「アンパンマンは、ばいきんまんが死なないように殴っている」やなせたかしさんが考え、たどりついた社会の【光と影】
- マイナビウーマン |

子どもたちに大人気の「アンパンマン」の生みの親・やなせたかしさん。やなせさんと妻・暢さんをヒロイン夫婦のモデルとして描くNHK連続テレビ小説『あんぱん』もはじまり、今あらためて、その生き方に注目が集まっています。やなせさんが考えるばい菌とのつき合いかた、そして社会の在りかたを紹介します。
\やなせたかしさんの半生と、「アンパンマン」のもとになった考え方/
正義とは何で、正義の味方とはどのような人なのか。
戦争を生き抜き、「アンパンマン」をはじめ数々の絵本や作詞で名作を残したやなせたかしさんは、90歳のときに、正義についてあらためて考えた一冊を遺しています。
「今、ぼくたちが生きている社会は、世界の戦争や環境問題、不安な政治、殺人事件、怒りの気持ちになることが毎日起こっています。
でもぼくは多くの人を喜ばせたい。」
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アンパンマンとばいきんまんは、光と影? ヒーローと悪の関係性について、やなせさんの考えを書籍『新装版 わたしが正義について語るなら』(ポプラ社)から一部抜粋してお届けします。
相手を殺してしまってはいけない
※画像はイメージです
アンパンマンはスーパーマンです。ヒーローだから、いつも悪に向かって戦わなくちゃならない。だけれどアンパンマンには弱点がたくさんあります。もともと食べ物だから汚いものが苦手で「かびるんるん」には弱いですし、顔が雪や水に少しぬれてもすぐに「力が出ない」と情けなくダウンしてしまいます。史上最弱のスーパーマンかもしれませんね。得意技のアンパンチだって、敵のばいきんまんを殺すことはありません。ばいきんまんは死ぬのではなくて、自分の家に帰ってしまうだけですね。アンパンマンは、ばいきんまんが死なないように殴っている。アンパンチは、相手をボカボカに殴るのも悪いので一発でポカーンとやってしまおう、アンパンだからアンパンチと簡単に作っちゃった技です。
ばいきんまんだってやたらにふんづけたり「最後だ、とどめだ!」とかやっているけど、アンパンマンが死ぬことはない。あれもわざと外してやってるんじゃないかと思います。本当にあんなのでゴンとやれば死んでしまいます。でもアンパンマンはへこむ程度で終わるんだよね。本当にはやられないように手加減しているのじゃないかな。そういうことで、アンパンマンとばいきんまんは戦ってはいるけれど、ある部分は仲良しがじゃれ合っているというところもある。ばいきんまんは、やられても次の週になると平気な顔で出てきます。
現実の世界でもばい菌にやられると病気になってしまいますので、排除はしなくちゃいけないのだけど、相手を殺してしまう必要はないということなんだよね。
※画像はイメージです
これはどういうことかというと、人間の最大の敵はばい菌なんです。みなさんのおなかの中、口の中にはばい菌がたくさんいる。例えばインフルエンザにかからないように予防注射をしますね。抗生物質が発見されると、インフルエンザは治るようになります。でも抗生物質を使うと、今度は抗体を持った新型のばい菌が出てきて、それまでの薬がきかなくなってしまう。そうするとこちらはまた対抗する薬を作っていく。それに対抗して新型菌が出てくる。新型には今までの注射はきかなくて……と、この戦いは永遠に続いていくのです。アンパンマン対ばいきんまんの戦いと同じです。
それから、酵母菌のようにパンを作るのに必要な菌もあるし、納豆菌、乳酸菌、有用善玉菌もたくさんある。ばい菌はいろいろです。
残念ながらそれが健康な社会なんですね。ばい菌が絶滅すると、人間も絶滅する。絶えず両方が拮抗して戦っているというのが健康なんです。何人かは負けて死んでいくけれど、それも仕方がないんだよね、たとえ人間が善人ばかりだとしても、増えすぎちゃダメなんです。気の毒だけどそうなんです。誰一人死なないとなると、バランスが崩れて大変なことになる。
必要悪という言葉がありますね。つまり光がなければ影もないし、影がなければ光もない。
絵を描く時にも光を描きたければ影を描けなくちゃいけない。新印象派のフランス画家、スーラはそれが非常にうまい作家です。デッサンを見るとよく分かりますが、影の部分が非常にうまいんですね。だから光を描ける。
とにかく全部善良というわけにはいかなくて、必ず敵対するものがある。そのバランスが良くとれている時が健康な社会です。
人間も増えすぎて困る部分があります。宇宙の中で考えれば、人間の数は少し多くなり過ぎて、限界を超える時がくるかもしれません。でも、だからといって戦争をやるにしても、昔のようにチャンバラやって何人か死ぬという程度でやめておかないと、原爆を投下するようなことをしてはいけない。ああいうことをやると全滅します。完全にバランスが崩れてしまいます。だから、ああいうことはやっちゃいけない。
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この続きは、是非書籍でご覧ください。
『新装版 わたしが正義について語るなら』ポプラ社
※本記事は、『新装版 わたしが正義について語るなら』著:やなせたかし/ポプラ社 より抜粋・再編集して作成しました。
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