「神社のご神木が車内に鎮座」どういうこと!? 予約率9割超え、でも“座席は売らない”人気列車
- 乗りものニュース |

登場から1年強がたったJR九州の観光列車「かんぱち・いちろく」は、予約が取りにくい人気列車です。乗車は旅行商品になっており、手軽に乗れるようになるとの甘い期待を抱いてはいけないようです。
所要時間は別の特急より1時間半長く
JR九州の観光列車「D&S列車」の最新列車が、2024年4月に登場した「かんぱち・いちろく」です。久大本線を経由して博多―別府間を結んでいます。「運行開始後の1年間にテーブルの予約率は9割を超えた」(関係者)という超人気ぶりで、筆者も予約を試みて“玉砕”しました。
JR九州の「かんぱち・いちろく」(大塚圭一郎撮影)
博多発別府行きの特急「かんぱち」が月、水、土曜、別府発博多行きの「いちろく」が火、金、日曜に運行します。途中駅での停車時間が長いため所要時間は4時間40分―4時間50分と、特急「ゆふ」より1時間半ほど長くかかります。
列車名の由来となったのが、久大本線の敷設を粘り強く要望した日本酒メーカー八鹿(やつしか)酒造の中興の祖、故・麻生観八氏と、久大本線を途中で湾曲させるように働きかけて温泉地の由布院駅(大分県由布市、開設時の駅名は北由布)開設につなげた元大分県農工銀行(現・みずほ銀行)頭取の故・衞藤一六氏です。
デビュー時に勤務先のワシントン支局に駐在中だった筆者は乗れず、2025年6月の福岡市訪問時も予約で埋まっていたところ、知っているJR九州社員の方から出発前の見学を提案いただき、初めて車内に足を踏み入れました。なんと車内には“パワースポット”となるご神木も潜んでおり、驚きの連続でした。
「2R形」って何だ!?
特急「かんぱち」は博多のプラットホームへ12時12分に滑り込み、利用者を迎えて12時19分に出発します。実はこの入線前にも博多に1回顔を出しています。
まずは回送列車が11時36分に到着し、料理などを車内に搬入、11時47分に発車して鹿児島本線を北上し、2駅先の箱崎駅に留置して客室乗務員が準備を進めます。その後、博多に舞い戻るのです。筆者が車内を見学したのは、博多―箱崎間を往復した25分間でした。
「かんぱち・いちろく」は3両編成で、黒い車体の側面に描いた金色のラインは久大本線の路線図をイメージしています。両端の1、2号車が国鉄時代に製造されたキハ47形で、中間の2号車はJR九州が製造した両運転台式のキハ125形です。改造後は「2R形」と呼んでおり、麻生、衞藤2氏の“ロマンスカー”という意味を込めたと言います。
“パワースポット”ってそれ!? 意外すぎる転生
客席は1、3号車に計60あり、全てグリーン席。1号車の内装は大分・別府エリアの風土をモチーフにし、火山や温泉を想起させる赤色が基調です。2―3人用のソファー席と、3―6人に対応したボックス席が並び、テーブルには大分県産の杉を用いています。
「かんぱち・いちろく」3号車の車内(大塚圭一郎撮影)
一方、3号車は福岡・久留米エリアの風土がモチーフで、沿線の雄大な平野や山々を思い起こさせる緑色で彩っています。1―4人用のボックス席が連なり、テーブルは福岡県産の杉で作られました。1、3号車とも乗務員室の後ろには、靴を脱いで利用できる4―6人用の畳敷きの個室があります。
各テーブルの壁面には沿線を題材にした芸術作品が飾られ、1号車の壁の一角には旧豊後森機関庫(大分県玖珠町)の周囲にキリンやゾウなどが集まった絵を掲げていました。車内には沿線地域の伝統工芸品もあしらっており、洗面台は福岡県の小石原焼でできていました。
そして、列車の最大の目玉が、「ラウンジ杉」と名付けられた2号車のバーカウンターです。
これには、樹齢約250年に達する杉の一枚板が使われています。全長約8mのカウンターに刻まれた年輪は重みがあり、案内してくれたJR九州鉄道事業本部営業部営業課の伊藤大貴さんが「これは神社のご神木でした」と打ち明けました。
「熊本県南小国町の神社にあるご神木が倒壊の危険性があるとの情報が入り、ここで使わせていただくことになった」とのことです。車両を改造した小倉工場(北九州市)に持ち込み、車内に運び込む際には「杉は軟らかい素材なので重機が使えず、20人程度が細心の注意を払って手で担いで運び込んだ」そうです。
「列車内ご神木」の不思議なパワー?
苦労の甲斐があり、列車内に誕生したご神木だったという”パワースポット”。そのカウンターの上には土産品のほか、沿線の名産品も展示されており「特急『かんぱち』が出発する時には博多や久留米の名産品だけを展示し、進んでいくと(客室乗務員が)沿線の名産品を1個、2個、3個とカウンター上に増やしていきます」(伊藤さん)。こうして、乗客は追加された名産品を確認しようと、何度も足を運んでくれるそうです。
また、車内で振る舞われる福岡、大分両県の食材を生かしたこだわりの弁当も大きな売りです。訪れた日の弁当を調理した福岡市の和食店「味 竹林」の竹林 譲さんは「今が旬の大分のハモや、刺身のタイ、(クロマグロの幼魚)ヨコワ、アオリイカを入れ、夏の季節感を出すために刻んだミョウガを載せました」と解説しました。乗客は容器のふたを開けると、見た目も鮮やかな料理に感嘆の声を挙げるそうです。
「かんぱち・いちろく」は全座席を昼食付きの旅行商品として販売しており、大人1人の旅行代金は1万8000~2万8000円かかります。
筆者は見学前には、乗車券と特急券、グリーン券を買えば乗れる座席販売も始まると予想していました。しかし、これがおそらく大ハズレだったことが判明しました。
なぜなら車内は、それぞれのテーブルに番号が付けられているだけで、各座席の番号は割り振られおらず、座席販売をできないためです。旅行商品限定でも予約が好調なのを踏まえると、JR九州が割安な座席販売に乗り出す動機は見当たりません。
大分、福岡両県の魅力がたくさん詰まった「かんぱち・いちろく」だけに、JR九州は弁当も含めた車内体験を「五感で存分に味わってほしい」(伊藤さん)という思いを込めていました。
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