元歌舞伎町No.1ホスト直伝 婚活パーティーで「とりあえずLINE教えて」が絶対NGなワケ
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パーティーもアプリもあるのに、なぜ「出会いがない」のか
婚活パーティー、マッチングアプリ、会員制交流サイト(SNS)、趣味コン、相席居酒屋、などなど。平成終盤から令和にかけての現代日本において、恋人探しを目的とした「出会いの場」はどんどん多様に、多彩になっています。
それにもかかわらず、20歳以上の社会人が抱えるプライベートの悩み第1位は「出会いがない」。イベントサイトの運営を手がけるリンクバル(中央区入船)が2019年3月に実施したアンケート調査では、独身男女約1000人のうち実に61%が「異性との出会いがない」と回答しました。
出会いを求めて行動を起こしている人は、そのうち63%。具体的には婚活パーティーやアプリを利用しているとの回答でしたが、近年の「恋人のいない未婚男女」の割合は高止まりしたままです。
出会いの場が増え続ける一方で、出会えない男女が減らないのはなぜなのか。足りないものは何なのか。
果ては、出会い・恋愛・結婚をサポートする「恋愛カウンセラー資格」なるものまで誕生したと知り、「プロ」のアドバイスを仰いでみようと資格講習を見学しに行くことにしました。
「恋愛」は教わる機会がない、だから分からない
主催する日本恋愛結婚コンサルテーション協会(渋谷区代々木)は、2019年設立のまだ若い一般社団法人。代表理事の安彦大地(あびこ だいち)さんは、大学在学中に歌舞伎町のホストクラブでナンバーワンに輝いた実績があるとのことです。
「恋愛・結婚したい人が、できる時代に」を理念に、義務教育で教わらない「恋愛」にこそ学ぶ機会が必要だ、と、恋愛カウンセラーや恋愛サポーター、恋愛アドバイザーといった資格制度を設けて「担い手」の育成に取り組んでいます。資格を活用した若い世代のビジネス参入の支援も、制度創設の狙いのひとつといいます。
東京にも雪がちらついた2020年3月14日(土)夜、会場となった一室には20~30代の男女3人が集まりました。4時間に及ぶ講習と試験のスタートです。
恋愛や結婚に関するサポートをビジネスにしようと考える人向けの資格講習ではありますが、そこには恋活・婚活に悩める現代人への示唆(しさ)に富んだ助言もありました。
例えば……。
1.「『仕事が忙しい』は完全なる言い訳」説
講習の前半を担当した同協会理事の奥正太郎(おく しょうたろう)さんによれば、現在マッチングアプリの数は百数十種類に上り、登録者数は優に1000万人を超えているのだとか。
もちろん、なかにはサクラや不埒(ふらち)な既婚者のアカウントも含まれているでしょう。しかし、これだけ出会いを求める人がいる現状を可視化したことは、この手のアプリの功績と言えるでしょう。
この登録者数が表すものは、生涯未婚率の上昇などと併せて語られる「若者の恋愛・結婚離れ」や「恋愛・結婚したがらない現代日本人」という言説が必ずしも正しくなく、パートナーを欲する潜在ニーズはとても高いという事実。
そして、「出会いがない」と嘆く人がその理由として挙げがちなのが「仕事が忙しい」です。
「でも、本当にそうなのでしょうか」と奥さんは疑問を呈します。例えば一般的な会社員よりはるかに多忙であろう芸能人は、良いも悪いも含めてしょっちゅう色恋沙汰(ざた)を起こしては話題を振りまいています。
仕事とプライベートは、まったく別物。「恋愛・婚活を始めるために、いったん、ありとあらゆる言い訳をやめて全て『自分のせい』と捉え直してみましょう。タイミングが合わなかった、パーティー主催者の段取りが悪かった、合コンのメンツが悪かった……そう考えていては、いつまでも前進は期待できません」(奥さん)
2.「婚活の場で趣味の話は避けるべし」説
出会いの場は現在、前述のように、パーティーからアプリまでさまざまに多様化しています。そこで、自分自身の性格や得意不得意に合わせて舞台を選ばないと、うまく行くものもうまく行きません。
例えば、100~200人が集まるという超大規模な婚活パーティーはどうでしょうか。人見知り&引っ込み思案の記者は、想像しただけで縮み上がってしまいます。誰かと会話をするどころか立食のメニューにさえたどり着けず、「払った会費が無駄になった」と腹を立てて帰途に就くことになりそうです。
男女とも少人数、一対一で会話ができる着席タイプの婚活パーティーなら、話の輪に入れずにひとりぼっち……ということは避けられそうなので、内気な人にはこちらの方がおススメかもしれません。
ただし、人数枠が限られているため、参加希望者が集まらず直前になって開催中止になったり、イメージする相手と出会える可能性は低かったりと、やはり一長一短はあるようです。
