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6歳から15歳まで1日も学校に通うことなく“毎日が夏休み”な日々を送った僕が、26歳になった今、思うこと。

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わが子が不登校になったらーー、子どもへの対応や将来について、不安を覚えない保護者はいないかもしれません。

小・中学校9年間、たったの1日も通学せず、高校からピアノを始めて “藝大”東京藝術大学に入った作曲家の内田拓海さん(26歳)。6歳のときに自ら「学校に行かない!」と宣言し、ホームスクーラーとなった内田さんが考える「自分で学ぶ力」「自分の生きる道」の新しい見つけ方&育て方とは……?

今回は著書『不登校クエスト』(飛鳥新社)より、
・はじめに 不登校でも「本当になんとかなる」
を一部抜粋してお届けします。

はじめに 不登校でも「本当になんとかなる」

はじめまして。内田拓海です。1997年生まれの26歳、職業は作曲家です。

東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業して、いまは同じ藝大の大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻に籍を置きながら創作活動——作曲を軸にコンサートの企画や運営、依頼を受けて曲を書く“委嘱作品”の発表や、美術や文学などの他分野とのコラボレーティブなアートの制作、さらには音楽講師として藝大や音大を目指す人を中心に作曲の指導も行っています。

私は“義務教育”を受けていません。

一切、全く受けずに大人になりました。

小・中学校の間、たった1日も通学せず、いわゆる不登校で9年間を過ごしました。

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内田拓海さん

不登校は、いまの日本には厳格な定義があるわけではないのですが、一般的に広く認識されているのは何かの理由があって「登校しない」「登校したくてもできない」子どもや状態のことを指します。年間30日以上の欠席が不登校かどうかの目安とされています。

不登校の子どもが増えているというニュースを目にした方もいると思いますが、この10年間、不登校の子どもの数は過去最多を更新し続けています。特に直近5年間で倍増していて、2023年に発表された文部科学省の調査によると、2022年度の不登校と認められた小・中学生は全国に29万9000人、年間30日以上欠席している“長期欠席者”全体で見ると、46万人もの子どもが学校に「行けない」あるいは「行かない」という状況です。これはクラスに1人以上という計算になります。

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※画像はイメージです

私もこのうちの1人だったわけですが、私の場合は「(学校には行ってはみたけれど)登校しなくなった」という「就学児童の不登校」ではありません。

最初から、小学校入学する前に、自分の判断で「行かない」と決めていました。

「選択的不登校」とでも言うのでしょうか、「非就学児童の不登校」でした。通うはずだった小学校には私の「学籍(その学校に通う生徒であることを示す籍)」がありません。学籍がないということは、「入学した」「通っていた」「卒業した」という記録が一切ない、ということです。

周りには不登校の子どももいましたし、長く海外で暮らしていて日本の小・中学校に通ったことがない大学の友人などはいますが、日本人の両親のもとに生まれたごく一般的な家庭なのに「小・中学校9年間丸々、一度も学校に行ったことがない」という人には私自身ほとんど出会ったことがありません。現代の日本では超レアケースの不登校なのかもしれませんが、とにかく私は、6歳から15歳まで、ただの1日も学校に通うことなく、自宅で、さながら“毎日が夏休み”な日々を送りました。

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※画像はイメージです

この本を手に取るのは、不登校の子どもたち自身というよりも、きっとその親御さんが多いのではと思います。

「子どもが不登校になってしまった……」
「なんでこうなっちゃったんだろう……」
「これから、親として何をどうしたらいいのだろう」

と悩まれている方も少なくないかもしれません。

私がこの本を通して、そうした不安や悩みを抱えている方に、まず最初に伝えたいと思っていることは、「不登校でも意外と大丈夫ですよ」ということです。

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2023年7月、藝大大学院のプログラムの一環でドイツで行われた『世界演劇祭』にて。

私は小・中学校に行っていなかったので、高校に入るまでは授業やテストは一度も受けたことがありません。また、大勢の同世代の中で揉まれるような経験もありませんでした。

ただそれでも、今こうしてフリーランスの作曲家としてたくさんの人と仕事をしていて、それなりに苦労や悩みはありつつも、普通に社会生活を営んでいます。義務教育を受けずに育ったことで、何か大きな問題に遭遇したことは一度もありません。

日本の義務教育のレールから外れてしまったどころか、一度も乗ったことがない私が言うから本当です。少なくとも、子どもが「学校に行かない」「行けない」からといって、将来を悲観したり、心配し過ぎる必要はありません。

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2019年12月、藝大作曲科2年生の冬。クリスマスコンサートを開催した時。

まずは、子どもを信じて待ってあげて欲しいのです。

この話をする時、私はいつも“ハンバーグ”を思い浮かべます。

ひき肉をパン粉や卵と一緒にしっかり捏ねて成形したら、熱いフライパンで焼いていきますが、美味しく焼くためのコツってご存じですか?

ハンバーグを焼き始めたら、やたらに動かしたり触ったりしないことなのです。ついつい気になって、ハンバーグの端を持ち上げてみたり動かしてしまうとフライパンから伝わる熱が逃げてしまいます。中まで火が通らなかったり、折角整えた形が崩れたりすることに……。

そうならないように、じっくりと火が通るまで触らないこと。触りたくなるのを、ちょっと我慢して、じっくり待っていれば、自然にちゃんと美味しく焼けますよね。

そう! 料理と子育ては同じ……というのは言い過ぎかもしれませんが、慌てずに見守ることが大事なのは一緒だと思います。

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この続きは、書籍でお楽しみください。

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※本記事は、『不登校クエスト』著:内田拓海/飛鳥新社 より抜粋・再編集して作成しました。

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