「ホントに令和!?」 築100年級ゴロゴロ 富山地鉄の「本気で古い」激シブ駅舎5選【立山線編】 訪れるなら今のうち?
- 乗りものニュース |

作られた古さではない「ほんもののレトロ駅」がいっぱい
県庁所在地の富山市を中心として、県下に約108kmの路線総延長を持つ富山地方鉄道(富山地鉄)が揺れています。不採算路線の一部廃止などが取りざたされ、なかでも立山線の一部区間については2025年12月現在では地元自治体との協議も行われて2026年度の廃止は回避されたものの、先行きは未だ不透明という状況です。
岩峅寺駅。両ホームとも屋根はわずかながら設けられているが、特に1番線のそれは吊り下げられた駅名サインとともに、長い歴史が感じられる(遠藤イヅル撮影)
辛くも存続となった立山線や、運転系統上で深い関係を持つ上滝(かみだき)線ですが、沿線には鉄道ファンにとって魅力的な駅が多いことでも知られています。
その魅力とは、ズバリ「レトロ」。作られた古さや、古い建物の良さを台無しにしてしまうリニューアルが行われることも少なく、駅によっては開業時以来の風情をそのまま残す駅もあるほどで、いうなれば「過去をフリーズドライして閉じ込めたような状態」なのです。変な言い回しですが、“ほんもののレトロ駅”です。駅舎に入り、ホームに降り立てば「いったい、今は昭和何年なんだろう?」とタイムスリップした気分になるほどです。
しかし、もし路線の区間廃止が行われてしまえば、それらの駅は消え去ってしまう運命にあります。また、少しずつではありますが富山地鉄は駅舎のリフォームや建て替えを進めており、路線が存続したのちも、永久に往時の姿で残り続けるのは難しいでしょう。
今回は廃止協議区間にある駅をメインに、「開業時や大正・昭和の姿をとどめていること」「大規模な改修や近代化が行われていないこと」などの条件で個人的に選抜したレトロ駅を紹介します。昭和感や古さの「タイムスリップ度」も5点満点で測ります。
上滝線:上堀(かみほり)駅 タイムスリップ度・・・★★★★☆
不二越線の南富山駅を起点に、岩峅寺駅までを12.4kmで結ぶ上滝線は、実質的には本線の電鉄富山―稲荷町間、不二越線の稲荷町〜南富山間と一体運転を行っており、不二越・上滝線とも称されます。上堀駅は南富山から2つ目の駅で、周囲は住宅地が広がっています。
富山県営鉄道の駅として開業したのは1921(大正10)年で、軒が長く伸びた趣ある木造駅舎は開業当初から使用されており、とやま近代歴史遺産100選にも選ばれています。窓枠の一部がアルミサッシ化されておらず、駅舎に掲げられた駅名板が木製で昔のまま、駅前が未舗装で砂利敷、古い看板類が残るなど「タイムスリップ度」が高いのがポイント。表示類や自販機がなければ、完全に昭和30〜40年代の古き良き風景が再現できそうです。
上滝線・立山線:岩峅寺(いわくらじ)駅 タイムスリップ度・・・★★★★★
上滝線の終点でもある立山線の岩峅寺駅。この駅も、とやま近代歴史遺産100選の選定駅です。
ちなみに岩峅寺という寺は現存せず、富山県中新川郡立山町の地名に残るのみです。その立山町には、立山を御神体として信仰する雄山(おやま)神社が存在します。小山神社には立山連峰の主峰・雄山に建つ峰本社、同町芦峅寺(あしくらじ)エリアに構える中宮祈願殿、そして岩峅寺エリアの前立社壇があり、このうち中宮祈願殿は芦峅寺、前立社壇は岩峅寺を前身としています。寺なのに神社?とハテナマークが浮かびますが、これは、神仏習合色の強い寺社ゆえとのことです。
地方鉄道の駅舎としては大きめな二階建ての駅舎は和風なイメージで、出入口の屋根を唐破風(からはふ)としていますが、これは前立社壇を模したものでしょう。岩峅寺駅はロケにもたびたび使用されており、駅舎内の待合室壁面には、2009年に公開された映画の撮影風景が飾られています。
立山線に対して上滝線はV字状にホームを構える乗換駅のため、駅構内は広く取られています。駅舎のみならずホーム上や乗り換え通路を覆う屋根、上滝線ホームに建つ待合室、上滝線の線路脇に残る昭和初期に建てられた変電所、駅名の文字などに、現代では生まれ得ない要素がたくさん詰まっています。
なお駅舎が完成した時期は、立山鉄道(立山線の前身)と富山県営鉄道が駅を開業させた1921(大正10)年8月、もしくは1956(昭和31)年の両説がありますが、1947(昭和22)年撮影の航空写真では、画像が不明瞭ながらもこの規模の駅舎が確認できないため、後者の時期に建てられたのではないでしょうか。
立山線:横江駅 タイムスリップ度・・・★★★★★+
