豆単、出る単、DUO……大学受験必須の「英単語帳」、あなたはいくつ覚えてる?
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団塊ジュニア世代の面白受験エピソード
地方に住む人にとって、東京で暮らす機会を得る最良の方法は「大学受験」。それは、現在でも変わってはいないでしょう。
東京に出て自分の夢にチャレンジしたり、さまざまな文化に触れたりしたい――そんな思いを胸に、受験勉強に励んでいた人はきっと多いはずです。

とりわけ、団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)の進学がピークを迎えた1992(平成4)年前後に受験生だった人たちは、そんな思いが強いことでしょう。
なにしろまだ現在のように「大学全入時代」という言葉が存在せず、希望の大学に合格するには、必死で勉強しなくてはならないというのが当たり前だったからです。
当時の受験情報誌には、偏差値の高くない高校から有名大学に合格した体験談や、その努力をつづったような内容がよく掲載されていました。
うそかまことか、そうした体験談の中には、眠気を覚ますために手の甲を針で刺したなどの「セルフスパルタエピソード」がよくあったものです。実際やってみたものの、痛いのは当然一瞬で、結局寝てしまうのです。
英単語帳の始まりは「赤尾の豆単」から
そんな時代の受験生が必ずポケットに入れていたのが、大学受験に欠かせない英単語集です。赤いシートをずらしながら通学の電車やバスの中、ちょっとした空き時間に必死に英単語を覚えたのは、受験生の「青春の1ページ」と言えるでしょう。
英単語帳の始まりは1942(昭和17)年に旺文社(新宿区横寺町)から発売された『英語基本単語集』です。旺文社の創業者・赤尾好夫が編集したこの単語帳は、「赤尾の豆単(まめたん)」という通称で大ベストセラーとなります。

日本における英単語帳は、基本的にこのスタイルを模倣して発展したといっても過言ではありません。受験の頻出単語を厳選して収録することは、既にこの本でも行われているからです。
赤尾が『週刊朝日』1971年3月5日号で語っているところでは、もともとアメリカの教育学者であるエドワード・ソーンダイクのつくった「ソーンダイク式英単語統計表」をモデルに教科書や入試問題から、4~5年かけて頻出単語を精査したといいます。
収録単語数は3800語。旺文社は戦後、受験生向けの参考書などで発展しますが、同時に「赤尾の豆単」も改定を繰り返しつつ、ゆるがない地位を築いていきます。
受験生といえば、まずは「赤尾の豆単」を買って勉強するのが、当時の常識となっていたのです。
やがてライバル『でる単』登場
そこに大きなライバルが現れたのは1967(昭和42)年のことでした。青春出版社(新宿区若松町)から出版された『試験にでる英単語』です。

『試験にでる英単語』は、日比谷高校(千代田区永田町)で長らく教えていた森一郎が独自に集計したデータをもとに開発されたものです。
同書によれば、森は明治以降の大学や旧制高校などの入試問題を手元にそろえて、そこから頻出単語を導き出したといいます。コンピューターも使わずにやり遂げたと言いますから、もはや超人の領域でしょう。
ちなみに美人の例がイタリアの女優「ソフィア・ローレン」になっているなど、わりと古風な一面もありますが、
「夏の海辺でガール・フレンドとたわむれるのも青春のひとコマであるが、ひとり部屋に閉じこもって黙々と勉学するのもまた尊い青春の姿である」
というストイックな前書きが、むしろ受験生を奮い立たせていたような気がします。
1984年登場『英単語ターゲット1900』
『試験にでる英単語』は、地域によって「でる単」「しけ単」の愛称で普及していくわけですが、受験生が飛びついた理由は、森の長年の研究によって頻出1800単語が厳選されていたからです。
「豆単」の3800語に比べると、覚える量がはるかに厳選されています。現在でも改訂は行われているものの、収録単語の約90%は初版から変わっていないといいますから、いかに普遍的な重要語句がまとめられていたのかが、よくわかります。
「出る単」が新たな受験生のベストセラーになったことで、「豆単」は次第に人気を失っていきます。これに対して旺文社は新たな英単語帳を投入します。1984(昭和59)年に出版された『英単語ターゲット1900』です。

この本は当時まだ発展途上だったコンピューターを使って、大学入試の問題から頻出単語を導きだしていくというものでした。
品詞(名詞・形容詞・動詞などの区分け)ごとに頻出語を並べた構成は、暗記を前提としたものとなっており、まさに研ぎ澄まされた受験生用の英単語というスタイル。それがうけて学校での採用数はトップとなります。
大学受験者数がピークに達した1990年代前半は「でる単」と「ターゲット」が受験生のポケットを二分していましたが、「ターゲット」は「コンピューターを使っているから優れている」と主張する人が多かったのです。
1994年、『DUO』の登場
そんな攻防に新たな勢力が登場し21世紀に入ると状況はガラリと変わっていきます。中でもインパクトが大きかったのは、1994(平成6)年にアイシーピー(港区六本木)から出版された『DUO』です。
著者の鈴木陽一は1993年、東京コアから『WAO! 英単語集 超革命』を出していますが、それでは不十分と考え、自ら出版社を立ち上げて理想の英単語帳を出版することにしました。

この『DUO』は、発売1年で12刷・10万部を超えるヒット作となります。その後改定されて、現在は『DUO 3.0』となっており、受験生から英語の勉強をやり直している社会人まで「取りあえず買う」一冊となっています。
斬新だった「例文の中で単語を覚える」というコンセプト
『DUO』が評価されたのは、それまでの単語帳との根本的な考え方の違いです。

当初の版の収録単語数は1820語で、熟語が578語。それが475の例文にまとめられていました。『DUO』が画期的だったのは、「実用的な例文の中で単語を覚えていく」というコンセプトでした。
例文を通じて単語を記憶させるために、例文のインパクトが濃くなっているのが特徴です。とりわけ『DUO』は、「ボブ」について語りたがります。
なぜか例文中にボブという人物が頻繁に登場し、単語帳にもかかわらず「主人公に」となっているからです。しかも、ボブの運命は悲惨。
「ボブはひどく取り乱していて、現実と虚構の区別がほとんどできなかった」
「ボブが働いている間、ジェニファーは家でくだらないメロドラマに夢中になっていた」
「ボブは変装していたけれども、一目で彼だと分かった」
……このように和訳される例文が、次々と並ぶのです。例文を読むたび、ボブに感情移入してしまった人も少なくないのでは?
いまや、英単語帳も次第に過去の遺物になりつつあります。スマホ用の英単語帳アプリも増えており、いつかは完全にとって変わられるかも知れません。
書店で英単語帳を見かけたら、皆さんの「青春の1ページ」をぜひ思い出してみてください。
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