「定時退社」「昇進パス」は心の叫び!? 職場で増えつつある「静かな退職」の“正体”
- オトナンサー |

現在、多くの職場で「静かな退職(Quiet Quitting)」と呼ばれる現象が広がりつつあります。静かな退職とは、従業員が形式的に会社に在籍しているものの、その「心のエンジン」がすでに切れた状態のことを指します。これは単なる怠慢ではなく、現代社会の根深いゆがみを映し出しています。
成熟社会におけるビジネス上の課題解決を専門とするロードフロンティア代表、並木将央さんは、この現象を「会社に対する仮面夫婦のようなもの」と表現。彼らの内面はすでに会社の成長に対する興味から「離脱」しており、その背景には、多くの人が抱える「実存的虚無感」があると指摘します。この記事では、静かな退職の原因や対策について、並木さんが提唱する学問を基に解説します。
社会構造のゆがみが「心の病」を生む
並木さんは、先述の実存的虚無感が生まれる構造を、「自分-家族-会社-地域-国家」という5つの層からなる社会モデルで説明します。
かつて、この5層はバランスよく機能し、個人は会社だけに依存することなく、多様な場所で自分の存在意義を見いだしていたといいます。しかし、現代社会ではその均衡が崩壊しています。家族や地域の機能が弱体化し、国家への帰属意識も希薄化する中、個人の存在意義は「会社(仕事)」という単一の層に極端に集中してしまったということです。
その結果、人々は仕事や役割の中に自分のすべてを委ねるようになります。しかし、仕事に過度に依存した状態は非常に脆弱(ぜいじゃく)です。ある日突然、「こんなに頑張って、何のために働いているのだろう?」という問いに直面したとき、その土台が崩れ、深い虚無感に襲われてしまうのです。
並木さんは、「静かな退職」とは、単なる個人のモチベーションの問題ではなく、個人の内なるSOSが、社会構造のゆがみとして職場に噴出した結果だと警鐘を鳴らします。
「右肩上がりの正解」が消滅した代償
この虚無感を深めているもう一つの要因が、戦後日本を支えてきた「右肩上がりの経済成長モデル」の崩壊だということです。
「いい学校、いい会社、安定した定年」という旧来の“正解ルート”は、価値観が多様化し、終身雇用制度も崩れた成熟社会では通用しなくなりました。「幸せの定義」が人それぞれへと変化したにもかかわらず、多くの企業や個人自身がこの構造転換に十分に対応できていないといいます。
そのため、多くの人が古い成功モデルを追い続け、「社会の提示する答え」と「自分の実感」との間に大きなギャップを感じて苦しんでいます。
さらに、AIの進化により知的労働の内容が激変する中、「従来のやり方で頑張る理由」が見えづらくなり、「決められたことに縛られてきた人」が、その縛りから解放された途端に「何をやっていいか分からない」という「迷子」の状態に陥っています。
この「頑張る理由の喪失」と「自己存在の土台の脆弱化」こそが、社会全体が個人の「存在の土台」を深くケアしてこなかった代償であり、「静かな退職」という形で職場に現れていると並木さんは主張します。
課題解決の鍵は「活学」が促す自己理解と問いを持つ力
では、この状況を打開するために、企業や個人は何をすべきでしょうか。並木さんは、その出発点は「社員一人一人が『自分が何者か』を根本から理解すること」だと断言します。
並木さんは、自分を車に例え、「多くの人は自分の“車の構造”を知らないまま、『与えられた道を走れ』と言われている」と指摘します。性能を知らなければ故障し、行き先を知らなければ迷子になります。
ここで、並木さんが提唱する「活学」という学問が、現代の羅針盤となります。活学とは、一言で言えば「実存的虚無感の消し方が分かる学問」だということです。
活学が扱うのは、「なぜ人は働くのか」「自分はどう生きたいのか」「幸せとは何か」といった、極めて本質的で実存的な問いであり、この学問には明確な「答え」は書かれていません。読者が自ら問いと向き合い、自分なりの答えを見つけるための「考え方」が提示されています。
AIにより知識へのアクセスが容易になった今、「知っていること」の価値は相対的に下がり、「それをどう意味づけるか」「自分はどう生かすか」という「問いを持つ力」が最も求められる時代へとシフトしました。AIには「意味づけ」や「価値判断」ができないからです。
だからこそ、自己理解を深め、自分の価値観を言語化し、それを社会や組織の中でどう位置付けるかという、人間の本質的な役割が活学の核心となります。
活学と成熟社会経営の融合が、組織の未来を創る
並木さんは、企業が抱える多くの人的課題は、活学を経営に取り入れることで根本解決に向かうと確信しています。
スキル研修や制度改革といった“外部からのアプローチ”だけでは限界があります。真に重要なのは、社員一人一人が「自分は何者か」を理解し、その上で自律的に行動できるかどうかです。
並木さんは「『成熟社会経営と活学の融合』こそが、今後の組織のしなやかな競争力の源泉になる」と主張します。
企業の成長は、社員一人一人の「生きる力」の総和に他なりません。だからこそ、社員が“自分という車”の構造を理解し、その車にとって最適な道を走れるよう支援することが、企業として最も重要な役割となるのです。
その出発点は、「自分はなぜ働くのか?」「どんな人生を望むのか?」という「問い」です。この問いと向き合うことなくして、活気ある組織も持続可能なキャリアも築くことはできません。
並木さんが「活学」を通じて私たちに伝える究極のメッセージは、変革の起点は常に「自分自身の内なる問い」に他ならないという揺るぎない真実です。
真に“生きる”人生とは、自らの存在に確固たる意味を与え、他者や社会との対話の中で、独自の価値を創造していく自立した営みです。誰かに与えられるのを待つのではなく、自らの手で掘り起こし、育んでいくものです。
激しく変化する成熟社会において、自分軸でしなやかに生きることを選ぶなら、「活学」は、ビジネスの未来そのものを考えるための「最重要テーマ」となるはずです。
オトナンサー編集部
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