横江駅は岩峅寺駅のひとつ立山寄りの駅で、1921(大正10)年の開業時は現在とは別の場所に設置されていました。現横江駅は尖山(とがりやま)駅として1931(昭和6年)に開業しており、その後1965(昭和40)年に駅名変更を受けて尖山駅が横江駅に、旧横江駅は上横江駅となりました。しかし本来の横江駅だった上横江駅は、1997(平成9)年)に廃止されています。
ホーム側から見た横江駅の駅舎。本気で古い(遠藤イヅル撮影)
並走する富山県道6号線富山立山公園線から少し入った場所にある横江駅ですが、道路からは駅の案内もなく、木々の中にひっそりと木造駅舎が建っています。開業時のものと思われるこじんまりとした駅舎は、改築・改装などを少なくとも長い期間行っていないようで、失礼ながら廃墟のようにも見え、もはや侘び寂びの世界すら漂わせています。ホーム上の風待合室も風情たっぷりで、駅舎と駅周辺の風景は、令和時代とは思えない空間を作り出しています。
駅舎・待合室含め窓枠はすべて木製で、アルミサッシの類は一切見られません。目に見えるものがほとんど木製という駅舎は、今や日本でも貴重なものでしょう。
立山線:千垣駅 タイムスリップ度・・・★★★☆☆
富山県道6号線と線路の間に狭そうに建つ千垣駅は、1923(大正12)年に開業しました。立山線の前身である富山県営鉄道は、1921(大正10)年10月に旧横江駅まで開業。そして2年後に千垣駅まで延伸しています。
駅舎は、道路側から見るとトタン板で改築され、出入口の扉もアルミサッシに置き換えられていますが、駅舎内に入ると壁面にベンチの背もたれを有した古い作りの待合室がお出迎え。さらに駅舎ホーム側の意匠からも、古い建物であることが伺い知れます。
建った時期は不明ですが、1923(大正12)年の開業時のものという説もあり、その場合、目立たない小さな駅舎ながら実に100年以上の歴史を有することになります。
駅舎内は綺麗に清掃が行われており、駅への愛着を感じられます。現在は無人駅ですが、1997(平成9)年までは駅員がいました。出札口は板で塞がれていても、当時の雰囲気を今に残しています。
なお立山線は冬季期間(12/1〜4/14)において岩峅寺〜立山間でデータイム運休という大幅な減便が行われるため、この時期の電車を用いた訪問には注意が必要です。
ちなみにアルミサッシ化されたからといって、昭和度合いや閉じ込め度が下がるというわけではありません。アルミサッシの普及は昭和40年代以降と、すでに充分な歴史があり、サッシの色や中桟の有無形などによっては、昭和中期の雰囲気を強く出すアイテムとなります。
立山線:本宮(ほんぐう)駅 タイムスリップ度・・・★★★★☆
富山地鉄や同鉄道の古い駅を知っている人なら、岩峅寺・横江・千垣とくれば次は有峰口駅……と思ったかもしれませんが、同駅は近年大規模なリフォームが行われました。歴史を感じさせる雰囲気はかなりなくなっており、ファン的には惜しまれるところではありますが、利用客にとってはたいへんありがたいことです。富山地鉄も、本来なら駅舎の改築は進めていきたいと思っているはずです。
本宮駅。当時の看板が残る駅名板(遠藤イヅル撮影)
そこで上滝・立山線編で最後に選んだのが、立山線の本宮駅です。終点立山駅のひとつ手前に位置していますが、立山駅までの距離は4.8kmもあり、電車では約10分かかります。というのも、かつてはこの区間に芦峅寺駅と粟野巣(あわのす)駅が存在していためです。
1937(昭和12)年、富山県県営鉄道時代に千垣駅から粟野巣駅まで延伸開業、1955(昭和30)年には粟野巣駅から現在の立山駅である千寿ヶ原駅までが開業しました。芦峅寺駅は昭和20年代後半〜30年代前半の早い時期、粟野巣駅は1981(昭和56)年に廃止となっています。なお小見駅(現:有峰口駅)および千垣から千寿ヶ原駅までの区間は、現体制の富山地方鉄道の路線になるまで、富山県営鉄道・日本発送電・立山開発鉄道などいくつか経営母体を変更しています。
本宮駅のホームと木造の駅舎は、道路や周辺の家々よりも一段高い場所に設置されています。駅舎はその作りと過去の航空写真から類推するに、昭和40年代に入ってから建ったのではないかと思われます。
これまで紹介した駅よりは新しいですが、ドアや窓、建材など随所に建築時のオリジナル要素が残されていることから、これもまた立派な「昭和タイムスリップ駅」です。この時期の建物は残らないことが多く、しかもここまで昭和40年代感、高度成長期感がムンムンに出ているのは、むしろ貴重な存在と言えます。
※ ※ ※
時間と歴史が作り出す風情と風格。それが、富山地鉄の古い駅には数多く見られます。駅舎を中心に紹介しましたが、それ以外にもホームや架線柱、柵や看板など、見所は尽きません。
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