「早く抜けてくれ…“海の首都高”」やっと潜って“主戦場”へ 「潜水艦」の魚雷発射訓練に同乗 操舵手は20歳だった
- 乗りものニュース |

緊張を強いられる「海の首都高」
横須賀や呉の基地にある「軍港クルーズ」では様々な艦艇が見られますが、その中でも潜水艦はひときわ異彩を放ちます。真っ黒なセイルが水上に浮かび、艦名も標識もありません。艦尾の舵が十字型かX型かくらいしか違いも分かりません。乗組員ですら自分の乗艦を間違えることもあるとかないとか。
横須賀基地に係留された潜水艦。外見から艦を識別することは難しい。艦尾の舵が十字型かX型くらいしか見分けられない(市ヶ谷記者クラブ代表撮影)
今回はそうりゅう型12番艦「とうりゅう」への乗艦を許可されました。
最初に気が付いたのが、水上艦は出港時にラッパを吹奏しますが潜水艦はやらないことです。「水上艦は示威、潜水艦は隠密を旨とするという文化的違いではないか」と、ある乗組員は言っていました。潜水艦は謎の多い乗り物です。「沈黙の○○」という作品があるように、潜水艦のキーワードは「沈黙」「隠密」です。
離岸は蓄電池駆動で静かです。もっともこれは、隠密というよりはディーゼル機関の排気口が水面ギリギリにあるため、埠頭や甲板作業の支障になる排ガスを出さないようにする処置です。ディーゼル機関が始動すると艦内に音と振動が伝わってきて、出航作業が終了したことが分かります。
「とうりゅう」は訓練海域に向かいますが、その前に緊張を強いられるのが、東京湾の浦賀水道です。大小様々な船舶が過密に行き交う「海の首都高」で、水上速力が遅い潜水艦は、高速船に追い越されたり、小さなプレジャーボートが興味を持って寄って来たりで気が抜けません。
航海保安でどんな悪天候でも吹きさらしの艦橋に艦長が立ち、見張り台や左右の潜舵上でも見張り員が全周に注意を払います。自動船舶識別装置(AIS)も搭載していますが、通常は使用しません。相手船から「見えていないかもしれない」という危険予知が必要で、隠密を旨とする潜水艦もここでは目立ちたい衝動に駆られます。
訓練海域に入ると潜航します。エンジン音が止まって注水ブロー音が響きます。艦内が静かになって傾き、潜望鏡深度から全没すると、波による艦の揺れが収まります。
潜水艦は水上航行時には波の影響で揺れやすく、荒天時には船酔いすることもあるそうで、「早く潜航しろ」と思うとか。横須賀基地は比較的早く外海に出て潜航できますが、呉基地は瀬戸内海を抜ける水上航行の時間が長くツライと漏らす乗組員もいました。
いよいよ模擬魚雷発射訓練
潜水艦といえば潜望鏡です。指令所にある上下する長い筒状の貫通式が一般的でしたが、デジタルカメラで撮影する非貫通式も実用化されており「とうりゅう」は両方を備えます。
潜望鏡深度では哨戒長が常に360度回転しながら監視し、レーダー、ソナー員と連携して周囲状況を確認します。潜望鏡にはスピーカーがあってレーダーの反応を音で聴くこともでき、潜望鏡で見ているものとレーダーに映っているものを一致させる工夫がされています。
この日は深度50mで速度10ノット(約18.5km/h)を経験しましたが、水中を航行しているという感覚は全くありません。潜望鏡も使えない全没になると外の状況を知るのは音のみとなり、指令所ではソナーの反応を示すモニターに集中します。
潜水艦は飛行機と同じように3次元に動ける乗り物です。しかし操舵手席では飛行機と違って外の様子を見ることはできません。ただ艦長や哨戒長の指示通りに操縦することが求められます。
この日操舵スティックを握ったのは、若手20歳の三曹でした。艦長や副長、哨戒長にはおおよその定位置はありますが席はなく、指令所の全員を見渡せる位置に立って指揮します。哨戒長が命令を出し、艦長が承認するというスタイルです。市販の簡易な折りたたみ椅子が正規の「ぎ装品」として片隅に置かれていたのが印象的でした。
いよいよ模擬魚雷発射訓練です。魚雷は発射管には装填せず、管内に注水し空気圧のみ模擬発射する「水打ち」といわれます。
魚雷の威力や精度は向上していますが、発射を決めるのは人間です。水中からでは情報を得る手段が限られているため、潜望鏡、ソナー、レーダーを駆使して目標を正確に識別し、決断することが求められます。魚雷を命中させることよりもまず、発射までの手順を確実に素早くできるように訓練します。
しかし潜水艦の本当の武器は、魚雷ではなく、海中に存在を隠せるということです。
潜水艦の出航は探知できますが、いったん潜航すると所在が分からなくなります。それが1週間連続すれば「存在可能性圏」が北はロシアのカムチャツカ、南はフィリピンまで広がります。
この広大な海域のどこかに日本の潜水艦が1隻はいるという可能性を示すことが、抑止力になります。潜水艦が日本の戦略的アセットといわれる所以です。しかし潜水艦を運用しているのは日本だけではありません。「沈黙の存在感」は潜水艦の武器。知られざる海中は最前線でもあります。
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