定年直後に「あなたと2人きりはまっぴら」と妻から離婚届 「熟年離婚」しやすい夫婦の“6つの共通点”とは
- オトナンサー |

熟年離婚しやすい夫婦の特徴とは?(画像はイメージ)
「定年退職の直後に、妻から離婚届を突きつけられた」
ドラマの設定のようですが、現実にも起きていることです。私は夫婦仲相談所で熟年離婚の相談も受けているため、弁護士と提携して「いつ、離婚届を差し出すか」をアドバイスすることもあります。離婚届を感情的に渡すのはNGです。
相談者の中には、30年ほど前からずっと夫の定年時期を待って、少しずつ貯蓄していた人もいます。よく30年も、”離婚したい相手”と一つ屋根の下で暮らせましたねと、私の方が驚くほどです。
熟年離婚は“一部の特殊ケース”ではありません。厚生労働省の「人口動態統計(2024年)」では、離婚件数は18万5904組。そのうち同居期間20年以上の離婚は4万686組で、全体の約22%に当たります。つまり、離婚した夫婦の「およそ5組に1組」が熟年離婚です。
熟年離婚に至ってしまう夫婦にはどんな共通点があるのか、さらに、危機に気づいたときに「今からでも間に合う手当て」はあるのかについて、相談現場でよく見るパターンをお伝えします。
熟年離婚のキーワードは「定年」
熟年離婚は「定年が原因」ではなく、“積み重ねの結果”です。なぜ定年がキーワードになるかというと、夫の定年をきっかけに夫婦の距離が急に近づくからです。
・定年前、平日は仕事で自宅にいる時間が少ない。そのため、定年後にそれまで見えなかった“妻(夫)への不満”が、毎日目に入る。
・夫が家にいる時間が増え、妻の家事負担やひとり時間の減少によるイライラが増える。
・年金や老後資金、介護、子どもへの相続など、面倒なお金の話題が避けられなくなる。
つまり、定年時期は“引き金”になりやすいだけで、本当の熟年離婚の原因はその前から静かに育っていることが多いのです。
その「原因」を抱えがちな、熟年離婚しやすい夫婦の特徴として次の6つが挙げられます。
(1)「ありがとう」という感謝の気持ちを忘れている
互いにさりげない感謝の気持ちを忘れている傾向にあります。妻へのねぎらいがゼロだと、家は“職場”になります。妻は「私の人生、誰のためだったのだろう」、夫は「家にいても居場所がない」と感じるようになります。ねぎらいゼロ夫婦はお互い孤独です。感謝を伝える際は大げさな愛情表現でなくていいのです。
(2)家のことがずっと「妻の担当」になっている
料理、掃除、洗濯、衣替え、親のケア、冠婚葬祭の段取り。これを長年“妻が当たり前”で回していると、熟年期、夫が家にいるだけで妻の負担が増えます。
夫は「手伝っているつもり」、妻は「増えた分が私に乗っている」。このズレは爆発しやすいです。
(3)お金の話が「言い争い」になっている
貯金や年金、親の介護費、住まいのリフォームなど、老後はお金の話が避けられません。ここを曖昧にしたままだと、不安がたまって夫婦の信頼が削れます。
(4)会話が「用件だけ」になっている
「病院の予約した?」「ゴミ出しして」「お昼は自分でうどんでも食べて」の用件会話。これが続くと、相手の気持ちが分からなくなります。熟年離婚は「もう深い話はできない」が理由になるケースが多い印象です。
(5)けんかの後が“だんまり”で終わる
けんか後、「謝る」「仲直りする」「落としどころを作る」という行動がない夫婦は、傷が深まる一方です。若い頃は仕事や子育てに追われて、けんかのことを忘れてしまうことがあります。しかし、熟年になると流せません。「もう限界」とため息が漏れる夜が多くなります。
(6)妻に“楽しみ”ができ、夫が置いていかれる
妻が友人との交流や趣味で元気になっていくのは良いことです。けれど夫がそれを「俺を置いていくのか」「妻ばかり外出が多い」と受け取り、妻が「今さら何?」となると、関係は急に冷えます。夫も自分の楽しみを持てばいいのに、男性は人付き合い、新しい友人をつくることが苦手な傾向にあります。
事例1:退職初日に妻が言った「お疲れさま。でも、私も終わりにします」
