どうせ読むならポイント貯めない?

「東北本線バイパス」になるはずだった? 県境を越えて走る55kmの三セク鉄道、その紆余曲折と今

8,750 YOU
  • 乗りものニュース
  • |

福島駅と槻木駅(宮城県柴田町)を結ぶ阿武隈急行は、第三セクター鉄道としては珍しい交流電化路線です。その背景には、路線が歩んできた紆余曲折があります。阿武隈急行の成り立ちと今を紹介します。

一度は計画中止も東北本線のバイパスとして再注目

 福島駅と槻木駅(宮城県柴田町)を結ぶ第三セクター鉄道「阿武隈急行」。起点も終点もJR東北本線に接続し、路線延長も東北本線の同駅間と同じ54.9km。配線上はJR線に直通可能という特徴を有する路線です。「東北本線のバイパス」ともいえるこの路線に乗ってみました。

Large figure1 gallery1福島駅に停車している阿武隈急行の列車(安藤昌季撮影)

 阿武隈急行線の始まりは、槻木~丸森間を結んでいた国鉄丸森線です。第三セクターとなった後で路線延長されて、現在の形となりました。しかし、ルートとしては極めて古い時代から考えられていたものでした。

 1885(明治18)年に、日本最初の私鉄「日本鉄道」は、現在の東北本線 大宮~宇都宮間を開通させます。その3年前の1882(明治15)年、福島~仙台間の測量に着手する際、奥州街道に沿って白石を経由する現在の東北本線ルートと、福島から阿武隈川に沿って保原、梁川、丸森、角田を経由し、槻木に至るルートが比較検討されました。

 採用されたのは東北本線ルートでしたが、後に丸森経由ルートもバイパスとして見直されることになります。東北本線は急勾配があり、上野~仙台以北の優等列車の多くは、勾配が緩い常磐線を経由していました。そのため東北本線の急勾配を抑え輸送力を増強する方策としてバイパスが必要と見なされたのです。

 こうして、1959(昭和34)年、丸森を経由する「丸森線」の事業が始まります。1960(昭和35)年には、東北本線福島~仙台間の電化工事も始まりました。

 丸森線は主要幹線に相当する高規格で建設され、1968(昭和43)年に槻木~丸森間が開通します。皮肉にも同じ年に、東北本線の全線電化と複線化が完了。電化により蒸気機関車時代よりも勾配に強くなりました。また、常磐線も前年に全線電化されました。

 丸森線は東北本線のバイパスとして計画されたことから、線路は沿線の市街地を考慮せず、駅が市街地から離れていました。そのため利用客は想定を大きく下回り、100円を稼ぐために必要な経費を表す営業係数が2404円(1971年)に達するなど、大赤字路線に。

 そして丸森線の延伸工事も、1980(昭和55)年に東北本線まであと800mの場所まで線路が達したところで中止が決まります。沿線自治体は「全線開通させれば赤字は減る」と訴えましたが国鉄は開業を拒否。その結果、福島・宮城両県は第三セクター鉄道「阿武隈急行」を設立し、丸森線の全線開業を目指すことに決めました。

阿武急に実際に乗車

 1986(昭和61)年、国鉄丸森線は阿武隈急行線に転換。当初はキハ22形気動車5両を国鉄から借り槻木~丸森間で開業しました。そして1988(昭和63)年、全線開通して交流電化も実現。新駅設置やJR東北本線への乗り入れなども奏功し、1993(平成5)年には輸送密度2351人を記録、全線開業時の1753人と比較して利用客は1.3倍に増えました。

 しかしその後、沿線人口の減少もあり、2023年には1299人まで落ち込んでいます。

 現在の阿武隈急行は、1日あたり福島~梁川間27往復、丸森~槻木間21往復と、地方の三セク路線としては高い利便性を持つといえます。2018(平成30)年度からは新型のAB900系電車も投入されています。

 現状を探るべく、実際に乗車してみました。列車は金曜の福島12時49分発・槻木行きの下り普通921Mです。

 福島駅では福島交通飯坂線とホームを共有しており、乗り換えが便利です。出発時点で列車には30人ほどの乗客がいました。卸町で2人下車し2人乗車、福島学院前で4人下車し8人乗車と動きがあります。瀬上で3人下車、向瀬上で1人下車し2人乗車、高子で2人下車、上保原で4人下車、大泉で4人下車し2人乗車、二井田で3人下車と、こまめに動きがあります。

 車窓は田園風景が続きます。駅間距離が短く、速度を上げたか思うとすぐ停車するという運転が続く印象です。

車窓からは「素晴らしい景観」

 13時19分、車両基地もある中心駅・梁川に到着しました。ほとんどの乗客が下車し、列車に乗っているのは筆者(安藤昌季:乗りものライター)を含めて3人だけ。2号車は無人となります。

 車内が空いたので、落ち着いてAB900系を眺めます。JRのE721系をベースにした電車で、車体には沿線の自然や花をテーマにしたアクセント色があしらわれています。色は編成ごとに異なり、薄藍・緑・黄・桃・橙・赤・緑の7種類があります。

 座席は、福島方が花の王国をイメージした暖色系、槻木方は杜の都仙台を表現したグリーン系です。セミクロスシートでトイレも付いています。特筆すべきは「窓が際立って綺麗なこと」です。

 13時30分、やながわ希望の森公園前に到着。ついに筆者以外の乗客はゼロとなります。富野、兜と乗客ゼロ。やがて左手に阿武隈川が見え始めます。長いトンネルを抜けると、ひらがなの「あぶくま」駅に到着し、1人乗車。乗客の少ない区間ですが、阿武隈川の景観は素晴らしく、トロッコ列車が走る観光路線のようです。乗り心地は良好でした。

 13時49分の丸森で1人が下車し、再び筆者のみに。旧国鉄区間に入ったからか、やや乗り心地が悪くなります。13時57分着の角田で7人ほど乗車。ここからは人家がかなり増えます。しかし駅間距離が長く、需要を拾い損ねている印象を受けました。

 14時11分槻木着。JRと駅施設が共用のため、列車を降りる際に精算済票が運転士から渡されます。改札内でJR東北本線にそのまま乗り換えることも可能。車両は今まで乗ってきた阿武急AB900系の“兄弟”車両であるE721系でした。

実は損している?

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?

YOUの気持ち聞かせてよ!

いいね いいね
ムカムカ ムカムカ
悲しい 悲しい
ふ〜ん ふ〜ん
NEWS一覧へ

ポイント ポイント獲得の流れ

ポイント獲得の流れ

ポイント ルール・注意事項

ポイント獲得!!