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葬儀で死因を詮索され…身内の「自殺後」に取り残される遺族の苦悩

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芦名星さん(2020年1月、時事通信フォト)
芦名星さん(2020年1月、時事通信フォト)

 生命保険も扱う筆者は、自ら命を絶った契約者の遺族と接する機会も多く、故人を救えなかったことへの自責の念を遺族から聞くこともあるそうです。筆者が見た「自殺後の話」とは、どのようなものなのでしょうか。

「自殺は絶対にしてはいけない」

 女優の芦名星さんが亡くなりました。自殺ではないかとされていますが、つい先日も有名俳優が、その前にも女子プロレスラーが自宅で亡くなっているのが見つかり、著名人の自殺とみられる事態が相次いでいます。

 芦名さんは、筆者も大好きな女優さんでした。人気ドラマ「相棒」では、重要な記者役を任されていましたし、2018年公開の映画「検察側の罪人」では、反社会的組織の一員を演じ、あの美しい顔立ちに何とも不気味な雰囲気を漂わせていました。正統派から、ちょっと癖のある役までこなす名バイプレーヤーとして、今後も期待されていただけに残念です。ご冥福をお祈りいたします。

 さて、筆者は生命保険のビジネスに携わっていますが、この仕事も長くやっていると保険金を届けることが増えます。つまり、契約者が亡くなってしまうということですが、その理由が自殺であることも少なくありません。

 筆者自身、自殺による保険金を数件お届けしてきました。特に20代、30代という若さで亡くなった場合、かなりの確率で自殺であることが多いです。実際、厚生労働省の死因調査でも、20代の約50%、30代の約35%が自殺であり、どちらも死因1位です。

 日本は「自殺大国」と言われ、特に若者の自殺が多く、きっと社会的に何か理由があるのだと思いますが、筆者はその関連の専門家ではないのでここでは触れません。しかし、断固として言えるのは「自殺は絶対にしてはいけない」ということです。それは多くの「自殺後」を見た経験からの率直な感想です。

誰にも言えない苦悩

 契約者が亡くなると、ご遺族から連絡が入ります。電話に出ると、「実は○○(契約者)が亡くなりまして」と言われ、何度経験しても嫌なものですが職務上、死因をお聞きしなくてはなりません。そのようなとき、ご遺族が何か言いだしにくいような、口ごもるようなときには、大抵は自殺です。

 経験上、ピンとくるので、それ以上は深くお聞きしませんが、死亡保険金の請求書類などをお届けする際にはなぜか、ご遺族側から死因の話が出ることが多いのです。その理由は「ほかに誰にも言えない」からだと思います。

 子どもが、妻が、親が自殺したということは、誰にでも気軽に言えるような話ではありません。家によっては、家族の重大な秘密として、親族にも隠している場合もあります。そのため、故人を知っているという共通点はありながらも、保険金を届けにきただけで「もう二度と会わない保険の人」というのは、何ともやるせない気持ちを吐露する相手としては都合がよいのでしょう。

 せめて話し相手になれればと、じっと耳を傾けますが、遺族が語る内容は「なぜ、なぜ、なぜ」だけです。「なぜ、悩みを打ち明けてくれなかったのか」「なぜ、気付いてあげられなかったのか」「なぜ、自ら命を断ってしまったのか」。そこには何の正解も救いもありません。

 誤解を恐れずに言えば、自殺した人が抱えていた苦悩が形を変えて、他のご家族に乗り移ってしまったようなもので、残された人たちはやり場のない憤りを感じ、ただただ涙を流すしかないのです。それが数年、長ければ、数十年も続いていく。自殺は自分の身内をも傷つけ、その魂を長い間、閉じ込めてしまう行為なのです。

寂しいお葬式

 自殺された人の中には、お客さまとして近い人もいれば遠い人もいます。遠い人だと、葬儀が済んだ後に連絡が来ますが、近い人の場合、葬儀前に一報が入り、そのようなときには筆者も参列します。

 しかし、葬儀の場でも死因は伏せられ、交通事故や不慮の事故と告知されることが多いです。ただでさえ悲しみに打ちひしがれているのに、参列者に対して、うそをつき通さないといけないご家族の心情は察するに余りあります。

 また、自殺の場合、発見が遅れ、ご遺体の損傷が激しいと、すぐに荼毘(だび)に付してしまうこともあります。このような場合、後日、改めて葬儀を行うのですが、そこにはあるはずのご遺体がなく、骨つぼだけが置かれます。

 参列者からすれば、不思議な光景でしょう。勘のよい人は事情を察して何も言いませんが、中には興味本位で、根掘り葉掘り聞きたがる人もいて、これもまた、ご遺族を苦しめます。そのため、ほとんど人を呼ばずにごくごく限られた身内だけで葬儀を済ませてしまうことも多いようです。

 筆者の友人で、事業の行き詰まりが原因で自殺を図ったものの、奇跡的に助かった人がいます。後から話を聞くと、「本当に死ななくてよかった。バカなことをした」と後悔していましたが、「当時はあまりにも思い詰めて、死ぬことしか選択肢がなかった」と言っていました。

 やはり、真面目で、何もかも自分で抱え込んでしまうような人が多いのでしょう。「死ぬ勇気があるなら、せめて相談を」と心の底から思うのですが、それができないからこそ、追い詰められて、自らの命を断ってしまうのかもしれません。そこには、人に迷惑をかけてはいけない、弱音を吐いてはいけないという日本独自の窮屈さがあるような気がします。

 冒頭でも述べた通り、筆者はそれらの問題の専門家ではなく、何の解決策も持ちませんが、今回のようなことが起こるたび、こう思います。ほんの少しでよいから、残された人たちの顔を思い浮かべ、踏みとどまってほしいと。それが、「自殺後」を多く見た筆者の祈るような気持ちなのです。

あおばコンサルティング代表取締役/1級FP技能士・宅建士 加藤圭祐

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