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「夜行はプレッシャーもありますよ」 運転士と車掌が語る“深夜ならでは”の工夫と「旅情」の作り方とは? 大井川鐵道「夜行急行」の舞台裏

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天候によっては補助機関車が押すことも

 2026年2月28日から3月1日にかけて、大井川鐵道大井川本線で「大井川鐵道 夜行急行」が運転されました。普段は列車の運行がない時間帯での運転や車掌業務にはどのような違いや苦労があるのか、当日担当した増田晋士運転士・森亮之佑車掌に話を伺いました。

Large figure1 gallery7夜通しの運転から無事朝を迎えた夜行急行。多くの関係者の努力により運行が支えられている(和田稔撮影)

――本日は乗務前でお忙しいところ、ありがとうございます。まず、増田さんが普段乗務される車種を教えてください。

増田 普段は電車・電気機関車、蒸気機関車も乗務しています。大井川鐵道には18歳で入社して、駅と車掌を2年ずつ経験してから22歳で免許をとりました。当時は電気機関車に乗務する機会が少なく、プッシュプルの列車では先頭の機関車と後ろに付く補助の機関車で操作も違うので大変でした。

――普段から補助機関車が後押しすることはあるのでしょうか。

増田 両数によって補助機関車はほとんど力行しませんが、編成が長い時や天候状況を見て「苦しいかな」という時は押すこともあります。

――今夜の夜行急行は12系4両ですが、いかがでしょうか。

増田 晴れていれば大丈夫だと思います。小雨が降るとちょっと厳しいかもしれません。うまく勢いをつければ行けないこともないと思うのですが、カーブが続くと空転しやすくなりますね。下り列車では門出を出ると15‰の上り勾配となります。2~3kmくらい上り勾配とカーブが続き、山間部となるので落ち葉があったりして空転しやすくなります。制限の範囲内で速度を出して、勢いをつけたりもします。

――夜行列車の運転で気を付けることなどはありますか。

増田 2点あります。まずは動物の飛び出し。夜になるとイノシシや、特にシカが出てきやすいので、通常より若干速度を落として注意を払います。おそらく今夜もどこかで会うのではと思います。もう一つは、遅い時間帯ではお客様がウトウトとされたり、寝静まったりしていると思うので、いつもより慎重なブレーキを心掛けます。

――深夜帯の乗務におけるご苦労などはありますか。

増田 夜行はプレッシャーもありますよ。万が一、何かあった場合の対処など、昼間と違いすぐに係員が手配できない可能性もあります。常駐してくれれば心強いですが、そういうわけにもいきません。また、手動扉の旧型客車と違って12系は自動扉なので、先頭の機関車は基本的に一人乗務ですが、夜行列車については先頭の機関車に運転士がもう1人います。私たちは深夜帯に運転する機会がなかなかないので、負担軽減のため助士の役割をする運転士が乗務するのです。今夜は補助機関車乗務の1人と合わせて、3人でのローテーションになります。

「この言い回しはいいなぁ」と研究

――森さんは車掌として乗務されます。主な業務を教えてください。

森 お客様の動向に注意しながらドア扱いを行うこと、放送でのご案内などが主な業務となります。また、ドアが開かない運転停車の駅も含めて、発車時に車掌室の落とし窓を開けて発車合図を運転士に送ります。夜間は合図灯を使用します。同じ夜行列車でも旧型客車のドアは開けようと思えばお客様の手で開けることができてしまうのですが、12系は自動扉なので安心感もあります。

――案内放送など昼間の列車と変えたりされるのでしょうか。

森 私自身、ブルートレインに乗ったことがない世代で、ましてや国鉄と言われてもピンときません。ところが、お客様はそういった旅情を期待されています。乗務にあたり、動画サイトなどを見て「昔はどんな感じだったのだろう」「この言い回しはいいなぁ、ちょっと真似をしてみよう」と研究しました。今日は見習いがいますので、そういったことも伝えていきます。

――今夜は指導される立場なのですね。

森 お休みになるお客様も多いので、できるだけ物音を立てず、静かに行動するようにという点は特に気を付けていきたいと思います。もちろん、車内の巡回も適宜行います。

※ ※ ※

 安全運行への配慮や乗客を楽しませる工夫。夜行列車の舞台裏には、多くの取り組みがありました。

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