見た目そっくりでも別形式の鉄道車両 何が違うの? 西武・京急・小田急の場合
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大手私鉄の車両には、同じような形なのに違う形式を名乗っている車両があります。しかも塗装や帯色が一緒です。パッと見で判別しにくい車両の形式、どのようにして見分けたらいいのでしょうか。
鉄道事業者にはメリットがあるけれど…
大手私鉄では数多くの電車が運転されています。車両の種類が豊富なところが楽しいところですが、同じような形なのに違う形式を名乗っている車両が存在します。鉄道事業者側からすれば車体デザインの共通化により部品が共通化できるといったメリットがありますが、趣味的には塗装や帯色も一緒で判別しにくい点があります。
ここでは、関東大手私鉄の西武鉄道、京浜急行電鉄、小田急電鉄の「似ている電車」を取り上げ、車両の形式の判別方法を紹介します。
西武鉄道 新2000系と9000系
西武鉄道では新2000系電車と9000系電車が同じデザインで作られています。
西武鉄道の新2000系(左)と9000系(右)(2021年2月12日、伊藤真悟撮影)。
新2000系は1977(昭和52)年に登場した2000系の車体デザインを一新して1988(昭和63)年に登場したグループです。新2000系は新車として作られましたが、9000系では既存の車両の走行機器を流用し、車体だけ新規に製造しています。9000系が登場したのは1993(平成5)年のこと。新2000系に続いて作られたため、車体の基本デザインは新2000系のものを引き継いだのです。
新2000系と9000系の違い
新2000系と9000系は、成り立ちの違いで形式が異なっていますが、実は細かなところでも違いがあります。現在の違いで比較すると、前面では電気連結器の有無で違いを見分けることができます。
新2000系は2両編成、4両編成、6両編成、8両編成があり、他形式の車両とも含めて連結が行われるため連結器の下に電気連結器を備えています。しかし9000系は10両編成として製造したため(暫定で4両編成時代もあり)、他車との連結は想定していないため電気連結器を備えず、非常時を除いて連結を行う機会はありません。
前面では手すり部分にも違いがあります。新2000系では銀色の手すりになっているのに対し、9000系では黒色の手すりとなっています。
10両編成時代の西武鉄道9000系。車体側面の種別・行先表示器は、新2000系と異なり種別幕と行先幕が独立している(2021年1月12日、伊藤真悟撮影)。
屋根の作りにも違いがあります。新2000系では屋根を丸く仕上げていて、冷房装置が搭載されている場所だけ、「歩み板」と呼ばれる箇所があり、この部分の屋根は角張っています。一方の9000系では、歩み板が屋根の全体に設けられているので、この部分で違いを見分けることができます。
走行機器では、新2000系は制御方式に界磁チョッパ制御を採用しています。一方、9000系では抵抗制御の機器を流用して作られましたが、のちにVVVFインバータ制御方式に改めたので、走っている時の音が違います。また、車内もよく似ていますが、9000系ではドアの上に大形の車内案内表示器を備えていることが特徴です。
9000系は2021年7月現在、4両編成5本(20両)が多摩湖線で使用されています。池袋線や新宿線系統で活躍している2000系に比べると数少ない車両になっています。
京浜急行電鉄 600形・2100形・1000形(アルミ車)
京浜急行電鉄(京急)の600形電車、2100形電車、1000形電車(アルミ車)も、前面が同じデザインで造られています。
600形は1994(平成6)年に登場しましたが、600形の前面デザインが1998(平成10)年に登場した2100形に引き継がれ、さらに2002(平成14)年登場の1000形にも採用されました。
初代1000形を置き換えるために投入された京浜急行電鉄600形。以降の車両に車体デザインが承継された。写真は「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」となった606編成(2021年6月2日、柴田東吾撮影)。
1000形では、増備過程で車体をアルミ製からステンレス製とした際、簡素化を狙って前面デザインを変更しています。このため、1000形ではアルミ車体の車両だけが600形などと同じデザインになっています。
600形・2100形・1000形(アルミ車)の見分け方
この3形式では、前面に「600」「2100」「1000」とスリット状に大きく描いた数字が見えるので、簡単に見分けることができます。
側面では、600形が片側3ヶ所に扉がありますが、2100形では片側2ヶ所としてクロスシートを備えた点が大きな違いです。1000形では片側3ヶ所に扉がありますが、600形では窓の縁が黒くて丸みがある一方、1000形では縁がなく、固定窓が中心となっているので、見た目の違いで区別することができます。
600形の前面デザインを受け継いだ京浜急行電鉄2100形。前面の「2100」の数字とともに片側2扉車であることで2100形と判別できる。写真は「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」の2133編成(2021年6月1日、柴田東吾撮影)。
登場時は600形がボックス席のクロスシートを全面的に採用していたのに対して、1000形ではロングシートを中心としているという違いがありました。現在では600形もロングシートを増やしてクロスシートが少なくなり、1000形と同等の座席の配置になっています。
京浜急行電鉄1000形アルミ車。600形と同様に片側3扉車だが、側面窓は固定窓となり車体との段差が減少している(2021年6月1日、柴田東吾撮影)。
ちなみに、京急の特別塗装列車で青い塗装の「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」(京急ブルースカイトレイン)は600形と2100形に1本ずつ存在していますが、黄色い塗装の「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN(京急イエローハッピートレイン)」は1000形1本のみとなっています。
小田急電鉄 1000形と2000形
小田急電鉄では、1987(昭和62)年に登場した1000形電車と、1995(平成7)年に登場した2000形電車がよく似ています。
地下鉄千代田線直通対応車の小田急電鉄1000形は4両編成6両編成が最初に登場。のちに8両編成や改造による10両編成が登場している。前面貫通扉下の車両番号標記は青色(2021年5月31日、柴田東吾撮影)。
1000形は行先表示器が字幕式で、2000形からLED式の行先表示器を本格的に採用したので、当初は比較的簡単に見分けることができました。また、1000形では連結にそなえて電気連結器を備えていた先頭車が多く、前面の下部に付くスカートという部品に違いがあって、電気連結器のスペースとして1000形では開口部を大きくしているところが違いでした。
ところが、1000形でリニューアルが行われた際、行先表示器がLED化され、スカートも2000形に近い形とした車両が現れました。これにより、1000形と2000形の見分けが難しくなっています。
1000形と2000形の見分け方
1000形がリニューアルされた後も、前面に標記される車号が異なるので見分けることができます。数字の違いはもちろんのこと、1000形では文字の色が青いの対して、2000形では銀色の文字が使用され、文字自体も1000形よりも大きいことが違いとなっています。
乗務員室直後の側面扉以外は1600mmに拡幅した2000形は8両編成のみが製造された。前面貫通扉下の車両番号は銀色で、1000形よりも文字が大きい(2021年6月1日、柴田東吾撮影)。
側面には、登場当時からの相違点があります。1000形では、片側に4ヶ所付く扉の幅は1300mmが主流で、試験的にワイドドア車という車両が導入され、ワイドドア車では扉の幅が2000mmで登場しました。いっぽう2000形では全車両がワイドドア車で、扉の幅は1600mmを基本としています。1000形のワイドドア車ものちに開口部を1600mmに縮小していますが、ドアの大きさは登場時の寸法で残されています。扉の幅の違いにより、1000形と2000形は簡単に見分けることができるのです。
台車や走行機器にも違いがあり、走っているときの音も異なっていますが、外観から見た方が、違いが分かりやすいかもしれません。
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