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「異例に大きな窓」の列車を世界が評価! “ぜんぶ窓”には法令の壁 どこまで大きくなるのか?

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  • 乗りものニュース
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鉄道分野の優れたデザインを表彰する唯一の国際賞「ブルネル賞」の「奨励賞」を、国内の第三セクター鉄道が初めて受賞しました。高く評価された一つが日本の鉄道車両で最大級の「大きな窓」で、着想を得たのは欧州でも、米国でもない国の看板列車でした。

「異例に大きな窓」第三セク初のブルネル賞

「鉄道界のアカデミー賞」のような位置づけで、鉄道分野の優れたデザインに贈る賞「ブルネル賞」がイギリスの首都ロンドンで2025年9月24日発表され、日本の第三セクター鉄道の列車が初めて「奨励賞」に輝きました。評価されたのは「異例に大きな窓」でした。

Large figure1 gallery14えちごトキめき鉄道の観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」の車内(画像:新潟県観光協会)

 奨励賞を受けたのは、新潟県の「えちごトキめき鉄道」が上越妙高―糸魚川間で運行する観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」ET122形1000番台です。使われている2両編成のディーゼル車両は、窓の横幅が2.3mと鉄道車両として国内最大級で、審査員はその大きな窓を「(建物の外壁をガラスで覆うデザインの)ガラスファサードにより近い」と称賛しました。

 雪月花は新潟県聖籠町にある鉄道車両メーカー、新潟トランシスで製造し、“all made in NIIGATA”(全てが新潟製)を合い言葉に開発。車内には燕三条地域の金属加工品、越後杉、滑りにくく耐水性に優れた新潟県産の瓦を床に敷くなど特産品をふんだんに採用しています。

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は関係者から「雪月花はえちごトキめき鉄道の旅客収入増加と沿線の観光振興を図るため、新潟県が製造費を全額拠出した」と聞きました。製造費は公称6億円を「実際には超えている」そうです。

 雪月花の設計デザイン統括を務めたのは、イチバンセン一級建築士事務所代表取締役の川西康之氏です。川西氏は筆者の取材に対し、開発当時の新潟県知事だった泉田裕彦氏から他国の看板列車の展望車両に「負けない車両をデザインしてほしい」とリクエストを受けたことを明らかにしました。その一つのポイントが「大きな窓」です。

 日本勢の鉄道車両で他にブルネル賞の奨励賞(JR九州の周遊観光列車「36ぷらす3」を含めた3列車の共同受賞)に輝いたJR東日本の豪華寝台列車「TRAIN SUITE四季島(トランスイート しきしま)」、JR西日本の豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレス みずかぜ)」の両列車も、それぞれ先頭車両に眺望を良くするための「大きな窓」を設けています。

「新幹線が通過してしまう」焦りが生んだ観光列車

 えちごトキめき鉄道は、北陸新幹線が長野―金沢間で延伸開業した2015年3月、JR東日本とJR西日本から切り離された並行在来線を引き継いで発足しました。

Large figure2 gallery15えちごトキめき鉄道の観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」(画像:新潟県観光協会)

 川西氏は雪月花の開発時について、北陸新幹線の速達列車「かがやき」が新潟県内の上越妙高、糸魚川両駅を通過することが判明して、「軽井沢や(長野、富山両県にまたがる山岳観光ルート)立山黒部アルペンルート、金沢などそうそうたる観光地が連なる中で新潟県には焦りがあった」と振り返ります。

 そこで、北陸新幹線で上越妙高、糸魚川のどちらかの駅で下車し、利用したいと思わせるような「他には絶対に負けない観光列車を造る」ことに奮起。利用を想定したのは、北陸新幹線のグランクラスまたはグリーン車に乗り、赤倉観光ホテル(新潟県妙高市)に宿泊するような生活にゆとりがある顧客層でした。

「ガラス張りの列車」に負けない車両を

 2両編成の新造ディーゼル車両を造ることは当初から決まっていましたが、大きなガラス張りのデザインは当時の新潟県知事の一言で決まりました。川西氏は当時のえちごトキめき鉄道社長、嶋津忠裕氏とともに新潟県庁を訪れ、泉田氏と面会した際に「『先ごろカナダでガラス張りの列車に乗りました。これに負けない車両をデザインしてほしい』と指示された」と説明しました。

 川西氏が早速ひもといたのが、カナダの国営旅客鉄道会社、VIA鉄道カナダが運行する大陸横断列車「カナディアン」の目玉となっている展望車両でした。西部バンクーバー―東部トロントを4泊5日で結ぶカナディアンは、アメリカの有力旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」の読者が選ぶ「世界の優れた鉄道旅行ランキング」で2024年に13位となった世界屈指の人気列車です。

 展望車両から眺めるカナディアンロッキーの絶景は道中の大きなヤマ場で、VIA鉄道の愛好家団体「VIAクラブ日本支部」の会員である筆者も2回乗車して感激しました。

 ところが、川西氏は「カナディアンは屋根・天井(の中央部)までガラス張りだが、日本では法令上これは不可能だった」と知って壁にぶち当たります。

 新潟トランシスの設計担当者らと検討を重ねた結果、日本の鉄道車両で最大級となる窓の横幅2.3mという「鋼体車体でガラス面を法令上および構造上、最大限に広げられる現在の形ができあがった」と教えてくれました。

世界的潮流となる? 「大きな窓」デザイン

 並行在来線を引き継いだ他の三セク鉄道と同じように、えちごトキめき鉄道は慢性的な赤字経営に陥っています。本業の損益を示す営業損益は2024年度に5億1680万円の赤字となり、新潟県と沿線3市(妙高、上越、糸魚川)からの補助金が経営を支えています。

Large figure3 gallery16JR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」(大塚圭一郎撮影)

 そんな中で、大きな窓からの眺望を堪能でき、新潟県の特産品をふんだんに使った料理を味わえる雪月花は貴重な収益源となっています。1人当たりの料金が2万9800円(2025年10―11月)に達しますが、関係者は「予約は堅調に推移している」と解説します。

 雪月花は2017年の鉄道友の会「ローレル賞」と16年の「グッドデザイン賞」を受けるなど既に高く評価されていましたが、ブルネル賞の栄冠に輝いた話題性で“ご祝儀”需要も期待できそうです。

 いずれもブルネル賞の奨励賞を受けた雪月花、トランスイート四季島、トワイライトエクスプレス瑞風に共通する「大きな窓」は、スイスの観光列車「氷河急行」といった欧州の列車にも用いられてきました。窓を大きくして車窓を楽しめるように工夫しつつ、独自性のあるデザインを追求した姿勢が欧州の賞で高く評価されました。

 日本では他に西武鉄道の特急用車両「ラビュー」001系も客室の縦1.35m、横1.58mの大型窓ガラスを売りにしています。また、小田急電鉄の幹部は2029年3月の運行開始を目指す新型ロマンスカーの設計で「観光客が走行中の景色を楽しめるように工夫する」と明らかにしました。

 そうした流れに加え、「雪月花」などのブルネル賞の受賞車両も手本となって「大きな窓」を売りにした列車が今後もお目見えしそうです。

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