では、実際に相手と話をするとき、どんな話題を持ち出すのがよいのでしょう。
奥さんいわく、鉄板なのは「仕事の話」そして「これまでの恋愛の話」。
仕事は、多くの人が日々かなりの時間を割いて当たっているため、話が尽きにくいというのが理由のひとつ。それから職場の所在地や休みの日(週末か平日か)といった周辺情報を聞き出しやすいので、デートの約束を調整しやすいのだとか。
そしてさらには、その人の価値観、大切にしていることが行間からにじみ出るからだそう。これは「これまでの恋愛の話」についても言えることです。
一方で、なかなか話題が広がりにくいのが、実は「趣味の話」。運よく共通の趣味を持っていなければ、「趣味は、ちょっと古いですけど、メタルギアソリッドです!」「そうなんですね!」で、会話が終わってしまうからだといいます。
同じような理由で、流行中の趣味コンも「真剣な婚活には、実は向かない」というのが奥さんの説。
水族館好きが集まる水族館コン、猫好きが集まる猫カフェコン、ボルダリング好きが集まるボルダリングコン……。いずれも、目の前の魚や猫、岩に没頭し過ぎれば、出会いにつなげるトークがおろそかになってしまう恐れがあるからだそうです。
3.「『取りあえずLINEを』は最悪フレーズ」説
さて、気になる相手を見つけて「また会いたい」「もっと話をしてみたい」と思ったとき、あなたはどんなふうに声を掛けますか。
「取りあえずLINE教えて?」という人もいるかもしれませんが、奥さんいわく、これは「最悪の言い回し。絶対言ってはいけない」フレーズだそう。
「もっと素直に、誠実に『あなたともっと仲良くなりたいと思っています。連絡先を教えてください』と言うべきところ、『取りあえず』なんて軽い言葉を使ってしまう人がとても多いのです。誰しも、どこかひねくれてしまっているような現代社会ですから、素直というだけでほかの人と差別化できるチャンスなのに、もったいないです。連絡先を聞くときはとにかく、素直な言葉で、これが鉄則です」(奥さん)
なるほど。これは現代人の一側面を言い当てているような気がします。それにしてもなぜ現代人は、誰しもひねくれてしまっているのでしょう。
「皆、傷つきたくないという思いがあるのでしょう。軽いノリで聞けば、相手に断られても自分自身に言い訳ができる。相手に対しても自分に対しても、逃げ道を用意しているというのか、自分の素をさらけ出すのが恥ずかしいという気持ちがあるのかと思います」(同)
「特に男性は、女性の社会進出が進んで収入も立場もどんどん同等になっていく今、『自分は相手と釣り合うのか』という不安や自信の無さを常に抱えている人が多いです。でも、そういう軽いノリの接し方は相手に良い印象を与えませんし、結果として出会いの機会を遠ざけてしまっているんですよね」(同)
素直になるのは難しいけど、逆に素直にさえなれたら、それだけで今日では代えがたき「美徳」たりうる最強カード。明日から、いえ今日から素直でいる心がけを始めてみたいものです。
出会いの場……「量」は増えた、「質」はどうだ
講習の後半は、同協会代表の安彦さんが「恋愛・結婚」にまつわる総論を講演しました。
いわく「出会いの場はとにかく多様化したのに、出会えないという人は減りません。出会いの『量』が増えても『質』が追い付いていないからです」。
そう、そうなんだよなあーー。
やみくもに出会いを求めて数を打ったとしてもかすりもせず、それなのに、「これだけ出会いのある現代日本で出会えないなら、そりゃあ本人の資質の問題だろう」と言われているような、物悲しさばかりが体のなかに沈殿していくあの感じ。ますます婚活戦線から離脱する人が増える一方のような悪循環を感じます。
その「質」を上げるために、要は迷える恋活者・婚活者を導くために活動するのが、同協会が資格発行する恋愛カウンセラー、サポーター、アドバイザーだそう。それぞれの資格には、当然ですが受講料が発生します。ちなみにこの日開かれた「恋愛サポーター」資格講習は4時間の内容で3万円でした。
資格取得を目指すかどうかは割と個人の決断によりますが、恋活・婚活するにあたって、またそれ以外の場面でも自分自身の「内面の棚卸し」をする機会は随時設けるに越したことはなさそうです。
「私はもう、ひとりで生きていく。この先もずっと」
「頑張っても、駄目なものは駄目なんだもん」
そんな言葉、日ごろ発していませんか。それは果たして心の底からのホンネなのか。
来るべき新しい春、2020年度、キーワードのひとつに「素直になる」を加えてみるのもいいかもしれません。記者自身の自戒を込めて。
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