中露が最も警戒する自衛艦!?「びんご」進水で注目! 非武装だけど機密の塊「音響測定艦」とは
- 乗りものニュース |
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自衛隊のなかでもあまり情報が公開されていない、秘密のベールに包まれた装備の一種といえるのが、海上自衛隊の音響測定艦でしょう。非武装ながら、じつは潜水艦やイージス艦以上に機密の塊だとか。そのスペックや任務などに迫ります。
潜水艦探知の要となる艦、4隻目が進水
2025年2月17日(月)、海上自衛隊最新鋭の音響測定艦「びんご」が進水しました。同艦は、ひびき型音響測定艦の4番艦で、艦名は瀬戸内海の中ほどに広がる「備後灘」が由来です。今後、艤装や各種試験を実施したのち、来年(2026年)3月ごろの就役を予定しています。
2025年2月17日、岡山県にある三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場で進水式を迎えた音響測定艦「びんご」(画像:海上自衛隊)。
「びんご」を含むひびき型音響測定艦は、一見して珍しい形状です。ほかの自衛艦が一般的な船の形状(単胴船型)なのに対して、ひびき型は自衛艦として唯一、「SWATH(Small Waterplane Area Twin Hull)船型」と呼ばれる双胴形状をしています。これは文字通りふたつある胴体(船体)の上に各種構造物が載った形で、船のスクリューも艦首の錨も、双方の胴体(両舷)に1基ずつあります。
この船型のメリットはふたつあります。ひとつは波浪の影響を受け難い点で、荒天時などでも揺れが少ないという特徴があります。そしてもうひとつが、単胴船型と比べて船体幅を格段に大きくでき、甲板面積を広くしやすいという点です。なぜ「びんご」は、このような船体形状なのでしょうか。
そもそも、ひびき型は「音響測定艦」という名称そのまま、「音響」を「測定」する「船」です。測定する音はおもに潜水艦のもので、これを集めてデータ化します。
水上艦であれば、喫水線から上の形である程度タイプを特定でき、艦番号や艦名などがわかれば個艦識別まで可能です。しかし潜水艦の場合は、潜航しているとその姿を捉えることはできず、その姿かたちでの個艦特定などはまず無理です。
ではどうするかというと、収集した音と、艦種や艦名が紐づけられたデータを蓄積し、これに拾った音を照らし合わせて識別する、という手段をとっています。船のスクリューは、同じタイプであっても造船所や加工機械の差によって、微妙に形状が異なります。その差が判別できれば、潜水艦であっても個艦の特定がある程度、可能です。
音響測定艦の性能と任務は軍事機密
艦艇ごとの音の違いは、人間の指紋にたとえて「音紋」と呼ばれます。音紋を収集するために、ひびき型音響測定艦は日本の周辺海域を動き回っています。
ひびき型音響測定艦の1番艦「ひびき」。来年、就役35年を迎える(画像:海上自衛隊)。
その際に、自艦のエンジン音がうるさくては任務に支障が出ます。そこで、ひびき型は主機関であるディーゼルエンジンを喫水線の上の高い場所に配置し、そのエンジンで発電機を回し、発生した電気でスクリュー直結のモーター(電動機)を動かしています。こうすることで、水中にエンジン音が響かないようにしているのです。
音紋を収集するための「武器」は、艦尾から垂らす長大な曳航ソナーです。ソナー自身の長さは約800mもあり、さらにこれを曳航するためのケーブルは最大2000m程度あるといわれています。これだけ長いのは、自艦が出す推進音の影響を最大限減らすためで、できる限り離した方が良いからです。
曳航ソナーは数百km以上の探知能力を持っているそうですが、その性能は秘密で、任務の詳細も不明と、潜水艦やイージス艦以上に厚いベールで覆われています。
また、一度出港すると任務が長期化するため、居住性に配慮されており、船体後部には物資の補給や輸送、急病人の搬送のためにヘリコプター発着用の飛行甲板が設置されています。一方で戦闘艦艇ではないため、火砲やミサイルなどは装備していません。
中露も警戒 非武装だけど侮れず
ひびき型は、海上自衛隊初の音響測定艦として2025年現在、3隻が就役しています。1番艦「ひびき」は1991(平成3)年1月、2番艦「はりま」は翌1992(平成4)年3月に海上自衛隊へと引き渡され、この2隻態勢が長らく続いていました。
真横から見た、ひびき型2番艦の「はりま」。後部の飛行甲板には、CH-47Jなどの大型ヘリも降りられる(画像:海上自衛隊)。
しかし、近年、活動の拡大および活発化が著しい周辺国海軍の状況を鑑みて、29年ぶりに3番艦が調達されることになり、2021年3月に「あき」が就役しています。
また、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す一方であることから、周辺海域の音響情報の収集体制を強化する目的でもう1隻増勢することが決定。こうして誕生したのがこのたび進水した4番艦「びんご」なのです。
ひびき型に比肩するような高性能な音響測定艦は、他国では少なく、同じような双胴船型の音響測定艦はアメリカ海軍にも5隻しかありません。しかもアメリカ海軍は太平洋と大西洋に分けて配備しており、さらに太平洋に配備されている艦は広大な太平洋だけでなく、南シナ海やインド洋までを活動エリアとしています。
海上自衛隊のひびき型は、基本的に日本の周辺海域のみが活動エリアです。逆にいうと、我が国周辺海域での運用がほとんどのなか、音響測定艦を3隻配備し、さらに1隻増やそうとしているので、アメリカと比べると運用密度はかなり高いといえるでしょう。
なお、海上自衛隊ではすでに音響測定艦3隻を4つの乗員チームで交互運用する複数クルー制を導入しており、2026年3月の「びんご」就役以降はさらに1チーム増やして、4隻を5クルーで回すことで稼働率アップを図ろうと計画しています。
どんな護衛艦や潜水艦よりも、中国やロシアが警戒しているのはひびき型だという話もあるため、4隻の音響測定艦は目立たないものの、極めて重要な自衛艦のひとつと形容できるでしょう。
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