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「和式トイレ」使えない子ども増加に「ショック」 整形外科医が懸念する“将来的な健康リスク”

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子どもが和式トイレを使えないと健康上、どのようなリスクがある?
子どもが和式トイレを使えないと健康上、どのようなリスクがある?

 近年、学校や公共施設などに設置されている和式トイレが使えない子どもが増えているとされています。SNS上では「娘は和式トイレを使えない」「今の子どもは和式トイレが使えなくなっている」「学校の和式トイレをやめてほしい」「最近の子って和式トイレを使えないと聞いてショック」という内容の声が上がっています。

 和式トイレが使えないと健康上、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。「つくる整形外科 祐天寺駅前スポーツクリニック」(東京都目黒区)院長で、ラグビー日本代表のチームドクターを務めた経験がある、整形外科医の中谷創さんが解説します。

転倒リスクが増加する可能性も

 日本の学校や公共施設で和式トイレを使えない子どもが増加しているのは、家庭環境の変化や生活習慣の洋風化、身体的な理由が絡み合った結果です。主に次の3つの理由があります。

■和式トイレを使えない子どもが増えた理由
(1) 家庭で洋式トイレが普及

日本では、家庭のトイレがほぼ洋式化しています。文部科学省の調査によると、公立小中学校のトイレは68.3%が洋式ですが、家庭では和式トイレがほぼ存在しません。

また、NPO法人日本トイレ研究所が2022年に小学生(小学1~6年)の保護者を対象に実施した調査によると、小学生の26.7%が「和式トイレを使えない」と回答し、特に男子については33.4%だったということです。和式トイレに触れる機会がなく、しゃがむ姿勢に慣れていない子どもが増えていると考えられます。

(2) しゃがむ動作が不慣れ
和式トイレの使用には、深くしゃがんだ姿勢を維持する能力が必要です。この動作には、股関節や膝関節、足首の柔軟性と、大腿四頭筋やハムストリングス、腓腹(ひふく)筋などの筋力が求められます。

しかし、現代の子どもは椅子中心の生活や、床に座る機会の減少により、しゃがむ動作を日常的に行いません。日本整形外科学会雑誌(2018年)の研究では、現代の子どもは1980年代の子どもに比べ、下肢の筋力と柔軟性が10~15%低下していると報告されています。この身体能力の低下が、和式トイレ使用の障壁となっています。

(3) 心理的抵抗感
和式トイレは、洋式トイレに比べて不安定な姿勢や、慣れない動作に対する心理的抵抗感が原因で避けられる傾向にあります。特に、初めて和式トイレを使用する子どもは、バランスを崩す不安や、使い方が分からないことへの恥ずかしさを感じることがあります。

 次に和式トイレを使えないことによる健康面のデメリットについて、解説します。

(1) 便秘や排便障害
和式トイレを使えない子どもが学校でトイレを我慢することは、便秘や排便障害のリスクを高めます。先述のNPO法人日本トイレ研究所の調査では、便秘状態の児童のうち、8割以上が学校で排便を我慢しており、その主な理由として和式トイレへの抵抗感が挙げられています。

便秘は腹痛や食欲低下、腸内環境の悪化を引き起こし、長期化すると直腸の感覚鈍化や慢性便秘症につながります。整形外科的には便秘による腹圧の上昇が、骨盤の底にある「骨盤底筋群」に過度な負担をかけ、脊椎や骨盤の姿勢不良や腰痛を誘発する可能性が指摘されています。

(2) 下肢筋力の低下
和式トイレの使用には、しゃがむ動作を維持するための下肢筋力が必要です。この動作は、大腿四頭筋やハムストリングス、腓腹筋、ヒラメ筋など、複数の筋群を協調的に使うため、全身の筋力バランスを向上させます。

しかし、和式トイレを避けることで、こうした動作の機会が減少し、下肢筋力が低下します。ある研究では、しゃがむ動作を頻繁に行わない子どもは、大腿四頭筋の筋力が同年齢の平均より約12%低いことが示されています。下肢筋力の低下は「走る」「跳ぶ」「階段を上る」などの日常動作の効率を下げ、将来的には転倒リスクやスポーツ外傷の増加につながります。

(3) 関節可動域の低下
しゃがむ動作は、股関節や膝関節、足首の可動域を最大限に活用します。特に、股関節の屈曲(約120度以上)、膝関節の屈曲(約140度)、足首の背屈(約20~30度)が求められます。しかし、和式トイレを使わない子どもは、これらの関節をフルに動かす機会が少なく、可動域が制限される傾向にあります。

しゃがむ動作の頻度が低い子どもは、股関節と足首の可動域が10~15%狭いと報告されています。関節可動域の低下は、将来的に変形性関節症や関節拘縮のリスクを高め、特に高齢期の運動機能低下につながる可能性があります。

(4) 姿勢制御とバランス能力の低下
和式トイレを使用するには、しゃがんだ状態でバランスを保つ必要があります。この動作は、体幹筋(腹筋、背筋)や骨盤底筋群の協調的な働きを促し、姿勢制御能力を向上させます。しかし、和式トイレを避けることで、こうした動作の機会が減少し、姿勢制御やバランス能力が発達しにくくなります。

ある研究では、しゃがむ動作の頻度が低い子どもは、片足立ちテストでのバランス保持時間が平均で20%短いことが示されています。バランス能力の低下は、転倒やスポーツ中のけがのリスクを高め、特に成長期の子どもにとって運動発達の遅れを招く可能性があります。

(5) 骨盤底筋の機能低下
和式トイレのしゃがむ姿勢は、骨盤底筋を自然に強化する効果があります。この筋群は、排便や排尿のコントロール、骨盤の安定性に重要です。しかし、和式トイレを使わない子どもは、骨盤底筋を意識的に使う機会が減り、筋力や機能が低下する可能性があります。

研究では、骨盤底筋の低下が、尿失禁や骨盤の不安定性を引き起こすリスクを高めると報告されています。特に女子の場合、将来の妊娠時、出産時の骨盤底筋機能に影響する可能性も指摘されています。

 子どもが和式トイレを使えるようにするためには、日常的にしゃがむ動作を取り入れることが重要です。例えば、スクワットや足首背屈ストレッチ、不安定な台の上でしゃがむ動作を行い、姿勢制御を鍛える「バランスボードトレーニング」などのエクササイズを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 これらの運動は、下肢筋力や関節可動域、バランス能力を向上させます。子どもが「床に座って遊ぶ」「しゃがんで物を拾う」などの簡単な動作を習慣化することで、自然に子どもの筋力と可動域が向上します。こうすることで成長期の健康を支え、将来的な運動機能の低下を予防できるようになると思われます。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

オトナンサー編集部

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