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ANA機のデザイン、なぜ半世紀近く不変? 他社にはない「激長寿塗装」採用の背景とは

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  • 乗りものニュース
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ANAの機体デザインは半世紀近く同じものが採用されています。機体デザインがここまで長年変わらないというのは、世界の航空会社を見渡してもあまり例がありません。なぜ同じデザインを維持できるのでしょう。

登場は1983年

 ANA(全日空)が2027年度をめどに、スタッフの制服を一新すると発表しました。一方で2024年現在の機体カラーは、2色の青のラインが入ったデザインが特徴ですが、このデザインは1983年に登場したもので、1980年代後半に導入され、40年以上にわたりベースは変わりません。機体デザインがここまで長年変わらないというのは、世界の航空会社を見渡してもあまり例がありません。なぜここまで同じ機体デザインを維持できるのでしょう。

Large 01 ANA機(乗りものニュース編集部撮影)

 まず、理由として挙げられるのはデザインのシンプルさでしょう。

「トリトンブルー」として親しまれる濃い青と「モヒカンブルー」と呼ぶ薄い青のラインの2色が引かれ、垂直尾翼に「ANA」と描かれた、分かりやすい機体デザインです。この導入が決まった1年後に発行されたANAの30年史を見ると、「斬新なストライプ」「先鋭な切っ先は、進取の意気を象徴するかのよう」と紹介されています。

 導入の背景には、1983年6月にハイテク旅客機である「ボーイング767-200」の就航もあったようで、これにともなって先代の機体カラーから「新しいANA」へ移った象徴にもなりました。

 一方、「モヒカンルック」として親しまれる先代の機体デザインもANAのイメージ向上へ大きな役割を果たしました。この先代デザインが採用されたのは1969年5月のことでした。 

 塗装が施されたのはジェット旅客機の「ボーイング737」で、地方路線において、プロペラ機より速いジェット旅客機が新しい機体カラーで全国の空港に飛来すれば、その土地ごとに注目を集める効果が期待できます。

「モヒカンルック」の前の機体デザインは、幾分地味にも感じられる窓枠に沿って青いラインが描かれている先々代のデザインとは異なり、「モヒカン」というインパクトのある響きも相まって、見る者に強い印象を残しました。

実は「機体デザイン変えよう」案もあった?

 この「モヒカンデザイン」がどれほど印象強いものであったかを示すエピソードがあります。737就航から3年後に編まれたANAの20年史に記されたこの薄い青は、本来の名称である「セルリアンブルー」と紹介されています。しかし、ANAの公式サイトで現在用いている名称は「モヒカンブルー」です。それだけ、「モヒカンルック」の機体カラーは人々の記憶に残ったのです。

 そして現行の「トリトンブルー」になって42年。先代の「モヒカンブルー」をまとっていたのは13年間でしたが、トリトンブルーは3倍以上の年月を飛び続けています。とはいえ、機体カラーの刷新がまったく持ち上がらなかったのかといえば、そうでもないようです。

 実のところ筆者はもう15年近く前にANA関係者から、機体カラーも客室乗務員や地上スタッフの制服も合わせて変更する案があったと聞いたことがあります。

 そのANA関係者もあくまでも社内の噂レベルだったといっていましたが、案の後に米国発のリーマン・ショックにより景気が世界中で軒並み急激に後退し、費用がかかる変更はとてもできる状況ではありませんでした。それだけに、変更案があったか否かも含めて今も想像が膨らみます。

 シンプルゆえに流行に左右されず、垂直尾翼の「ANA」も大きく書かれているためすぐに会社名が分かるというのもメリットでしょう。このためか、1993年から2年間運航され、その後の各航空会社の特別塗装機の火付け役となった「マリンジャンボ」のデザインにおいても、垂直尾翼の「ANA」がかすむこともなかったと筆者は記憶しています。

 機体カラーは航空会社のイメージ刷新戦略に欠かせないだけに、トリトンブルーもいずれ変更はあるでしょう。その時がいつでどのようなデザインとなるのでしょうか。

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