「伐らないで!」道路のど真ん中に残った“大木”たちの正体 保護のために「バイパス建設」/「伐採やむなし」も
- 乗りものニュース |

道路が大きな木を“避けて”通る線形となっているところが各地に存在。残された木にはそれぞれ由緒と歴史がありますが、時の流れとともに変化も生じています。「文化と安全」の両立を図る取り組みを紹介します。
なんで道路のど真ん中に「大木」が?
道のど真ん中に立派な木が立っている――それを避けて通るような線形を描く道路に出くわすことがあります。
「板橋の五本けやき」は、地域の人々、そして川越街道を走るドライバーのランドマークになっている(植村祐介撮影)
たいていの場合、道路を通すための工事では、地面の凸凹を均し、元からある木々は伐採されるのが一般的です。伐採されずに残った理由はなんでしょうか。その背景に共通するのは、かつての道路建設にともなう苦労や工夫が秘められていることです。
●「川越街道」の「板橋五本けやき」
東京と長野県松本市を結ぶ国道254号で、東京から埼玉県川越市に至る区間は通称「川越街道」と呼ばれ、江戸時代の中山道の脇街道「川越往還」をルーツとする、由緒正しい道路です。この川越街道を都心方面から進むと、環八通りの手前で「板橋五本けやき」と呼ばれる古木群が現れ、上下線の道路はその古木群を避けるように別れ、また合流します。
実は川越街道は、江戸時代の旧道から自動車交通に適した道路へと改良するにあたり、道路の付け替えや旧道の拡幅が各所で行われています。
五本けやきのある旧上板橋村では旧道の南に並行して道路を付け替えることになりましたが、その予定地に住居のあった当時の村長だった飯島彌十郎氏が、屋敷林(住宅を風や日差しから守るための木々)の一部のけやきを残すことを条件に土地を提供したことから、道路が「五本けやき」を迂回するように作られたのです。
この5本のけやきはその後、環境の変化などで枯死した2本が植え替えられ、現在も保全活動が続いています。
●同じ「川越街道」の並木は渋滞スポットに
その川越街道を進み、埼玉県の新座市を進むと、道路の中央に「川越街道」と彫られた大きな石碑があり、その先には上下線を隔てるようにけやき並木が続きます。さらに進み三芳町に入ると、けやき並木は松並木へと変わります。
これらは「竹間沢のけやき並木」「藤久保の松並木」と呼ばれる街路樹群です。
これらの木々は、江戸幕府を開いた徳川家康が1604(慶長9)年に「五街道の制」を定め、街道沿いには旅人を厳しい気候から守るための並木を植えるよう定めたことに由来するとされています。
川越街道の拡幅にあたり、この並木を挟むように道路が作られましたが、交通量の増大で今も渋滞が慢性化しています。さらなる拡幅が求められたことから、この区間はあらたに「富士見川越有料道路」(現 富士見川越バイパス)を並行する別の道路として整備しました。
木を守るために「通行止め」
こうした歴史ある並木を保存するため、クルマの通行を規制する例もあります。
板橋バイパスに並行する日光例幣使街道は2017年から一部車両通行止めに(画像:栃木県)
国道121号の一部区間は、徳川家康の没後、日光東照宮に朝廷からの捧げ物を奉献する勅使(日光例幣使)が通ったことから、通称「日光例幣使街道」と呼ばれています。この日光例幣使街道のうち、栃木県日光市の区間では、左右の路肩ぎりぎりまで迫った杉の巨木が道路を空高く覆い、昼でも静謐で厳粛な雰囲気を味わうことができます。
ただ近年この地区では、クルマの通行にともなう環境の変化で、杉並木の樹勢が衰えるという課題が生まれていました。
そこで日光市では“文化遺産”の保存のため、並行する国道121号「板橋バイパス」の整備により沿道地域の利用に影響の少ないと考えられる日光市明神~板橋の約1kmの区間について、2017年から「車両通行止(歩行者のみ通行可)」としました。また国道119号旧道の日光市七本桜交差点東側約400mの区間でも、同様の規制を行っています。
●様変わりした埼玉の「大ケヤキ」
ここまで見てきたように、歴史的に価値のある樹木と道路開発を両立させる試みは、日本各地で行われています。ただ樹木には寿命があることから、「そのままでの保存」が難しくなり、対策を迫られるケースもあります。
埼玉県道1号、通称「第二産業道路」のさいたま市緑区山崎では、中央分離帯に「山崎の大ケヤキ」と呼ばれる巨木が立っています。この道路が整備される以前、個人宅の表門を入ったところにあった木で、道路整備の際にもそのまま残され、堂々たる枝振りで近隣のランドマークとなっていました。
しかし近年、大枝の枯れが進み、折れて落下するおそれが出てきたことから、2020年に大規模な剪定が行われ、かつての姿からは様変わりしています。
「もう限界」で伐採 戦前からの約束の木
2023年には、東京都港区の国道1号「明治学院前」交差点西側の歩道にあった樹齢100年を超すイチョウの木が伐採されました。
伐採前の明治学院前の大イチョウ。都営バスの停留所の脇で、大きくなった幹が道路へはみ出していた(画像:明治学院大学)
この木はもともと明治学院大学構内にあったもので、旧東京市が道路を拡張するにあたり、大学から「伐採しない」との約束を取り付けて土地を無償提供してもらったという経緯がありました。
しかし近年、樹勢が衰え、港区の調査で根の部分の空洞率が70%で倒木のおそれが高くなったことで、区は大学に連絡の上、伐採を実施しました。在学生・卒業生にとっても学校のランドマークであったことから、大学側も“別れ”を広く周知しています。
※ ※ ※
このように樹木の保存と道路との関係は「文化と安全」の両立を図る試みでもあります。地域住民の理解を得るためにも、行政には十分で真摯な説明が求められますし、また地域住民もそうした行政の姿勢にしっかり向き合うことが、この課題を解決する、大きなカギになるのではないでしょうか。
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