「水素」で注目!? 実は一筋縄ではない 「旅客機の燃料」の奥深い歴史とは
- 乗りものニュース |

「水素で飛ぶ旅客機」の話が席捲する昨今の航空業界ですが、現代の旅客機に搭載される燃料に至るまでは、古今東西いろいろな燃料が使われてきた歴史があります。その背景にあるのは、エンジンの発展でした。
「水素」で飛ばすまでの課題はどこなのか
ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスが「ZEROe」というプロジェクトを立ち上げました。これは、水素を燃料とするターボファン・エンジンやターボプロップ・エンジンを開発し、旅客機に搭載するというものです。
歴史を振り返ると、実は航空機に水素を使って飛ばしていたことがありました。たとえば20世紀前半、当時唯一の大西洋横断性能を持つ旅客機として脚光を浴びた、ドイツの飛行船「ヒンデンブルク号」は、水素を浮力として採用していたのです。
エアバスの工場から出てくるANAのA380型機(2020年1月、恵 知仁撮影)。
ところが1937(昭和12)年、アメリカのレイクハースト海軍飛行場(ニュージャージー州)に着陸しようとした瞬間、爆発炎上。火災の原因は明らかになっていないものの、水素を使った飛行船は当時の技術では危険とされる潮流もあり、下火となりました。
技術の革新には、いつでも大きな課題が付きまといます。水素を燃料とするガスタービン・エンジンは、その安全性はもちろん、燃料タンクが巨大になってしまうことの懸念もあるでしょう。環境にやさしい水素エンジンの開発は急務ではあるものの、実現にはまだまだ課題がありそうです。
ところで、現在の旅客機のエンジンの燃料は、どのようなものが使われているのでしょうか。実は現代の旅客機は、高圧空気の中で燃焼できる物質であれば、多くの燃料に対応できるものが多いのです。
エンジンの発展に見る燃料の歴史
旅客機を含めた「航空機」のエンジンは、現在、自動車のエンジンと同じようにピストンを動かすことでプロペラを廻し、空気を押す力で推進力を得る「レシプロ系エンジン」、そして現代の旅客機で主流となっている、圧縮機で圧力を高めた空気のなかに、燃料を噴射して燃焼を連続して起こし、その排気をタービンの回転力として再利用し圧縮機を回転させる「ガスタービン・エンジン」に大別されます。
レシプロ系エンジンは、自動車と同じく化石燃料であるガソリン系のものを、ガスタービン・エンジンは灯油系のジェット燃料を使用するのが主流です。先述の「燃焼できる物質であれば……」というのは、後者の場合に当てはまります。
「ライト・フライヤー」の初飛行(画像:アメリカ議会図書館)。
航空機に搭載するエンジンは、軽いこと、エネルギー効率がよいことが求められます。そして、エンジン進歩の歴史が、航空機の性能向上に大きく貢献したことはもちろん、採用される燃料の歴史にも影響を及ぼしてきました。
1903(明治36)年、世界初の動力飛行を果たしたとされる飛行機「ライト・フライヤー」。これが成功した大きな要素のひとつは、ガソリンを燃料とする軽量のレシプロ・エンジンで2翅のプロペラを廻したことが挙げられます。
その後50年近く、このガソリン燃料のレシプロ・エンジンはどんどん発展し高出力化。これが飛行機の速度向上へつながり、プロペラ推進の限界となる音速近くのスピードへと至りました。いまでもガソリン燃料によるレシプロ・エンジンは軽飛行機に使用されています。
一方、第2次世界大戦下、ガソリンを輸入に頼っていたドイツなどでは、その代わりに重油を燃料とするディーゼル・レシプロ・エンジンを搭載した飛行機が開発されたこともあります。しかし、この種のエンジンは燃料を高圧で燃焼させるために重量が重くなってしまうことから、主流にはなりませんでした。
現代の旅客機の燃料に至ったのはいつから?
1939(昭和14)年に初飛行したドイツ製「ハインケルHe-178」は、ターボジェットエンジンを搭載。このことから「近代ジェット機の元祖」と呼ばれています。
また「ハインケルHe-178」のほぼ同時期に初飛行したイタリアの「カプロニ・カンピーニN1」も、世界で最初に飛んだジェット機として同国で宣伝されましたが、こちらは少し異なった機構のエンジンを搭載しています。「カプロニ・カンピーニN1」のエンジンは、厳密には「レシプロ圧縮ジェットエンジン(ガスタービン・エンジンの圧縮機としてレシプロ・エンジンを使用)」という特殊なものではありますが、カテゴリとしてはガスタービン・エンジンである「ターボジェット・エンジン」を積んだ飛行機です。
「ターボジェット・エンジン」を積んだ超音速旅客機「コンコルド」(画像:senohrabek/123RF)。
その後ガスタービン・エンジンは現在に至るまで、旅客機に広く採用され、現在に至ります。
ハインケルHe-178を始めとして、超音速旅客機「コンコルド」などに使用された、ガスタービンの原点である「ターボジェット・エンジン」はもちろん、戦後初の純国産旅客機「YS-11」に代表される、排気の一部を推進力だけでなくプロペラを回す出力として使用する「ターボプロップ・エンジン」、そして、現在のジェット旅客機のほとんどに採用されている、タービンからの出力でジェットエンジンの前に配置したファンを回転させ、バイパスフローという空気の流れを発生させる「ターボファン・エンジン」、これらはいずれもガスタービン・エンジンの一種です。
ガスタービン・エンジンは先述のとおり、実は幅広い燃料に対応できますが、現在は軽量の灯油に添加物を加えた「ジェット燃料」を採用しています。
自動車においても、水素を燃料とするエンジンが開発されており、燃焼後は水となるため、排気ガスのないクリーンエンジンとして2035年までの更新が叫ばれています。先述のエアバスの「ZEROe」も、同年までの実用化を目指すとのこと。旅客機の分野のエンジン問題は、今後どうなるのでしょう。
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