と歯周病の関係性について、たいや内科クリニック(愛知県豊田市)院長で糖尿病専門医の加藤大也さんに聞きました。
歯周病は「糖尿病の第6の合併症」と呼ばれることも
Q.そもそも、糖尿病とはどのような病気なのでしょうか。原因や主な症状も含めて、教えてください。
加藤さん「糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態、いわゆる高血糖が続く病気です。通常、食事から摂取したブドウ糖は膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモン『インスリン』によって細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。しかし糖尿病では、このインスリンが十分に分泌されなかったり、作用が弱くなったりするため、血糖が下がりにくくなります。糖尿病は大きく分けて次のように分類されます」
■1型糖尿病
自己免疫反応などによって膵β(ベータ)細胞が破壊され、インスリンを作ることがほとんどできなくなります。小児期から若年での発症が多いですが、成人でも起こり得ます。
■2型糖尿病
日本人の糖尿病の約9割を占めます。遺伝的素因に加え、肥満や運動不足、過食など生活習慣が関与します。インスリンは出ているものの効きが悪い、いわゆる「インスリン抵抗性」が引き起こされるのが特徴です。
■その他の糖尿病
膵疾患や薬剤性、遺伝子異常などによるもの。
■妊娠糖尿病
妊娠中に初めて見つかる糖代謝異常。
糖尿病の主な症状ですが、高血糖が続くと、口渇や多飲、多尿、体重減少、疲労感などがみられますが、初期の場合は、自覚症状が乏しく「沈黙の病気」と呼ばれます。放置すると血管が障害され、網膜症や腎症、神経障害といった糖尿病性細小血管症や、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞、末梢(まっしょう)動脈疾患といった大血管症などの重篤な合併症を引き起こします。
Q.糖尿病になると歯周病になりやすいと聞きますが、本当なのでしょうか。
加藤さん「はい、糖尿病と歯周病は非常に密接な関係があります。糖尿病患者は健康な人に比べて歯周病のリスクが高く、また悪化しやすいことが知られています。その理由として、次のメカニズムがあります」
(1)免疫力の低下
高血糖により白血球の機能(遊走、貪食、殺菌能)が低下し、感染防御力が落ちます。
(2)血管障害による修復遅延
糖尿病は血管を傷つけ、歯茎の血流を悪化させるため、炎症や損傷が治りにくくなります。
(3)炎症反応の高進
高血糖によりAGEs(糖化最終産物)が蓄積し、それが炎症反応を促進させる細胞間情報伝達分子である「炎症性サイトカイン」を増加させ、歯周組織の破壊が進行します。このため、歯周病は「糖尿病の第6の合併症」と呼ばれることもあり、医科と歯科の連携が強く求められています。
Q.では歯周病になった場合、糖尿病の発症リスクが高まる可能性はあるのでしょうか。
加藤さん「はい、その逆も成立します。歯周病は単なる口の中の病気ではなく、全身に影響を及ぼす『慢性炎症』です。進行した歯周病では、歯茎から細菌の産生する毒素や炎症性サイトカインが血液中に放出されます。これらは全身を巡ってインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールを悪化させます。
疫学研究では、歯周病を持つ人は糖尿病の発症リスクが高まることが示されています。さらに臨床試験では、糖尿病患者が歯周病治療を受けると、血糖コントロールの重要な評価指標である『HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)』が平均で0.4〜0.6%改善するという報告もあります。
このように糖尿病と歯周病は互いに悪影響を及ぼし合う『双方向の関係』にあり、片方を放置するともう一方も悪化するという悪循環を形成します」
Q.糖尿病を引き起こしやすい食べ物や生活習慣について、教えてください。
加藤さん「糖尿病の発症には生活習慣が大きく関わっています。特に次のような習慣は発症リスクを高めます」
■不適切な食生活
甘い飲み物や菓子類などの高糖質食品の過剰摂取、揚げ物や加工食品に偏った食事は糖尿病の発症リスクを高めます。また、野菜や食物繊維の不足も危険因子です。
■運動不足
筋肉はブドウ糖を利用する最大の臓器です。運動不足は糖の消費を減らし、高血糖を招きます。
■肥満(特に内臓脂肪型肥満)
内臓脂肪から炎症性物質が分泌され、インスリン抵抗性を悪化させます。
■睡眠不足や精神的ストレス
ホルモンバランスの乱れが血糖上昇を引き起こします。
■喫煙、過度の飲酒
血管内皮を障害し、糖尿病や合併症のリスクを高めます。
糖尿病は血糖が高い状態が続き、全身の血管を障害する病気です。そして歯周病は糖尿病によって悪化しやすい一方で、逆に歯周病が糖尿病の発症、増悪に寄与することも明らかになっています。両者は「双方向に影響し合う関係」にあり、放置すれば悪循環を形成します。
従って糖尿病の予防や治療には、歯周病の予防と治療が不可欠です。歯周病を防ぐことは歯を守るだけでなく、糖尿病を含めた全身の健康を守ることにつながります。今後は医科と歯科が連携し、生活習慣改善を支え合うことが、患者の未来を守る大きな力になるでしょう。
オトナンサー編集部
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