「こ、この手で“列車”を運転している…」この高揚感! 日本一寒い町にある「日本最長の保存鉄道」を体験
- 乗りものニュース |

北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線の廃線跡を活用した「りくべつ鉄道」では、全国から運転体験を希望する人々が訪れ、リピーターも定着しています。
運転“者”が本物の気動車を運転
「赤枠ゼロで停車ぁ」
「赤枠ゼロで停車!」
リピーターの運転体験者が指差呼称をして発車する。道路は近くにはなく、自然の中に線路があって心地良い(吉永陽一撮影)
気動車の運転席で、指導する運転士が前方を注視しながら指示し、運転席から復唱する声が元気に響きます。この光景は運転士養成のシーンではありません。“廃止”となった鉄道路線で、趣味として利用料を支払った運転“者”が、本物の気動車を運転しているのです。
場所は北海道陸別町。2006年に廃止となった北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(以下、銀河線)の廃線跡を活用し、実際に走っていた気動車の運転体験ができる保存鉄道「りくべつ鉄道」です。運転体験は定休日の毎週火曜水曜以外に実施されており、本物の気動車を運転できるとあって、日本全国から運転希望者が集まってきます。
最大の魅力は運転体験の距離です。旧陸別駅構内を行ったり来たりするだけでなく、旧陸別駅から北へひと駅の旧分線駅までの約5.7kmが、廃止時の状態で線路が残され、牧場や森の中、利別川に沿う風光明媚な区間となっています。保存鉄道としては日本最長の長さを誇り、運転体験は駅構内からステップアップしていけば全線走破も可能です。
「長い距離を運転できるのが魅力で、何度も訪れて運転しています」
はるばる佐賀県から訪れた男性は、運転体験を数日間みっちりと堪能していました。アクションカメラで運転模様を記録し、運転シーンをチェックして次回への研究をするそうです。開業以来リピーターは増加傾向にあり、通算100回以上も運転体験をする人も複数います。なかには現役の運転士も一般客として来訪し、地下鉄や都市部とは異なる風光明媚な環境で運転を堪能することもあるそうです。
「この『メーテル』は特にクセがある」
運転体験コースは駅構内を往復するSコース、講習と点検なども含めたLコース、1.6km先の駅構外へと運転する銀河コースと、2.8km先へ行く新銀河コース、分線駅までの5.7kmを運転する分線コースがあります。
廃線跡と国道がまたぐ所では、りくべつ鉄道の走行シーンが眺められる。前面のドアは開放されていたが、銀河線の現役時代を連想させる光景だ(橋本晶子撮影)
駅構外へ出るコースはL、銀河、新銀河と運転体験を重ねることで予約可能となります。動かすのは本物の鉄道車両ゆえに、安全のため駅構内で体験した後ではないと構外へ運転できません。
「同じ車両なのだけれどもブレーキのクセが違ってね。この『メーテル』は特にクセがある」
運転を指導する元JR貨物OBの方が、指導の合間で教えてくれました。同形式の車両といえども個体によってクセがあると、多くの鉄道マンが言っていたことを思い出します。
りくべつ鉄道では銀河線で使用したCR70形とCR75形が6両在籍し、そのうち3両が常時稼働状態です。「メーテル」とは、銀河線時代に松本零士氏監修によって『銀河鉄道999』の特別塗装が施された2両を示します。
筆者(吉永陽一:写真作家)がSコースを体験してみたところ、駅構内を往復するメーテル車のブレーキ弁を操作すると、ググッと後からブレーキが掛かりました。確かにクセがありそうです。ブレーキの調整は整備しているが、どうしても個体差が生まれるそうです。
運転体験は人生初。博物館のシミュレーターとは異なり、運転する自らの手によって車両が“動いている”と五感で実感し、心の高鳴りと、車両が実際に動くことへの驚きと焦りが交錯します。と同時に、旧分線駅までの一駅といえども、実際に列車が運行していた区間をリアルに運転する高揚感と緊張感はいかほどか計り知れません。
「9割以上は首都圏や各都市圏からの来訪ですが、札幌からも増え、家族ぐるみで運転する方もいらっしゃいます」と、りくべつ鉄道事務局長の杉本武勝さん。Sコースは小学生から運転体験ができ、15分間3000円(予約優先)という気軽さから家族連れにも人気です。
線路も車両も「残していく」
りくべつ鉄道は年に5回ほど運転士OBがハンドルを握る「乗車体験構外特別運行」が実施され、旧陸別駅から旧分線駅までの往復乗車ができます。
踏切跡があるため駅構内から構外へと同じ列車で直通できず、こうして乗り換える必要がある(吉永陽一撮影)
ただし、道路と交差する踏切は銀河線廃止時に鉄道優先から道路優先となり、所轄警察署へ道路占有許可証を提出して、保安要員を配置して対応しています。分線コースでも駅構内から運転し旧踏切前で一旦下車して、反対側に待機する車両へ乗り換える一手間があるのですが、旧踏切を勝手に走らせることができないため、こうした方法を採用しています。
車両は製造から37年が経過し、「気動車が壊れたら保存鉄道の運営もどうなるのか」と、陸別町商工会でも意見が交わされましたが、町長自らがりくべつ鉄道は残していきたいとの考えを示しました。
車両はアナログ感満載の気動車であり、地域の自動車整備工場等で日々のメンテナンスが可能です。パーツ類に関していえば、例えばヘッドライトが切れた際、既存のものが在庫切れの場合はLED化をすることとなります。代替品で対応できるところは実施し、銀河線で走っていた状態を維持し、激変させずに残していくことを目標にしています。車両はラッピングすることもありますが、基本的には銀河線の塗色のまま残していく方針です。
また、車両の大規模修繕工事は町の予算でまかない、一千万円単位で掛かる修繕工事を実施してく予定です。保有数は6両ですが、さすがに一度では予算が限られます。日々運営するためには、最低3両の大規模修繕が必要とのことです。
陸別町はかつて酪農と林業が盛んでした。今では全国で一番寒い町を売りにして、真冬に「しばれフェスティバル」が開催され、地元の誘致によってラリー選手権も開催。さらに低緯度オーロラが観測できるため、町営の天文台もあります。そこに保存鉄道りくべつ鉄道が加わって全国からファンが集まり、陸別町の一つの顔となっています。
全国からリピーターも増えており、りくべつ鉄道はこれからも町の顔として活躍していくことでしょう。
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