「ついに始まるんですか」横浜の都市伝説じゃなかった“新トンネル” 「桜木東戸塚線」なぜ今動いた? 国道1号の猛烈渋滞に光
- 乗りものニュース |
横浜の住宅街を貫く新たなトンネルの建設が24年度からスタート。これによる国道1号の渋滞緩和にも期待がかかっています。長年、できると言われながら工事に至らなかった区間ですが、なぜいま事業が動いたのでしょうか。
山に阻まれた国道1号―環2にトンネル
「あそこ、ついに掘り始めるんですか」――地元の人から、そんな声も聞かれました。横浜市内で2024年度より、都市計画道路「桜木東戸塚線」の未開通部のトンネル工事が始まる見込みです。
横浜戸塚の国道1号山谷交差点。右は平戸桜木道路。左側に新トンネルが接続する(乗りものニュース編集部撮影)。
これは、横浜都心部の桜木町から、戸塚区内の国道1号までを東西に結ぶ「平戸桜木道路」の実質的な延伸です。平戸桜木道路の終点となっている国道1号「山谷」交差点に立ちはだかる山を2本のトンネルで貫き、環状2号線(環2)へつなげます。
そこから西はすでに開通済みで、JR東戸塚駅付近の深い谷を高架橋で一気にまたぎ、横浜新道の川上IC方面や、相鉄いずみ野線方面に通じています。
地元ではかねて「あそこにトンネルができる」と言われていたところだそう。しかしながら、国道1号と環2を隔てる山はかなり急峻で、心臓破りともいえる急坂も多数あるような場所です。
工事区間の延長は670mで、2本のトンネルが設けられます。幅員は24mから28mと広く、4車線が確保されます。環2側はすでに立体交差となっており、環2本線の高架橋下のT字交差点に新しい道が接続します。
「事業としては1989(平成元)年度から続いていますが、具体的な工事には至っていません。毎年、国からの補助も含め、ついた予算でこつこつと用地取得を行ってきました」(横浜市道路局)
工事に至っていなかった理由は、事業費の確保ができなかったことが大きいようです。しかし、2023年度末にトンネルの工事契約を結び、2024年度は10億円を確保。現在は設計を行っており、年度内には工事に着手するといいます。
長年、大きな動きがなかったこの区間が、なぜ今、一気に動き出すことになったのでしょうか。
きっかけをつくった「滋賀の事故」
横浜市道路局によると、「用地買収がだいぶ進んでいることと、2020(令和2年)度から国の予算で重点化されたメニューに位置付けられたことが背景にある」とのこと。
その重点化メニューとは、「未就学児が日常的に集団で移動する経路等の交通安全対策」です。2019年、滋賀の大津市で散歩中の保育園児など16人が死傷した事故をきっかけとした国の重点施策に、この桜木東戸塚線が位置付けられたのだといいます。
山谷交差点前後の国道1号は道が細く、慢性的に渋滞しています。このため、国道1号と環2を行き来するうえで住宅街が抜け道になっているとのこと。住宅街の通過交通を減らして安全を確保する狙いがあります。
国道1号の渋滞の原因は、山谷交差点の南で環2と接続する「平戸立体」交差点を右左折するクルマが多いことだそうです。このため、1号線の渋滞ポイントと環2を直結する桜木東戸塚線は、周辺の渋滞緩和につながることから、「地元の期待度もかなり高い」といいます。
桜木東戸塚線の東戸塚側。山谷からの新トンネルはこの道路に出る。JR線が通る深い谷を一気に跨ぐ(乗りものニュース編集部撮影)。
ただし、工事が進まないうちに山の上のルート上には住宅も建て込んでしまいました。このため、区分地上権を設定し、住宅の真下を通るトンネルになるといいます。
開通見込みは立っていませんが、トンネル本体の工事期間は2031(令和13)年までだそうです。他の工事もあるため、開通はそれ以降になる見込みです。
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