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「グリーン車を超えるグリーン車」が、なぜ“個室”じゃないの? 「それ本当に大変で…」 屈指の人気列車、想像だにしない“当初案”を聞いた

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  • 乗りものニュース
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もうすぐ登場1周年を迎える観光列車「はなあかり」は、最上級クラスの“半個室”を、さながら「貸し切り美術館」のような空間にしています。着想した背景や、“個室”にしなかった理由を尋ねると、デザイナーは様々な“別案”があったことを打ち明けました。

グリーン車を超える空間=「プライベート美術館」?

「地域に光が当たり、地域が華やぐイメージで、西日本のさまざまな地域のとっておきに『あかりを灯す』列車」というコンセプトを掲げて2024年10月に導入されたのが観光列車「はなあかり」です。季節ごとにエリアを変えて運行しており、全席がグリーン車以上という高価格帯の設定にもかかわらず予約は好調に推移しています。

Large figure1 gallery11観光列車「はなあかり」(大塚圭一郎撮影)

 特急「はまかぜ」に使っていたキハ189系を改造した3両編成のディーゼル車両で、特にユニークなのがグリーン車を超える最上級クラス「スーペリアグリーン車」です。2人利用で100km以内は1人当たり3500円、100km超200km以内は同5000円、200km超400km以内は同6390円など、かなりの「高額商品」です。

 車内は「籠(かご)」をイメージしたという2人用の半個室(セミコンパートメント)を10室備えており、それぞれの室内にあるガラスケースの「飾り棚」には沿線で作られた工芸品やアート作品を収蔵しています。

 筆者が2025年6月に尾道(広島県尾道市)から大阪まで乗車した際には、飾り棚の中に広島県福山市の花となっているバラの作品や、国産ジーンズ発祥の地である岡山県倉敷市のジーンズを用いたアートなどが収められていました。

 利用者は通路を挟んで1席ずつしかない本革シートにゆったりと腰掛け、その半個室だけに用意された「貸し切り美術館」のような作品に目を癒やされながら瀬戸内地方の旅路を満喫していました。

 展示される作品は「沿線各地の工芸品・アート作品」とうたっている通り、運行エリアが変わった際には展示される作品も交換します。2025年7―9月は大阪―敦賀(福井県敦賀市)を原則として土・日曜に1日1往復しており、2025年大阪・関西万博への訪問に合わせて北陸新幹線と乗り継ぐ顧客もいます。

 この「貸し切り美術館」は「西日本のさまざまな地域のとっておきに『あかりを灯す』列車」というコンセプトに合致しています。一方で「半個室」の代わりに、同じく「グリーン車以上」だけを設定しているJR東日本と伊豆急行を直通運転している東京―伊豆急下田(静岡県下田市)間の特急「サフィール踊り子」E261系のように「個室」を設置する選択肢も考えられます。

 筆者が「はなあかり」のデザインを担当したイチバンセン一級建築士事務所代表取締役の川西康之氏に尋ねると、開発段階では現在の姿からは想像できない驚きのアイデアが浮上していたことを教えてくれました。

やっぱり「個室にしたらどうか」の案もあった!

 川西さんは「『グリーン車よりも上級クラスを設定する』というのはJR西日本からの指示だった」と打ち明けました。開発中に新型コロナウイルスの感染が拡大したため、「ニーズが確実にあるコンパートメント(個室)の席にしたらどうか」との提案も実際にあったそうです。

Large figure2 gallery12「はなあかり」の1号車のスーペリアグリーン車の半個室に飾られたアート作品(大塚圭一郎撮影)

 ただ、川西さんは「エアコンの個別空調を設けるのは本当に大変なため、高いパーティション(仕切り)で区切った空間を1両だけ造ることになった」と打ち明けます。こうして生まれたのが、1号車のスーペリアグリーン車でした。

 この車両の定員を20人にするという指示に沿い、「普通席ならば6席分の空間に2席を設ける割り付けが早々と決まった」。本革座席は背もたれが倒れないものの、長時間快適に過ごしてもらえるように「座る位置によって姿勢が変えられるなどの工夫などを施した」そうです。

「貸し切り美術館」構想すら別案があった!?

 半個室に決まった経緯を聞いたうえで、筆者は川西さんに、沿線各地の作品を収めたガラスケースについては「他の乗客からもより見えやすくし、それぞれ異なる作品を鑑賞できる位置にあったほうがより良かった気もします」と率直に申し上げました。

 すると、川西さんは「開発段階では、ガラスケースをフリードリンクバーにするアイデアがあったのですよ」と知られざるエピソードを教えてくれました。

 ひとつの案として「ホテルのスイートルームや、旅客機のファーストクラスやビジネスクラスの一部では飲み放題のミニバーを備えているように、ガラスケースに沿線の地酒やジュース、スナック菓子、飲食用の容器を備えておき、お客さんが自分で取り出して味わえるようにすることを考えていた」そうです。

 ところが手続きが煩雑になるとの慎重意見も出たため、川西さんは代替案として「地元の工芸品を車内に飾るというアイデアがもともとあったため、さまざまな工芸品をガラスケースに入れてじっくりとご覧いただくことになった」と明かしました。

「花より団子」じゃないんだよな~

 長距離列車「WEST EXPRESS 銀河(ウエストエクスプレス ぎんが)」や、2025年のブルーリボン賞に輝いた特急「やくも」の273系などを手がけてきた川西さんは、地域共生のフラッグシップ(旗艦)列車を目指した「はなあかり」が「地域の皆さんが参加したくなるモチベーションを持ってもらえるのは何だろうかと考えた」と振り返ります。着目したのは「花」でした。

「お花を集めて、お花畑のような車両を走らせたらお客様が集まってくださると思い、『花』をテーマにすることに提案した」と打ち明けます。運行時には「沿線の保育園、幼稚園の子どもたちが近くに咲いているシロツメクサといった野花を摘み、乗客一人一人に渡すような人々の温かさが伝わるような列車になってほしい」との願いを込め、車内の壁際に花を飾る一輪挿しをしつらえました。

 車体色もこの「花」のコンセプトが貫かれています。奈良時代から伝わる檳榔子染(びんろうじぞめ)色をまとった車体にも、テーマとなる花や草のイラストを金色で施しました。

 川西さんが明かした興味深い開発秘話の中でも、筆者が特に関心を抱いたのは「幻のフリードリンクバー構想」でした。筆者のような「花より団子」の乗り鉄は、もしも実現していれば、乗車したいという意欲がぐんと高まっていた気がします。しかしながら、「花」をテーマにした「はなあかり」という名称の列車であることに鑑みると、沿線の工芸品やアート作品を愛でる「貸し切り美術館」の方がコンセプトに合致しているのかもしれません。

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