時間ないから「朝食」取らない…太るだけじゃない? 医師が「心身の不調の引き金になる」と警鐘鳴らす理由
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毎朝、朝食をしっかり取る人もいれば「食欲がない」「食べる時間がない」という理由で朝食を抜く人もいると思います。朝食を抜いた場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。朝食を取るメリットや、食欲がないときでも朝食をうまく取る方法などについて、用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック(東京都世田谷区)院長で肝臓学会専門医、消化器病学会専門医の菊池真大さんに聞きました。
心身のバランスを整える上で朝食は不可欠
Q.朝食を食べるメリットについて、教えてください。
菊池さん「朝食は、眠っていた体に『朝が来た』と知らせる最初の合図です。医学的に見ても、朝食には心身の健康を支える多くの役割があります。まず、睡眠中にも脳や臓器はエネルギーを消費しており、朝食によってその消耗分を補うことで、脳の働きや集中力が高まり、日中の活動に必要なエネルギーが安定して供給されます。
また、食事を取ることで体温が上昇し、交感神経が活性化されるため、代謝が促進され、脂肪燃焼や筋肉合成がスムーズに進みます。これは、肥満予防や代謝性疾患のリスク低減にもつながる重要な生理的反応です。
朝食を習慣的に取る人は、1日を通して栄養バランスが良くなる傾向にあり、欠食による過食や偏食を防ぐことができます。特にビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取量が安定し、生活習慣病の予防にも寄与します。さらに、朝食により食べ物を体内に入れた後に腸が動く反射である『胃結腸反射』が腸管を刺激し、排便がスムーズになることで便秘の予防にもつながります。
学力や体力、仕事の効率にも朝食は深く関係しています。脳のブドウ糖供給が安定することで、注意力や記憶力、問題解決能力が向上し、文部科学省の調査でも、朝食習慣のある児童は学力・体力ともに高い傾向が示されています。
そして何より、朝食は精神的な安定にも大きく貢献します。食事によって血糖値が安定し、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰な分泌が抑えられるほか、そしゃくや食事習慣によってセロトニンの分泌が促進され、気分の安定や意欲の向上、睡眠の質の改善にもつながります。自律神経のバランスが整うことで、日中の活動と夜間の休息の切り替えがスムーズになり、心身の調和が保たれるのです」
Q.では朝食を食べない生活を続けた場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。
菊池さん「朝食を食べない生活を続けると、サーカディアンリズム(概日リズム)の観点から、体の時間的な調和が崩れ、さまざまな生理的・心理的な不調を引き起こす可能性があります。
人間の体には『中枢時計』と『末梢(まっしょう)時計』があり、脳の視交叉(しこうさ)上核にある中枢時計は主に光によって、肝臓や腸などの末梢時計は主に食事によってリズムが調整されます。朝食はこの末梢時計にとって最も重要な『時刻合わせ』の刺激です。朝食を抜くことで、末梢時計がリセットされず、中枢時計との同調が乱れ、全身のリズムがバラバラになります。
このリズムの乱れは、代謝機能の低下を招きます。例えば、朝食を抜いた状態では、インスリン感受性が低下し、血糖値が上がりやすくなります。夕食時の血糖値上昇が顕著になることも報告されており、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まります。
また、体温のリズムやホルモン分泌(特にコルチゾールやメラトニン)にも影響が及び、睡眠の質が低下したり、日中の集中力が下がったり、気分が不安定になったりすることがあります。これは、いわば『時差ボケ』のような状態が慢性的に続くことに近く、心身のパフォーマンスを著しく低下させます。
さらに、朝食を抜くと腸の蠕動(ぜんどう)運動が起こりにくくなり、排便リズムが乱れることで、便秘や腸内環境の悪化にもつながります。腸は『第二の脳』とも呼ばれ、腸内環境の乱れは精神面にも影響を及ぼす可能性があります。
つまり、朝食を抜く習慣は、体内時計の調整機能を損ない、代謝や睡眠、精神、消化といった心身の不調の引き金となり得るのです。時間栄養学の観点からは、『何を食べるか』だけでなく『いつ食べるか』が健康維持において極めて重要であり、朝食はその起点として欠かすことのできない役割を担っています」
Q.人によっては、朝に食欲がなく朝食を抜く人がいます。朝に食欲が出ないのはなぜなのでしょうか。その場合でも何か食べた方がよいのでしょうか。
菊池さん「朝に食欲が出ないという感覚は、決して珍しいものではありません。これは単なる個人差ではなく、体の内側にある『時間の設計図』、すなわちサーカディアンリズムが深く関係しています。
夜遅くまで起きていたり、就寝時間が不規則だったりすると、体内時計が後ろにずれてしまいます。朝になっても体は『まだ夜』と認識しており、消化器系も目覚めていないため、自然と食欲が出にくくなるのです。さらに、夜遅くに食事を取る習慣があると、胃腸が十分に休めず、翌朝までに消化が終わらないことで満腹感が残り、朝の空腹感が抑えられてしまいます。
また、朝の覚醒に関わるホルモンである『コルチゾール』や、精神の安定に関わる『セロトニン』の分泌も、光と食事によって調整されます。朝食を抜くことでこれらのホルモンのリズムが乱れ、日中の集中力や気分の安定にも影響が出ることがあります。
たとえ食欲がなくても、少量でも何かを口にすることは、体内時計を整える上で非常に有効です。バナナ1本、ヨーグルト、みそ汁、ナッツ入りのスムージーなど、消化に負担が少なく血糖値を安定させる食品を食べるのが理想的です」
Q.朝食時に摂取するとお勧めの食べ物、避けた方がよい食べ物について、それぞれ教えてください。
菊池さん「朝食としてお勧めなのは、血糖値を緩やかに上げてくれる低GIの食べ物です。例えば、玄米やライ麦パン、オートミールなどは、エネルギーを持続的に供給し、午前中の集中力や作業効率を高めてくれます。そこに、卵や納豆、豆腐、ヨーグルト、サーモンなどの良質なたんぱく質を組み合わせることで、筋肉の維持やホルモンバランスの調整にもつながります。
さらに、ホウレンソウやアボカド、ブルーベリーなどの野菜や果物を加えることで、ビタミンやミネラル、抗酸化物質を補給でき、脳の活性や免疫力の向上にも寄与します。アーモンドやチアシードといったナッツ類・種子類は、良質な脂質とミネラルを含み、脳の働きをサポートしてくれます。また、みそ汁やヨーグルトなどの発酵食品は、腸内環境を整え、精神の安定や免疫機能の向上にも効果的です。
一方で、朝に避けた方がよい食品もあります。例えば、菓子パンや砂糖入りシリアルなどの高GI食品は、血糖値を急激に上昇させた後に急降下させるため、集中力の低下や空腹感の増加を招きやすくなります。また、ベーコンやソーセージなどの加工肉は、脂質や塩分が多く、胃腸に負担をかけるだけでなく、長期的には生活習慣病のリスクを高める可能性があります」
オトナンサー編集部
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