65歳の健一さん(仮名)は無事、定年退職しました。退職祝いのごちそうが並ぶ食卓で、同い年の妻がビールを飲み干してから、「お疲れさま。でも、私も終わりにします」と言い、静かに封筒を置きました。中身は離婚届。
健一さんが驚いて「冗談だろ?」と言うと、妻は「冗談じゃない。あなたと2人きりで家にいるなんてまっぴらです」と返しました。
妻は、亡き義母の介護、親戚づきあい、家計、家事をずっと一人で担ってきました。子どもが中学、高校時代は塾代を捻出するためにパート仕事もしました。健一さんは「会社勤めで生活費、学費のために給与を入れていたから当たり前」と思っていました。
しかし、妻にとっては、“それ以上に一人で背負ってきた年月”が限界を超えていたのです。
妻が最後に言った言葉が、印象的だったそうです。
「私は、あなたの奥さんでいる前に、一人の女性なの。お手伝いさんではありません」
この夫婦の問題は長年の“ねぎらい不足”と“家庭運営の偏り”にあります。それが定年という節目に、一気に噴き出してしまったのです。
事例2:夫が家にいるのに、妻の負担が増えた「定年後クライシス」
62歳の美和さん(仮名)は、66歳の夫が退職してからドッと体調を崩しました。更年期症状が治まったばかりなのに、けだるくて疲れやすく、何だか体調が優れません。きっと夫があれやこれや追い詰めるからだと思いました。
夫は悪気なく言います。
「昼、そうめんでいいよね?」
「そうめん“でいい”って言うけど、作るの私だよね」
夫は家にいる時間が増え、細かい注文も増えました。手伝うと言うけれど、中途半端なやり方。
さらに「美和は毎日、家にいるんだから、リビングもっときれいにしろよ。グリーン買ってきてよ。飾ろうよ」と言い出しました。
美和さんは爆発します。
「私、家でイラスト描く在宅仕事しているのよ! あんただって家にいるじゃない。掃除機をかけなさいよ! 自分で盆栽でも買えばいいのよ」
このケースは、夫が“家を自分仕様にしたがる”一方で、妻側は“ただ家の仕事が増えただけ”になってしまっています。これでは、妻は「一人がラク」だと感じるのも無理はありません。
熟年離婚の危機にある夫婦が、今からできる改善のコツ
大げさなことをする必要はありません。ポイントは「小さく、具体的に」です。
(1)まずは週1回、1つのテーマについて30分だけ話す
いきなり長時間の会話をするのは難しいものです。例えば「今週しんどかったことを1つ」「来週どう改善するかを1つ」だけでOKです。
(2)家のことを“見える化”して分ける
料理や掃除、洗濯、買い物、ゴミ出し、病院予約、親戚付き合いなど、やることを紙やパソコンなどに書き出してみましょう。「手伝う」感覚ではなく「担当」を決めると、イライラが減ります。
(3)2人きりの“1週間の過ごし方”をすり合わせる
ずっと一緒にいる必要はありません。「夫の一人時間」「妻の一人時間」「夫婦で一緒にする時間」を先に決めておくと、息ができます。
(4)お金は“月1回の確認”にする
難しい投資の話ではなく、「今の貯金」「年金の見込み」「毎月の固定費」というこの3つを共有するだけでも、不安が減ります。
(5)うまく話せないなら、第三者を入れる
夫婦だけで話すとけんかになる場合、カウンセラー、自治体の相談窓口、FP(家計相談)、弁護士(初回無料)など、間に人を入れると進みます。友人はおすすめしません。専門家ではないから、感情が入ります。
「離婚するため」ではなく「冷静に話すため」に外部サポーターはどんどん頼りましょう。
一番怖いことは?
一番怖いのは「無関心」です。熟年離婚は、ある日突然起こったように見えて、実は「もう何も期待していない」という無関心が先に来ます。
ここまでヒビが入っていると、ちょっと優しくしただけでは戻りません。だからこそ、危機のサインが出たときに、少しでも手当てをしましょう。
定年は、夫婦を終わらせる合図ではなく、夫婦の暮らし方を変えるタイミングです。やり直したいなら“今”です。
「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美
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