「船に乗らない“船乗り”」現実に!? 見た目キャンピングカーな“ハイテク拠点”公開 “船の仕事”はこう変わる
- 乗りものニュース |

日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環で、ある“車両”がお披露目されました。一見するとキャンピングカーのような牽引型の車両ですが、実は「走る操舵室」といえるもの。船業界の未来像がここにありました。
船の未来が詰まった「キャンピングカー」?
日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環で、2025年2月5日、ある“車両”が報道関係者らに公開されました。トヨタのSUV「FJクルーザー」に銀色のトレーラーを牽引しているもので、見た目はキャンピングカーやキッチンカーのようでもあります。
トヨタFJクルーザーに牽引されているのが「移動型の陸上支援センター」(深水千翔撮影)。
これは、陸上から無人運航の船舶を遠隔で監視する設備として、日本無線(JRC)が開発を進めている、「移動型の陸上支援センター」です。
日本財団の海野光行常務理事は「(無人運航船は)技術的にはある程度、出来ていると考えている。あとは社会実装に向けたルール化。今回の実証実験を通じて集めたデータを、政府の方で法改正などの基準作りに生かしてほしい」と話していました。
「MEGURI2040」では無人運航船の社会実装を目指して、国際両備フェリーの「おりんぴあどりーむせと」(942総トン)、井本商運のコンテナ船「みかげ」(749総トン)、川崎近海汽船のRORO船「第二ほくれん丸」(1万1413総トン)、そして旭洋造船で建造が行われている新造コンテナ船の4隻で実証実験を行います。
これら4隻の船の状態を陸上からモニタリングし、必要に応じて支援を行うのが「陸上支援センター」で、2024年7月に古野電気の本社(兵庫県西宮市)に“常設型”の施設が設けられています。
これに加えて災害時に拠点が被災した場合など、緊急時に継続して無人運航船を支援できる施設が必要であることから、今回の“移動型”陸上支援センターが開発されました。
やっぱりキャンピングカー改造!
日本無線が開発した移動型の陸上支援センターは、カーゴトレーラー型のキャンピングカーを改造し、どこからでも船を監視・支援できる環境が構築されています。電源は災害時を想定し電気自動車(EV)からも給電できるようになっています。
「災害時に陸上のインフラが途絶えた場合、船に助けてもらう状況が生まれる。そうした中でこの陸上支援センターが安全な場所に移動することで、船をオペレーションすることができる」と日本無線執行役員の井上眞太郎マリンシステム事業部長は説明します。
「社会普及を目指したミニマムな設備というのがポイントだ。船を管理される方々が導入しやすいシステムとなっている。クルマに搭載してもオフィスに設置しても、構成する機器が少ない方が場所的にもコスト的にもメリットが出てくる」(井上部長)
中身はかなり未来的!?
カーゴトレーラーには米スペースXの衛星通信網「スターリンク」のアンテナと LTEのモデムを搭載し、船上の無人運航システムや陸上のクラウドシステムと通信を行います。基本的にはスターリンク回線を使用するものの、衛星のブロッキングや悪天候などで通信が途切れた場合にはLTE回線に切り替えられるようになっています。
移動型の陸上支援センター内部(深水千翔撮影)。
トレーラー内部は、「新たな発見や体験を通じて、子供たちに夢や希望を感じてもらえる秘密基地のような場所」をテーマに、未来的なデザインと機能性を兼ね備えた宇宙船のような内装となっています。
前方には3面の大型スクリーンを設置し、無人運航船の遠隔監視に必要な情報を選択して表示することが可能です。例えば、無人運航船の位置情報や船内に搭載されている自律航行システムの健全性、エンジンや発電機の稼働情報など、常に把握しておきたい情報を表示。スクリーンに表示する情報は画面を切り替えることで、フレキシブルに変更できます。
各座席の操作テーブルはチェアの乗降時に邪魔にならないよう電動可動式とし、操作テーブルを出し入れする際に効果音を再生することで、宇宙船のイメージをより一層引き立てるようにしました。
開発リーダーの佐藤茉莉課長は「コンテンツの視認性確保は重要な課題の1つ。着座位置からのスクリーンの見え方に配慮し、座席とスクリーン角度の調整や、前席と後席でチェアの座面高を変えるなどの工夫を施した」と話します。
座席の後方にはパソコンなどの機材を収納するラックを設置。サーバーをクラウド化することで、必要最低限の機器でシステムを構築し、スペースの効率を高めつつ、物理的な障害や故障に対しても強い構成となっています。
前席には航海士が座り、各船が安全に航行できているかを遠隔で監視します。ディスプレイには実証航海で使用する4隻の無人運航船の状況が同時に表示され、船上の装置に何らかの異常が発生し、自律運航システムの健全性が低下した際には船名がハイライトされ、すぐに詳細を確認できます。航海士は必要に応じて船上にいる船長ら乗組員とコミュニケーションを行い、航海計画の変更などの支援を行います。
「操作性に関しては実証航海に向けて今後も改善していく予定だが、航海士の業務フローを考慮して操作が複雑にならないよう、画面構成やデザインなどを工夫している」(佐藤課長)
無人運航は「将来の目標」 その前に実現することとは?
ダッシュボード画面では、船上の航海計器で計測された位置や速力といったセンサー情報、発生中のアラート情報などを個船ごとに確認できます。周辺海域の気象情報や航行警報、海難事故情報といった安全に関わる情報を確認しながら、航海計画を作成し、無人運航船に送ることも可能です。さらに収集した、データを使って他船との衝突危険領域や海域の交通密度などを分析するコンテンツも提供しています。
EVからの給電で陸上支援センターを稼働させることもできる(深水千翔撮影)。
後席には機関長が着座。動力源である推進力と電力の概要を一目で確認することができるよう陸上版の機関監視盤を通して、各船の機関システムの遠隔監視を行います。
ディスプレイ上にはエンジン回転数やプロペラの翼角といった船のスピードを保つために重要な情報を表示。さらに燃料油、潤滑油、冷却清水など各供給システムの健全性と稼働状況を確認できます。燃料は赤、冷却清水は青という風に船の機関室にある実際の配管ラインの色と合わせて、状況を即座に把握しやすくしました。
佐藤課長は「将来的には無人運航を目標にしているが、まずは船上にいる機関士に対して、必要に応じて遠隔で支援を行うことで、機関士1人体制でエンジンの機能を維持することを目指している」と話します。
各社まとめて面倒見る?
この移動型と常設型の陸上支援センターは情報を共有しているため、一方の拠点で何らかの問題が発生した場合は、もう一方の拠点が引き継ぎます。これにより連続した遠隔支援が可能となり、運航の信頼性と安全性を確保しました。
井上部長は「事業化に当たってはソフトウェアベースで作っており、機能を切り出して順次リリースしていきたい。ルール化の部分が大きな課題になるので、航行の支援ができるソフトウェアの提供から始め、顧客のニーズを汲みながら最適なものにアップグレードしていく形を取っていく」と意気込みます。
海野常務理事は将来像について「陸上支援センターは船舶運航を担う船社か船主が導入するのではないかと思っている」と述べた上で「それを踏まえると各社1つずつ持つというのが普通考えられるが、内航海運は中小企業が多く、こうした設備を持つのは困難。運用モデルとしては地域で取りまとめて1つの陸上支援センターを作り、船舶を運航するという形が生まれるのではないか」と話していました。
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