巨大橋脚&新ホームも出現!?「阪神なんば線 淀川橋梁架け替え」で「消滅する名物風景」とは 進む工事の現在
- 乗りものニュース |
まさに「水面を飛ぶように走る電車」が見れました。
100年目の橋架け替え
新しい橋の橋脚が出現した阪神なんば線の淀川橋梁(乗りものニュース編集部撮影)。
阪神なんば線は、近鉄奈良線と直通運転を行い、難波駅から西九条を経て、尼崎駅で本線に接続する10.1kmの路線です。
途中の伝法~福で、淀川の河口部を長い鉄橋で渡っていきます。この「淀川橋梁」が現在、架け替え工事の最盛期を迎えています。
架け替えの最大の理由は、水面ギリギリを走る現在の橋が「低い位置にありすぎる」ことです。1924(大正13)年に完成してから今年で100年。そのあいだ、淀川の治水計画は何度も変更されていきました。今や、最大の洪水時水位は橋よりも92cm高いことになっています。
想定水位に達すれば橋が沈むのはもちろんですが、その橋自体が「洪水のスムーズな流下を阻害する」として、治水の安全面でも問題となっています。さらに「堤防の一部を切り欠いて線路を通している」という事態も解消が望まれました。洪水時はここから水が溢れないよう、線路を横断する水門で閉じることになっていますが、このような不安材料は無いにこしたことはありません。
そのため、この架け替え事業は2018年に着工。完成予定は2032年となっています。
完成後はどうなる? 今の工事状況は?
完成形は、橋桁が今よりも7mも高い位置に設置されます。橋脚の本数は39本からわずか10本に。1本1本の橋脚がどっしりと存在感あるものになります。さらに、大部分で「橋脚の上に桁が置かれているだけ」の現状とは異なり、全面的に「トラス橋」となり、電車はトラス越しにしか見えなくなります。
阪神なんば線の名物だった「水面すれすれを電車が走り、それを遮るもの無く眺められる」という風景は見納めになります。
さて、現在の工事状況ですが、新しい橋脚が水面上に次々と姿を現してきています。難波側で4基、尼崎側で3基。さらに両側とも、堤防を超えた地上に1基ずつ完成し、足場が取り払われた状況です。すでに次の橋脚のコンクリート打設のため、足場が組まれています。橋脚工事は折り返しをすぎた段階と言えます。
大きな変化といえば、尼崎側にある「福駅」が、仮線に切り替えられました。2022年4月の時点では「難波方面のホームの裏に新ホームと新改札が作られ、仮通路でつながっていた」状態でしたが、今や上下線とも東側にスイッチ。真新しいホームの裏に、旧尼崎方面のホームの残骸が1、2両分だけ残っている風景でした。
なお、橋の架け替え(かさ上げ)と同時に、伝法駅と福駅はどちらも高架化されます。完成すれば、阪神なんば線は全線で築堤もしくは高架線となり、踏切が無くなります。
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