名古屋外縁を“ディーゼルカー1両・1時間に1本”!? 大都市のローカル鉄道「城北線」なぜ近代化しない? 2032年に大変容か
- 乗りものニュース |

名古屋付近を気動車1両が行き来する「城北線」
愛知県にはJR東海の子会社が運営している鉄道路線「城北線」があります。この路線は、名古屋市のベッドタウンである春日井市の「勝川駅」から、名古屋市西区にある「比良駅」「小田井駅」などを通り、清須市にある「枇杷島駅」まで繋いでいます。
小田井駅付近を走る城北線のキハ11系(画像:写真AC)。
枇杷島駅はJR東海道本線に乗り換えればわずか一駅で名古屋駅に到着します。そのため、一見すると城北線は利便性が高く、利用者もかなり多そうに思えるかもしれませんが、実際には小規模な運行に留まっています。
そもそも城北線が開業したのは1991年のこと。1988年にJR東海が100%出資した「JR東海交通事業」によって運行されています。もともとは国鉄の貨物路線として着工されていた路線であり、それが国鉄の分割民営化後に旅客輸送へ転用されています。
路線の大部分はコンクリートの高架橋上にある地点を走行しています。高架橋は地上から15m以上の位置にあり、名古屋の中心市街地にある高層ビルまで見渡せるほどです。電車に乗っていると、近くの高速道路を走行している自動車を上から眺めることもできます。
乗ると景観を楽しめる城北線。しかし実際のところ、この城北線は愛知県民にとって非常に影の薄い路線となっています。
それをわかりやすく表しているのが城北線の本数です。時刻表を見ていると、通勤通学の時間帯である平日の朝7時・8時であっても、電車の運行本数は1時間に2本か3本。10時から17時にかけては運行本数がさらに減り、1時間に1本となります。
そして18時以降は30分に1本のペースで運行を実施。それでも21時以降はまた1時間に1本のペースになり、23時には終電を迎えます。
さらに列車編成もディーゼルカー1両だけの、いわゆる単行です。それでも客数は少ないので、基本的にはすんなり席に座れてしまうそうです。また、駅自体もほとんど無人駅となっているようです。
こうした運行形態を鑑みると、とても名古屋周辺の人口密集地にある路線とは思えません。しかし、沿線近くに住んでいる筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)でさえ数えるほどしか乗った記憶がないほどに、利用機会が少ないです。
なぜ、それほどまでに城北線は影が薄いのでしょうか。
2032年に「JR城北線」へと姿変えるか?
城北線の問題点として挙げられるのは、他路線への乗り換えの悪さにあります。城北線の駅の中で、他の鉄道と乗り入れをしているのは「枇杷島駅」のみ。城北線勝川駅近くにはJR中央本線の「勝川駅」もあるのですが、この2つの駅を行き来する場合、まず駅の構内から出て一度地上に降りた後、5分ほど歩かなければ到着できません。
城北線勝川駅からJR勝川駅方面を見たところ。徒歩で5分ほど離れている(鈴木伊玖馬撮影)。
とはいえ、JR勝川駅内には城北線が乗り入れするためのスペースが設けられているなど、利便性を向上させるための準備が進んでいます。さらに城北線の線路は全線複線であり、運行本数を拡張できる余地が十分あります。
実際、愛知県や名古屋市などもJR東海に城北線の利便性を向上させるよう要望を出しているようです。しかしJR東海は予算不足だとして、具体的な動きには発展していません。
その理由として挙げられるのが、城北線の賃借料です。前述したように、城北線は国鉄時代に貨物路線として計画された線路を利用しています。
当時、国鉄の新線は日本鉄道建設公団(鉄道公団)が建設し、その路線を国鉄に賃借する形を採るのが多々ありました。そのため、国鉄は数十年かけて賃借料を支払い、その後に線路の所有権が国鉄へ移譲されるという契約方法が取られました。
城北線もこの契約方式であったため、JR東海は毎年約40~50億円の賃貸料を支払い続けています。そのような状況下で城北線にさらなる工事を実施するのは難しいとJR東海は判断をしているのです。
ただ、この賃貸料は永遠に支払い続けるわけではありません。賃借の終了期限は2032年度の予定で、それ以降、城北線の施設はJR東海のものになる計画です。そのため支払が終われば、改良や拡張は進むのではないでしょうか。
また、前述したように城北線は非常に高い位置を走行しています。数えるほどしか乗ったことのない筆者も、乗車時の景観の良さはとても記憶に残っています。このように発展性は高いと思うので、今後乗り換えの良さが改善していけば、名古屋の新しい交通機関としてもっと発展してくれるのではないかと筆者は捉えています。
10年後、城北線はその姿を大きく変えているのでしょうか、期待は膨らみます。
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