60年前の大型“3軸”レトロバス復活!「三菱MR430」のべ千人で奇跡の復元 加速いいぞ…!
- 乗りものニュース |

かつて旭川市内で走っていた国内初の大型3軸路線バス「三菱MR430」を、旭川電気軌道が復元、ナンバープレートをつけて公道を走行しました。約1年に及んだ復元作業は、まさに困難と奇跡の連続でした。
国内初の3軸大型バスを復元させる 旭川のバス会社の挑戦
懐かしい丸みを帯びた大型ボディに、“前2軸+後1軸”のタイヤ――そんなレトロなルックスのバスが、製造から約60年、廃車から44年の時を経て蘇りました。
北海道の旭川電気軌道が2022年10月21日、復元を進めていた「三菱MR430」を初お披露目。同時に催行された特別ツアーの参加客を乗せ、旭川市内を走行しました。約1年間かけて復元した国内初の3軸レトロバス。その復活は、まさに困難と奇跡の連続でした。
令和の時代に大復活した旭川電気軌道の三菱MR430(須田浩司撮影)。
三菱MR430は、1963(昭和38)年から1965(昭和40)年にかけて製造された路線タイプのバスです。このころは高度経済成長期で路線バスの需要も上向き。しかも大量輸送需要が著しかったことから、輸送力向上を目的に製造、販売されました。
最大の特徴は、前輪が2軸になっていること。国産の単体バスとしては初の3軸バスで、全長も11.95mと長く、オールロングシート採用で定員も110名までとることができました。一方で、全長が長いゆえに小回りが利かなかったことや、汎用面で難があったこともあって、実際に製造されたのはわずか10台前後にとどまりました。
今回復元された旭川電気軌道の三菱MR430は、当時の旭川バス(のちに旭川電気軌道に吸収合併)が導入した3台のうちの1台。1963年から1978(昭和53)年まで旭川市内の路線バスとして活躍した車両です。廃車後、鷹栖町内にある農場経営者のもとにわたりますが、2007(平成19)年に旭川市のバス愛好家が購入、さらに2011(平成23)年に別の愛好家が購入し、東川町の自動車整備工場で保管されていました。
復元のきっかけとなったのは、2021年6月に当時の所有者が旭川電気軌道に引き取りを持ちかけたことでした。当初は外観のみを復元する予定でしたが、「せっかく復元するなら走らせたい」という声が社内から上がったことから、2026年に迎える旭川電気軌道創立100周年記念事業のひとつとして復元計画が始動したのです。
車体のリベット3000本打ち直し 困難極めた復元
ところが、この復元作業は困難の連続であったといいます。関連工場に運ばれたバスは、見た目で使えそうな部品とそうでない部品を選別したのち、腐食した部品を取り外し、車軸などを調整。その後、本格的な復元作業を実施するために、すべての外板と内装を取り外して高圧洗浄機で清掃しますが、設計図がないため、腐食したフレームは実際に切断して採寸し、新しい鉄材で復元しました。
外板は、屋根と後部の一部を除いて新たに作り直しています。車体に打ち込むリベット約3000本の打ち直しも実施しました。車両部品も現在流通しているものがほとんどないため、整備工場の取引各社が試行錯誤しながら製作。規格が小さく製造されていないつり革を3Dプリンターで再現したり、取り外されていたミラーや降車ボタンなど製造できない入手困難な部品を道内各地の方から譲ってもらったりと、困難を次々に解決していきます。
一方でエンジンは、40年以上も手付かずの状況でありながらもコンディションが悪くなかったのが幸いしました。2021年12月には単体始動に成功。補修部品が入手できないため、オーバーホールは断念し、可能な限りの洗浄や調整、再塗装にとどめました。
加えて、走行の肝でありながらも入手に難儀していたパワステポンプは、道東地方にある三菱MR450の廃車体に付いていたものを特段加工することなく流用できることが判明。さらに、腐食がひどく発見が到底不可能と思われたフレーム打刻を執念で見つけ出す(打刻が確認できなければ車検が取れない)など、いくつかの奇跡がありました。
復元を記念したセレモニーが旭川電気軌道の車庫で行われた(須田浩司撮影)。
こうして困難と奇跡が重なった約1年にわたるMR430の復元作業は、2022年9月に完了。そして2022年9月27日、旭川運輸支局で無事に車検を通過し、ナンバープレート交付となったのです。
ちなみに、今回の復元作業に協力した企業は約15社、整備に携わった延べ人数は約1000人、レストアにかかった時間は約8000時間(1日8時間労働で計算)。多くの協力と、復元に携わった方々の技術、そして熱意が合わさってこそ実現したといえましょう。
乗車は貴重な機会に? 「加速いいぞ…!」
車両復元記念セレモニーと特別ツアー参加者限定の車両撮影会が開催されたのち、旭川市内を実走行する三菱MR430に乗車しました。約10分間という短い間でしたが、古き良き時代のバス車内と独特のエンジン音を楽しむことができました。
リーフサスペンションを採用していることから、乗り心地は硬めでしたが、車軸が3軸と多いからか、想像していたよりも走行時の揺れが安定していたように感じました。
驚いたのは、加速が良いこと。このバスには排気量8550ccのターボ付きエンジンを搭載していますが、現行の大型路線バスがこれよりも小さい排気量のエンジンを搭載していることを考えると、この60年間の日本のバス車両の歴史というものを再認識した次第です。
リアビューも美しい三菱MR430(須田浩司撮影)。
乗車する機会は限られる?MR430の今後の予定は?
奇跡の復活を遂げた旭川電気軌道の3軸レトロバス「三菱MR430」ですが、万が一故障が発生した場合に補修部品の調達が困難で過度の走行ができないことから、路線定期運行および一般貸切運行は行われません。このため、実際に乗車できる機会は、催行が計画されている特別バスツアーなど、多くても年数回に限られそうです。
現在、三菱MR430は共栄バスセンターに隣接するバリアフリー研修施設に格納しており、見学可能エリアから窓越しに見ることができます。復元作業の際に取り外した外板やMR430のパネル写真が展示されており、旭川電気軌道の社員研修などで使用するほか、イベント時に一般公開することも検討しているそうです。
なお、三菱MR430の復元にあたっては、観光庁の事業「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業 交通連携型」を活用。今後は地域活性化や旭川PRのツールとしての活躍も期待されます。
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