話題の艦艇トイレ事情 大戦中最も過酷だったのは潜水艦!? 排泄物が「沈没」を招いた事例もある?
- 乗りものニュース |

汚水が逆流するくらいだったらマシ 下手すりゃ沈んだ昔の潜水艦
アメリカ海軍の最新鋭空母「ジェラルド・R・フォード」の艦内で、トイレの詰まりが頻発し、用を足すのに渋滞が起きている問題が報じられています。
U-1206と同型のVIIC型潜水艦の1隻であるU995。現在はキールのラーボエ海軍記念館で展示されている(画像:endein Vorfahr von Xocolatl<CC0>)
艦艇を動かすのが人間である以上、トイレの問題はどうしても避けられません。第二次世界大戦中には、潜水艦のトイレの誤作動によって危機的状況に陥り、最終的に全員が捕虜となった例もあります。
1945年4月、敗戦が濃厚となったドイツ軍において、Uボート(潜水艦)U-1206の乗組員たちは、厳しい監視網のなかで商船や敵艦艇を狙い、孤軍奮闘していました。しかし彼らは4月14日、とんでもない理由で艦を失うことになります。乗組員がトイレの操作を誤ったことによるトラブルが原因でした。
潜水艦は隠密性を確保するため、大戦中も長時間潜航することがありました。現在の潜水艦は、潜航中にトイレを使用しても基本的には問題のない構造になっていますが、大戦中には、潜航中はトイレがまったく使用できないタイプの潜水艦もありました。
前述のドイツのU-1206は、幸いにも潜航中にトイレを使用できるタイプでしたが、その構造が大きな問題となっていました。
同艦のトイレ排水機構は非常に複雑で、少しでも操作を誤ると、すさまじい勢いで逆流する仕様だったといいます。その日、とある乗組員が運悪く操作を誤ってしまいました。それだけであれば艦内が汚水まみれになるだけで済んだかもしれませんが、あまりの勢いで大量に逆流したため、艦内に浸水が発生。さらに、潜航時に動力として使用する蓄電池が汚水に触れてショートし、猛毒の塩素ガスが発生するという最悪の事態となり、緊急浮上を余儀なくされました。
しかし、この緊急浮上も不運に見舞われます。イギリス軍の哨戒機にすぐに発見され、もはやこれまでと判断して自沈処分することになりました。乗組員はイギリス海軍の捕虜となったそうです。
ちなみに、同時代のほかのUボートの中には、潜航中はふた付きのバケツで用を足す艦も多かったといいます。
なお、旧日本海軍の場合はその点では恵まれており、潜航中でも使用できたそうです。ただし、排泄物を一時的に貯めておくタンクに高圧空気を注入して海中に排出する方式だったため、トイレ内の圧力が低いとタンクから逆流することがあり、その際には悪臭で艦内が大変なことになったといいます。
現在、海上自衛隊が保有する潜水艦には、快適なトイレだけでなく、冷暖房完備やシャワーなどの設備も充実しています。さらに2018年には、潜水艦への女性自衛官の配置制限が解除され、起用が可能となりました。これらの改革が実現できたのも、潜水艦内の環境改善があったからこそです。
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